ゴルフ惑星

ゴルフの楽しさを享受するメルマガ『Golf Planet』のキャプテンc-noこと、ロマン派ゴルフ作家篠原の徒然。

ゴルフ千物語・番外編 《 悪魔の選択 》

2017年02月10日 09時23分33秒 | 裏話



本日は、 
ゴルフ寓話をお一つ……

それは、ゴルフがある星の
片隅でのこと……

「見てろよ。
すごい切り札を出すから……」
悪魔のような笑顔で
偉い人が話した直後に、
問題は一気に巨大化しました。

女性を差別するコースで
世界中からゴルファーが集まる
イベントをするなんて
けしからんと、
たくさんの人たちが
ゴルフコースを攻撃しました。

ゴルフを盛り上げるために
やせ我慢で引き受けた
ゴルフコースのメンバーたちは
困惑しました。
そういうことが問題になるなら
そもそも依頼をされたことが
間違いだからです。

女性差別の問題は、
海の向こうの先進国でも
少し前に大騒ぎになりました。

標的になった複数のコースは
言い掛かりだと抵抗はせずに
受け入れましたが、
その結果、それぞれのコースで
どんな変化が起きたかは
知られていません。
全く何も変わらないいつもの
雰囲気のままなのです。

理由は、それを機に
仲間に加わった女性が
その権利を
無闇に振りかざさないからです。
権利が認められていても、
雰囲気を壊してまで
強引に主張しないことは
男女にかかわらず、
ゴルファーとして
当たり前のことで、
新しいメンバーとしても
模範となる振る舞いです。
それを何も変わっていないとか、
表向きだけの工作だと、
非難する無粋な輩は
いないのです。

偉い人には
そんなことは
どうでも良いことでした。

世界中からやってくる
ゴルファーや関係者を
もてなす心をおざなりにした
自分の足元だけを
みている主張で
反対運動をしていた団体は、
大喜びしました。
『これで俺たちの主張が
認められる!』

団体を言葉巧みに
裏側から先導していたのは
偉い人でした。
彼らが口車に乗せられて
騙されたと気が付くまで
そんなに時間は
かかりませんでした。

次の候補コースとして
浮上したコースも、
また反対運動をしなければ
ならない同じような伝統を
維持しているコースに
なってしまったからです。

偉い人は
自分か書いたシナリオ通りに
進んでいくことに
満足していました。
悪魔のような笑顔の奥には
本当に悪魔が
潜んでいたのです。

吊し上げられて
攻撃にさらされたコースでは、
「無理にやる意味はない。
何一つ得なことはないのだから
開催コース返上しよう」
という意見が大半でした。
しかし、返上はしない、
ということになっていきます。

「ここまで来たら
やめるのも地獄、
やるのも地獄。
同じ地獄なら……」
他のコースに地獄を
引き渡して済ませるのは
ゴルファーの決断として
正しいとはいえない、
という意見が出て
流れは変わります。

ゴルフを知らない人が
ほとんどだった頃に
そのコースは生まれて、
この国でゴルフを広めてきた、
という先人たちの心意気は
そのコースのメンバーに
引き継がれてきていました。

ゴルフの精神は
自己犠牲が土台になって
成立するものです。
ゴルファーのプライドとは
損得とは無縁の次元で
光り輝くから尊いのです。

自分たちの犠牲で
世界中から来る
ゴルファーたちを
もてなせるのであれば
それで良いじゃないか、
ということになりました。
耐えがたきを耐えて、
ゴルフのために、
と結束を強めることになりました。

偉い人は心底失望して、
ますますゴルフと
ゴルファーが嫌いになりました。
ゴタゴタを起こして
世界中から集まるゴルファーを
失望させて、
ゴルフそのものの価値を
失墜させる計画は
もう少しのところで
失敗に終わったのです。

それから、
たくさんの時間が流れて……

その国で昔、
世界中のゴルファーが集まった
大きなイベントがあり、、
自国の選手が大活躍したことで
ゴルファーが
急増したということは
語り継がれていましたが、
それがどこのコースだったかは
多くのゴルファーは
忘れてしまいました。

開催コースは、
昔と変わらずにゴルファーで
賑わっていますが、
そこには特別な記念碑もなく、
クラブハウスの一角に
記録が残っているだけで、
大きく変化はしていません。

反対団体が推していた
公共のコースは、
ある公共機関の移転地として
更地にされて、
そのエリアの人たちのための
新しい建物が建って
コースは影も形も残っていません。

「あのときに、開催コースに
なっていれば
絶対にコースは残ったのに」
後悔している人たちもいますが、
移転計画は、反対運動が
起きる前から決まっていたのです。
仮に開催されたとしても、
予定通りにことは進んで、
新しい建物の一角に
記念碑を残せば良い、
ということまで決まっていました。

それを決めた偉い人は、
悪魔のような笑顔で
「ゴルフが滅びるまでは、
永遠に戦うよ」
と言い続けていましたが、
弱いゴルファーには、
その言葉は
「自分本位でゴルフをしても
良いのだよ」
という囁きに聞こえるのです。

古今東西、悪魔にとって
ゴルフほど厄介なものは
なかったのです……
おしまい。

ゴルフ千物語で
書こうと思っていた
寓話です。
勢いで書きましたし、
モデルはありますが、
全てはお伽噺ですので、
ご容赦ください。

色々な考え方があり、
主張があって、
議論をするのは良いことで、
ゴルフを盛り上げたい、
ということであれば
どんどんやるべきです。

しかし、ゴルフとは
無関係なテーマを
取り上げて、
主義主張を通すために
目的や目標が
変わってしまうのは
本末転倒です。

悪魔に魂を売ってまで
貫こうとする深層は、
自分の意見を
通したいという
ゴルフの精神とは真逆の
自己中心的な
感情に過ぎません。

凄い切り札を……
という話は、
昨年の秋に聞いていました。
良識があるなら、
決して切られることがない
禁断のカードがあったという
裏話で終わると
思っていたのに、
本当に残念です。

ゴルフのために
何ができるのか……
大袈裟ではなく、
微力を集めて
力にしていきましょう。
美学があるゴルファーに
なりましょう 

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コメント (2)
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