悠山人の新古今

日本初→新古今集選、紫式部集全、和泉式部集全、各現代詠完了!
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紫式部集029 琵琶湖には

2006-04-30 06:00:00 | 紫式部集
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琵琶湖には千鳥の声が鳴きわたり
相手を求めうるさいほどよ   悠山人

○紫式部集、詠む。
○略注=詞書に、近江守の女(むすめ)に「懸想す」という噂の男性が、あなただけをひとすじに、などとあまりにうるさいから、と詠むと。琵琶湖の千鳥のように、叫び続けなさいな、途切らせずにね。ここも議論のある一首。紫と宣孝の関係については、いままであまり深入りしていない。その理由は、研究者の議論がいまだに決着をみないからである。素人が半可通をひけらかすべきではない、と自覚している。
 ¶懸想(けそう)す=思いを寄せる。平王クでは「懸想ず」。
 ¶ことならば=「如ならば。同じことならば。できることなら。」(旺文版古
 語辞典)。「如(こと)」は仮定形誘引の副詞で、これだけでも「こと降ら
 ば袖さへ濡れて」(万葉集。どうせ降るなら袖まで濡れても)のように
 使う。
紫029:みづうみに ともよぶちどり ことならば
      やそのみなとに こゑたえなせそ
□悠029:びわこには ちどりのこえが なきわたり

      あいてをもとめ うるさいほどよ
*now streaming : A.Bruckner | Symphony No 9 in D Minor - III - Adagio. Langsam - feierlich *
 http://65.39.195.222:8000

紫式部集028 時は春

2006-04-29 04:25:00 | 紫式部集
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時は春でも白山の深雪は
いつ溶けるやら分かりませんわ   悠山人

○紫式部集、詠む。
○略注=ここから四首は結婚前の藤原宣孝(後の夫)との贈答。995年秋に中国(宋)船が日本海で遭難して、70人余が若狭に漂着。翌年、紫が越前に下ったときには、国府(県庁)の武生で保護されていた。宣孝に、「唐人(からびと)」を見に行こうと誘われ、春は万物のとけるとき、あなたも私の気持ちが分かっていよう、と言われて詠う。加賀白山をご覧なさいな、あんなに深い雪ですもの、いつ溶けるのか分からないではありませんか。武生(たけふ)市には紫式部公園があって、ゆかりの歌碑、立像、総桧釣殿などが配置されている。間もなく見事な藤紫の棚仕立てが見られそう。
 ¶白嶺(しらね)=加賀白山(2700m余)。「春の到来も<不知(しらね)>
 を懸ける。」と、平王ク注。

紫028:はるなれど しらねのみゆき いやつもり
      とくべきほどの いつとなきかな
□悠028:ときははる でもはくさんの ふかゆきは

      いつとけるやら わかりませんわ

短歌写真140 風早の-万葉集

2006-04-29 04:20:00 | 短歌写真
2006-0429-yts140
風早の美保の浦回の白つつじ
見れどもさぶし亡き人思へば   万葉集

○短歌写真、詠む。
○講文版は、風早は和歌山県美浜町か、とする。【万葉集3-434】。「image077灯台躑躅」参照
。4月28日撮影、自宅。
□かざはやの みほのうらみの しらつつじ
  みれどもさぶし なきひとおもへば


image078 花菖蒲

2006-04-28 06:20:00 | images
2006-0428-yim078
title : Iris ensata
yyyy/mm : 2006/04
notes : はなしょうぶ。しょうぶ、あやめ、かきつばたの素人談義に花が咲く季節になった。分からないときには、英語風にまとめて「アイリス」。二、三日前、うちの畑で撮影。背景処理。

image077 灯台躑躅

2006-04-27 05:25:00 | images
2006-0427-yim077
title : Enkianthus perulatus
yyyy/mm : 2006/04
notes : とうだいつつじ。一般には満天星躑躅(どうだんつつじ)。験をかついで、受験生を抱える家で苗木を求めるとか。和名・学名は講談社版「四季の花色図鑑」。数日前の自宅。
○風早の美保の浦回の白つつじ
 見れどもさぶし亡き人思へば 【万葉集3-434】(浦回=うらみ)
○細領巾の鷺坂山の白躑躅
 われににほはね妹に示さむ 【万葉集9-1694】(細領巾=たくひれ)
○女郎花咲く野に生ふる白つつじ
 知らぬこともて言はれしわが背 【万葉集10-1905】
「白」はすべて「しら」。万葉集に、はっきりと白と指定されている躑躅の歌は、これら三首だけである。写真の灯台躑躅が、この 「しらつつじ」か。

*now streaming : BACH  |  Bruggen, Bylsma, Leonhardt, Kuijken, - Brandenburg Concerto No.5 in D - BWV1050*
 http://65.19.173.132:4086

紫式部集027 積み上げた

2006-04-26 05:05:00 | 紫式部集
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積み上げた鹿蒜山への雪ならば
うれし楽しく見ましょうものを   悠山人

○紫式部集、詠む。
○略注=雪下ろしの山を見にいらっしゃいな、と声を掛けられた紫。ふるさとの京都へ帰る山なら別、そうではないのだから、見る気もしないわ。詞書の「いとむつかしき雪」について、新潮版はこう記す。「うっとうしくうんざりする雪。北陸の雪は高く積り、軒端を埋め視界をさえぎる。そういう雪のうっとうしさをいったもの。」
 ¶かへる山=福井県の鹿蒜山(かえるやま)と「(都へ)帰る山」を掛け
 る。曽良の「奥の細道」随行記もこの表記だが、平王クは「帰る山路」。
 なお十六番歌(4月7日条)参照。
紫027:ふるさとに かへるのやまの それならば
      こころやゆくと ゆきもみてまし
□悠027:つみあげた かえるやまへの ゆきならば

      うれしたのしく みましょうものを
*now streaming:VIVALDI - Standage- Pinnock - La Stravaganza op 4 Concerto no. 11 in D major*
 http://65.19.173.132:4086

短歌写真139 立ち姿

2006-04-25 01:25:00 | 短歌写真
2006-0425-yts139
立ち姿回れる姿うつくしく
踊り子の名は牡丹百合とや   悠山人

○短歌写真、詠む。
○チューリップ
。品名は「バレリーナ」。a tulip named Ballerina。
□たちすがた まはれるすがた うつくしく
  をどりこのなは ぼたんゆりとや