家にこもって書を読んだり書いたりしていたら、知人から京都白川の花見へ行こうと誘われた。そこで初めて、世の中は花見の春だと知る。貴人は広い家に住み、公務私事に携わることで、十分に時間が過ごせた時代である。時はゆっくり流れる。
ひらかなy117:ひきこもり しているまにも ときはすぎ
きょうははなみの はるなのだなあ
ひらかなs1457:いさやまた つきひのゆくも しらぬみは
はなのはるとも けふこそはみれ
【略注】○今日こそは見れ=(もう花見の春だと)きょう初めて知ったことだ。
○源師光(もろみつ)=大納言師頼の子。
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☆☆ポーランドの写真ブログに紹介されている、原宿の少女たち、白糸の滝など。最新版。
日本人、初訪問?
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業平の古今・恋歌を、深養父は加齢の嘆きに読み替えた。現代詠の前半は、全くそのまま。後半はいろいろに読み替えて、楽しめそう。新古今は、相当部分が本歌取りで成り、そのいくつかはこの歌のように、換骨奪胎とする。
ひらかなy116:むかしみた はるはむかしの はるだけど
わたしはめっきり おいてしまった
ひらかなs1449:むかしみし はるはむかしの はるながら
わがみひとつの あらずもあるかな
【略注】○あらずもあるかな=昔の自分(の肉体)のようではない。
○清原深養父(ふかやぶ)=清少納言の祖父(曽祖父?)。洛北補陀落寺を創建。
なお補陀落を名乗る寺(廃寺を含む)は、京都だけでなく、全国各地に散在する。
『オペラ座の怪人』のパイプ・オルガン演奏中に、ふと天井をみると、怪しい影が見えた。演出ではなく、照明の加減らしい。きのうの、ある演奏会で。
【写真】カラーのモード変更機能で、フル→ハーフ・トーン→フル(実質はモノ)とした。左席のため、あまり目立たない程度に、変形機能で基線を補正。撮影の包括禁止措置はない。
ひらかな:こころいれ をとめのおるがん ひくかみに
あやしきかげの おほきなるみゆ
世の中、小人ばかりが闊歩する。時代をまとも導くものはいないのか。この歌は『和漢朗詠集』と関連している。
恋歌がようやく終わって、これからしばらくは雑歌(ぞうのうた、ぞうか)。巻第十六(雑歌上)は、1435 から 1585 まで。
ひらかなy115:ゆきがふり たとえばいかが かくれても
うぐいすだけが みわけるのだね
ひらかなs1441:ふるゆきに いろまどはせる うめのはな
うぐひすのみや わきてしのばん
【略注】○うぐひす=鶯は、前歌(1440)との関係で、賢者を暗示。
○分きてしのばん=見分けて鑑賞するのだろうか。
○菅原道真=悠 046(08月20日条)既出。
おい、お前、男だろう? それなら身分はさておいて、思い切って告白しろよ、と自分に言い聞かせている男。身分が低いとはいっても、「五位の摂政」などとあだ名される貴族。思いを寄せる女は、さらに高根の花か。
ひらかなy114:おとこなら おもいのうちを あけるのに
みぶんちがいが きになっている
ひらかなs1425:ひとならば おもふこころを いひてまし
よしやさこそは しづのをだまき
【略注】○いひてまし=言ってしまうだろうに。
○よしやさこそは=たとえこのように。
○しづのをだまき=「倭文(しず)の苧環(おだまき)」。倭文は古代布、倭文を作る
ための糸球が苧環。「賎(しず)」に掛ける。賎は、身分の低いこと・者を指す。補説
参照。
○藤原惟成(これしげ、これなり、両読み)=雅材の子。花山院の寵臣。出家して悟
妙。37歳で没。
【補説】倭文①「上代は<しつ>。唐から輸入された<綾(あや)>に対して、日本古来の織
物の名。こうぞ・麻などの繊維から作った横糸を青・赤などに染めて、乱れ模様に織り
あげたもの。」
②「奈良時代にはシツと清音。古代の織物の一。穀(かじ)・麻などの緯(よこいと)を
青・赤などで染め、乱れ模様に織ったもの。あやぬの。しずはた。しずぬの。倭文
織。」
苧環①「績(う)み麻(お)(=つむいだ麻糸)を、内側を空(から)にして球状に巻いた
もの。」
②「つむいだ麻糸を、中が空洞になるように円く巻きつけたもの。」
二項とも、①は旺文社版『古語辞典』、②は岩波版『広辞苑』。
恋のつよさとつらさは比例する。これまた素直な自己表出である。現代詠では、極力字余りを警戒しているのだが・・・。
ひらかなy113:つらいよや いやなひとには たえられても
こいしさだけは どうにもならない
ひらかなs1423:よのうきも ひとのつらきも しのぶるに
こひしきにこそ おもひわびぬれ
【略注】○憂き、つらき=小学版注には、それぞれ「辛いこと」「薄情であること」と。
○藤原元真(もとざね)=悠 023(07月25日条)既出。
薔薇は美しくてわがまま。だから、薔薇好きは口をそろえていう、薔薇こそ数ある花の女王と。素人が片手間に、美しく咲かせよう、というのは、しょせん無理だと納得している。何れかなりと美しきものそなへたる、すべての女性(にょしょう)にささぐる一首。
【写真】年間何種類か咲かせているが、美しい一輪がなかなか姿を見せてくれないから、これで手を打つことにした。さきほど、10時に撮影。芝も枯れて、日差しも穏やかな雰囲気が出た。発色は自動補正。
ひらかな:ちかづけど なほとほかりし きみゆへに
たふときはなよ ばんしうのばら
梅・梅の花は、作者そのものでもある。元歌の恨みを懐古にしてみた。
子どものころの話。梅干の芯を食べるとき、大人たちに二説あって、天神さまだから「食べてはいけない」「食べると頭がよくなる」と、言われたのを思い出す。ますます肥満化している今の子どもたちは、こんな話を知らないかも。
ひらかなy112:あのよるの うめのかおりに なったまま
たよりもなくて ただなつかしい
ひらかなs1409:うめのはな かをのみそでに とどめおきて
わがおもふひとは おとづれもせぬ
【略注】○おとづれ=ここでは「便り」。小学版底本に「音信」と表記、と。
○在原業平=悠 077(10月07日条)既出。
恋しくてやっと逢えたら、その後の沙汰が覚束ない。いっそ恋することなど、しなかったらよかった・・・。勝手にひたむき。
ひらかなy111:あのひとの おもかげだけは そのままに
こいしなかった ときがこいしい
ひらかなs1393:おもひわび みしをもかげは さておきて
こひせざりけん をりぞこひしき
【略注】○思ひわび=思い悩んで。
○藤原俊成=悠 026(07月28日条)既出。