北の旅人

旅行や、ちょっといい話などを。そして、時には言いたいことを、ひとこと。

ガンの誤診

2007-03-15 17:21:47 | Weblog

私の妻は、現在「メラノーマ」(悪性黒色腫といい、足の裏にホクロができる)で大学病院の皮膚科に通っており、この病気では日本的な権威といわれ、世界でも高く評価されているというA教授(3月で退官)に診察してもらっている。しかし、どうも疑問に思うことが多々あり、1月に病院長宛に質問状を出した。2月に病院側・担当医師などとの話し合いをしたが、その概要と治療履歴は次のようなものである。医学界の常識、この病院の常識は、社会の常識に照らして、果たして通用するものなのかどうか、問題提起してみたい。

①平成1999年8月、「メラノーマ」という診断を受け、左足踵の腫瘍を切除し皮膚移植をした。この病気は転移の可能性が高く、ガンの中でも恐れられている病気である。その後も診察を受けてきたが、再発することなく経過した。

②しかし、2005年秋ごろから、手術した場所の近くに腫瘍と思われる黒いホクロができ、心配で毎月のように診察をうけていたが、「これは違います」と、言われ続けてきた。ときには、血豆だとか、歩き方が悪いので、ウォーキングの教室に行った方がいいとか言われたりした。3つある一つは7年前から出たり消えたりしていた。あとの二つは、1年ぐらい前から出来ていて、それを毎月のように診てもらっていた。

③その後も「ガンではないか」と何回も念押ししていた。 5月になって、腫瘍が大きくなったような気がしたので、診察を受けたところ、7月になって、ようやく「お互いに誤診ということがあったらイヤなので細胞を取って調べましょうか」ということになった。

④8月、この細胞を取るとき、不思議に思ったことがある。診察室に入ったとき、A教授は居らず、このときが初めてのB先生がいて「なんで俺なんだ。俺はできないから今、助っ人を呼ぶ」と言われ、不安になり、妻は手術を拒否して帰ろうとしていたところ、助っ人のC先生が来た。そこへ、なぜかA教授が現れたので、「一部を取る事は危険ではないか」と確認した。答えは、「2週間以内に手術すれば大丈夫」ということだった。

⑤1週間後の夜、A教授から連絡があり、「明日すぐ病院へ来るように」と言われた。8/9日に病院で、「ガンなので今日すぐ入院してください」ということになり、8/11手術、9月初めに退院した。

⑥今まで、「ガンではない」と断言していたので、私は手術直後、「誤診ですね」と問いただしたところ、「申し訳ない」(2月の話し合いで、誤診と言う意味も含まれると言った)と言った。側には、もう一人、若い医師がいた。また、この時の手当ても明らかにおかしく、高度先進医療というふれこみである「悪性黒色腫におけるセンチネルリンパ節の同定と転移の検索」ということで、保険外の高額の治療をうけた。そのためか、小さい傷口からリンパを捜したので、菌が入り、その菌を殺すため長く抗生物質を投与され、副作用により肝臓が悪化。その時も若い医師で、さっぱり要領を得ず、たまたま覗いたD医師が指示を出して、適切な処置をしてくれた。その時の医師同士の会話も大変不信感を抱くようなものであった。

また、センチネルで反応したと言われる膝の裏と、そけいぶには機械が反応したにもかかわらず、何もなかったということは、機械自体がまだ完成されていないのではないかという強い不信感を持っている。(話し合いのとき、『転移しているかどうか調べたもので、これは必要であった。ガンがないことが分かったから良かったのではないか』と言われた)

⑦その後も定期健診をうけているが、1/15日の検診で、以前からあった黒いものを、「いずれ取った方がよい」と言われたのには驚いた。A教授はマスコミなどには「疑わしきは早期切除すべき」と強調しているにもかかわらず、非常に矛盾している。何故、手術のときに一緒に切除しなかったのか。不信感が募る。患者の不信感、不安感を何と思っているのだろうか。(話し合いでは、まだガンではないからとの答え)

⑧今までは、とにかく病気を治すことが最優先だったので、今年に入ってから質問状を出した。また、前回の手術によって、100パーセント信頼を寄せていたため、セカンドオピニオンということは全く考えなかった。

⑨このような疑問を病院側にぶつけたところ、話し合いましょうということになり、A教授、D助教授などが出てきて、説明したのだが、結論的には、現在は治っているので問題はないという一点張りである。しかし、こちらが、結局「誤診ですね」と、しつこく食い下がると、「誤診と言われれば誤診、やぶと言われればやぶだ」と開き直る始末なのだ。

⑩何故、もっと早く切除しなかったのかという問いには、その時はガンではなかったからだという。ガンと分かった時には、すぐに切除したのだから、問題はないと自己弁護を繰り返すだけなのだ。ガンではないものが、ある日突然ガンに進化するなんていうことはあり得ないのに。胃や大腸のポリープだって、いずれはガン化の可能性があるから早期に切除するのだ。

日頃から「疑わしきは早期切除が大事」と言っているにもかかわらず、全く相反することなのである。そして、自ら言うのには「私は、カナダの病院から2週間に一度、ビジネスクラスで来てほしいと言われている。年収は1億円です」と言うのには呆れた。そんな私に何を言うのだと言わんばかりの権威を振りかざすのだ。


⑪患者には「期待権」というものがある。 

診療契約に基づく医師の債務は、治癒という結果を請け負うという債務、すなわち「結果債務」ではなく、治癒に向けて最善を尽くすという債務、すなわち「手段債務」であるとされています。もとより患者は医師に対して、誠実な診療、最善の診療を期待しています。そうであるならば、不誠実で杜撰な診療が行われた場合には、たとえその診療と生じた悪しき結果との間に因果関係が認められないとしても、そのような患者の期待が裏切られたこと自体を損害評価するのが素直な解釈といえるでしょう。このような患者の権利を「期待権」といいます。-医療過誤用語から

⑫私は、今回のケースは、この期待権に照らしても明らかに反するものだと考えている。病院側は、このケースは補償の対象にはならないという見解だ。病院の常識、医学界の常識からすれば、命を落としたわけでもないから問題ないと言いたいらしいのだ。私たちが恐怖感と、不信感を抱いたことに対しては「申し訳なかった」と言い、診療過程における他の医師との連携の悪さについても、「私は主治医ではないので、末端の細かいことは分かりません」という始末。他の医者には一回も診察してもらったことがないというのに。不思議な話だ。

⑬私たちは、こうした一般常識から考えても信じられないようなことがあっていいのかどうか、社会の常識に問うてみたいと思う。このような医者が、日本的な権威として通っているとしたら、とんでもないことだ。問題提起をしたいと思った次第である。