猫じじいのブログ

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AIはどんな人の仕事を奪うのか?けさの朝日新聞〈交論〉

2023-09-08 11:59:49 | 科学と技術

けさの朝日新聞に『〈交論〉AIと私たち 仕事は奪われる?』が載った。二人が論じているが、ともに、AI推進派の大学教授なので、討論になっていない。「耕論」や「口論」でも良かったのではないか。

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マイケル・オズボーンは「すでに雇用の不安定化や格差拡大が顕在化しています。私が暮らす英国では、タクシーの運転手と言った既存の職業の収入が減っています」という。

私には、どうしてAIがタクシー運転手の収入減をまねくのかわからない。だいだい生成AIはまだ誰でも使える状態ではない。私が想像するにカーナビの出現のことではないか。

イギリスのロンドン市の道路は複雑である。市内を走る車を減らすために、まっすぐ、車を走らせないように道路ができている。したがって、熟練したタクシー運転手が尊敬されていた。しかし、カーナビがタクシーにつくようになって、誰でも、カーナビを使って最適のルートで目的地に行くことができるようになった。ロンドン市の道路事情にうとくても、タクシー運転手になれる。新規参入が増えたので、賃金が相対的にさがったのではないか。

だとすると、「AIに仕事が奪われる」の議論で、AIと言っているものは、生成AIに限定されず、プログラムと電子回路で動く道具一般のことを、漠然と指しているのではないか。また、奪われると言っても、いままで、高い賃金をもらっていた仕事が、いまは、誰でもできる仕事になったからではないか。

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山本勇は「技術的に可能になったからといって、単純に代替が進むわけでもありません。AIを導入する費用が人より高いことも考えられる」と言う。

20年以上前、私は、外資系IT会社の研究員をやっていて、生命保険会社のデジタル化を調査したことがある。その当時、生保間の競争が激化し、いろいろな複雑なサービスが短期間に導入されることになった。すでに、生保の社内システムはコンピューター化されていたが、新しいサービスの導入によるプログラムの変更は、IT会社に頼ることになるので、高価になる。それで、私が調査した会社は、サービスの変更部分はデータセンターの周囲の主婦を非正規で雇って人力を処理し、残りを既存のシステムを使っていた。

このような事態に、IT会社は、新規システムの開発が容易になるように、パーツの標準化を行い、開発費を抑えることで、対応した。

現役のIT研究者に聞くと、生成AIを標準化して、誰でもが簡単に会社のシステムに組み込める方向に進んでいるという。ただし、難しい問題がシステム構築に横たわっていて、それは構築されたシステムが正しく動いているかの検証である。

AIからほど遠い単純なマイナンバーカード・システムでも、日本では、システム検証がいい加減で、トラブルが続出している。日本政府のシステム構築では、受注先が価格と政治で決まるのが普通なので、システム検証が手抜きされることが多い。情報処理に通じていない日本政府がAIを使うのはリスクが多く、発生するトラブルを国民全体で監視しないと、とんでもないことが起きるだろう。

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「AIに仕事が奪われる」に議論を戻すと、賃金が安い仕事が奪われることはない。システム構築は依然として高価である。賃金が高いが、AIでもできる単純な仕事がコンピューターシステムに置き換わっていく。人がやりたがらない仕事は、賃金が安ければ、AIに置き換わらない。これが、資本主義社会の原則である。

だから山本の提言「国などがリスキリングの場を設けて、非正規の働き手が転職しやすい環境を整えるべきです。労働市場に出る前の教育の高いスキルを持った人を増やしていくことも大切です」は真っ赤なウソ。高いスキルを要する職場は少ない。IT投資は賃金の高い職をターゲットにする。

システム構築やプログラミングの賃金はこの20年で10分の1に下がっている。

AIとかと関係なく、政治は、すべての人に、文化的生活をおくれるだけの賃金を保証しないといけない。今年は最低賃金が上がると言うが、それでも、結婚して子どもを育てるには、足りない。

最近、気になっているのが、人手不足と言うが、私が担当している子どもたちのアルバイト先が決まらない。日本は、本当は不景気なのでないのか。