「蝉丸が逢坂の関でみすぼらしい庵を結んでいたのを、通る人が笑ったので詠んだ歌(俊頼髄脳)とも、その琵琶を聞こうとした源博雅が、人を立てて、都に来て住むようにすすめたので、詠んだ歌(今昔物語集・巻二十四)とも伝えている。」(小学版) おぼろげに伝わる作者の、自然な(ひとりする)詠草である。雑歌(ざうのうた)の棹尾。
ひらかなy155:にんげんに きせんじょうげの べつはなし
いずれごうしゃも くちるのだから
ひらかなs1851:よのなかは とてもかくても おなじこと
みやもわらやも はてしなければ
【略注】○宮も藁屋も=豪邸もぼろ家も。現代詠は「豪舎=豪奢」一語にした。
○蝉丸=盲目の歌人。琵琶の名手。百人一首10番「これやこの」の作
者。歌のとおり逢坂山に庵を結ぶ。一本に蝉麿とか。伝不詳。