ネットによる情報では、きょう3月15日、自民党の電力安定供給推進議員連盟や日本維新の会が政府に原発の再稼働を進めるように要請したという。理由は、「ロシアによるウクライナ侵攻で原油価格や電気料金が上昇し、安定的な電力供給に影響を及ぼす恐れがあるから」という。
今回のウクライナ侵攻で明らかになったことは、原発が攻撃の対象となることである。原発は地上に固定されているから、ミサイル攻撃から防ぎようがない。原発を所有していること自体が、いつでも、脅しの対象となるのである。核攻撃の前哨戦として、原発攻撃があるのである。
日本はエネルギー資源の多くを中東、東南アジア、オーストラリアに頼っている。したがって問題は原油や天然ガスの上昇であるが、戦渦の中のウクライナ国民の辛苦を思うとき、それは仕方がないことではないか。世界がロシアへの経済封鎖にでるのは当然ではないか。ウクライナの国民が、空爆で死ぬか、水と食料を断たれて餓死するか、というときに、日本だけが、これまでと同じ日常が送れるというのも奇妙なことである。
それでは、きょうあすという次元より、もう少し長い次元で、エネルギー問題を考えてみよう。
現在、原発より安くて済むエネルギー源、水力発電、風力発電、太陽光発電の技術がある。いずれも、海外からエネルギー資源を輸入する必要はない。ようは、これらを合わせて利用する電力システム構築が、日本では遅れているだけである。
電力業界は地域独占だから変化を好まない。新しい電力システムに投資するより、政治家にわいろを送って、この地域独占と従来の発電の仕方を守ったほうが得だと考える。自民党や日本維新の会に働きかけるだけでなく、電力業界は労働組合を使って、国民主党や立憲民主党にも働きかける。
そんなわけで、電力業界は政府の保護をうけている。国税庁の賃金労働者の年俸調査では男女とも突出して電力業界の給料が高いのである。金融業よりも高いのである。
ウクライナ国民に訪れた危機と混迷に乗じて、電力業界のエゴを通そうとする、自民党や日本維新の会の動きに、私は反対する。