■二月(きさらぎ)まで梅の花が咲かなかった、と題詞にある。二月は別名梅見月。花(の香)に恋人との関係を託した、と深読み(こじつけ?)するのは読み手の自由。
【略注】
○花=当時は梅(匂いあり)、現代は桜(匂いなし)が一般。
○中務(なかつかさ)=藤原の出。やはり女流歌人の伊勢の娘。恋人は源信明(さねあきら)。
■原歌の「の」のリズムが快い。ただ、今は煙が出ていないから、主語を「春霞」に代えた。
【略注】
○春の色=新潮版(後記)は「春らしい紅」とする。もちろん「色」は抽象的な様子・風景も表わす。
○慈円=天台宗の大僧正。藤原家の出。新古今集に92首。
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○最初は goo, ブログ開始! ブログに関しては全く五里霧中。様子が分かってきたところで、略注などを予定。新古今和歌集の、学問的な解釈ではなく、感覚的な翻案を企図。
◇翻詠001 今ごろになって雪なの?困るなあ かげろう燃え立つ春だというのに 悠山人
[いまごろに なってゆきなの? こまるなあ かげろうもえたつ はるだというのに]
◇新古今0021 今さらに雪降らめやもかげろふの 燃ゆる春日となりにしものを 読人しらず
[いまさらに ゆきふらめやも かげろふの もゆるはるびと なりにしものを]
【略注】
○春日(はるび)=春の日。春のころ。
○読人しらず=読み書きや歌詠みが出来たのは超エリート階級なので、「しらず」とはいっても、ただの民百姓ではない。位階官号が基準に満たないという程度。ではその基準は?
○参照文献は後記。