東京都知事選挙の対決構図が、ほぼ見えてきた。マスコミ報道を見る限り、民主党は相変わらず迷走しているが、前宮城県知事・浅野史郎氏が立候補するのは間違いない。少し前までは、出馬はしないと言っていたのだが、昨日は出馬表明でもないのに、わざわざ記者会見を開くなど、まさに選挙戦略の一環としてマスコミを上手に利用している。
宮城県知事に初当選したときは、告示3日前の出馬だったことを考えれば、今回も選挙の戦い方としては、なかなか、したたかだ。改革派知事として、情報公開、福祉政策などで実績を上げたとされるが、3期12年で、県の借金は7105億円だったのが、1兆3653億円へと約2倍に膨れ上がったという。人気取りやパフォーマンス先行型の知事に往々にしてありがちなパターンだ。
かつて、革新の旗手として、もてはやされた横路孝弘・元北海道知事の場合も、同じように1100億円あった貯金を1期目でほぼ使い果たし、2期目には例の「食の祭典」の失敗で100億円の大赤字を出した。横路氏の場合も、やはり人気取りが先行した結果で、さしたる実績も残さずに知事の座を去った。
一方、石原慎太郎知事はどうか。一言でいえば、「驕り」が過ぎるのではないか。はっきり物を言う姿勢は評価できるが、トップの立場としては、言動にはもっと謙虚であるべきだ。有権者は、こうした点については敏感に反応するものだ。今や、マニフェストいう言葉が花盛りだが、政策を細かく比較して投票する有権者は、それほど多くはない。果たして、この候補者は信頼できるかどうかを、その言動、表情から、厳しくチェックしているのだ。候補者は、このことを肝に銘ずるべきだ。
政策についても、東京オリンピックを招致する前に、地球規模の温暖化や、大地震対策などといった緊急課題に重点を置くべきではないのか。民主党の対応がイマイチはっきりしないので断定はできないが、ぜひ首都・東京にふさわしい選挙戦を見たいものだ。