きょうの夜、テレビの各局が、経団連会長 十倉雅和の「(ジャニーズの)タレントは、ある意味、被害者であって、加害者ではない」「活動を続けられるような対応も検討すべきだ」という旨の発言をいっせいに流した。どのテレビもいっせいに好意的に流したことが、私にはとても気持ち悪い。
本来は、芸能界、テレビ業界にタレントへの「性加害」、性の奉仕、枕営業がはびこっていることを知っていて、日本の企業の多くがCMにそれらのタレントを利用してきたことが、問題である。しかも、ジャニーズ事務所で行われていた少年たちへの性暴力は、裁判でも事実として認定されている。
今回、ジャニーズ喜多川の「性犯罪」が社会問題化したのは、恥ずかしながら、海外のテレビ局、BBCが取り上げたからである。そして、海外が問題視するから、ジャニーズ事務所のタレントをCMに使うのは控えようという各企業の態度は、みずからの倫理感覚の欠如を表わしていて、なさけない。「海外が問題視する」からではなく、「倫理的に許せない」からであるべきだ。
だから、経団連会長の十倉に求められていたのは、日本の多くの企業がジャニーズ事務所を利用したことに対する経済界からの謝罪だった、と私は思う。
にもかかわらず、テレビがいっせいに戸倉の発言を好意的に流したのは、テレビ業界、電通、企業がジャニーズ事務所とずぶずぶの関係にあることへの社会的追求を避けるための、きっかけづくりと、私は考える。
テレビの「ジャニー喜多川氏の性加害問題」という言葉もおかしい。「性加害」という言葉は通常の辞書にない。したがって、仮名漢字変換では登録しないと変換されない。ネット上のweblio辞書には「性加害とは、性暴力の加害者が行った行為や事象を指す言葉として、テレビや新聞・週刊誌などのマスコミが報道する際に用いることが多い表現」とある。
ことの深刻さをぼかすための言葉が「性加害」である。
普通の表現をすれば、「ジャニー喜多川は芸能界にあこがれる少年たちをレイプしまくった」という性犯罪である。
NHKを含めて、性犯罪者の名前に「氏」をつけているのも、オカシイ。
ジャニーズ事務所はジャニー喜多川の性犯罪を知っていて、社会にそれを隠す以外、何も行ってこなかったのだから、その責任を負う。社会が制裁として、ジャニーズ事務所を、その存続ができない状態に、追い込むのも やむえない。
また、ジャニーズ事務所のタレントに本当の実力があるなら、ジャニーズ事務所が潰れても、歌って踊っておしゃべりする公の場に出て来れるはずである。経団連会長の十倉が「ジャニーズ事務所のタレントが活動を続けられるような対応も検討」などと、わざわざ言う必要もない。
十倉が気にすべきことは、タレントが事実上事務所の労働者であるのに、江戸時代の遊郭の女郎のように、労働者としての人権が守られていないことである。すなわち、タレントを労働法で保護されるように法律を制定するよう、国会や政府に働きかけるべきである。