場末の雑文置き場

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日本でも蔓延するイスラモフォビア

2024年06月09日 | 政治・社会

少し前にエドワード・サイードの「イスラム報道」を読んだ。メディアがイスラムについての偏見を助長するような報道を繰り返していること、メディアの姿勢がそうなので報道すればするほどイスラムについての誤解が広まっていくことなどが語られていた。他の宗教と異なり、イスラム教についてはろくな知識もない人間がもっともらしく記事を書いたり語ったりすることが許されていることなども。

サイードが書いているのは主にアメリカ(+ヨーロッパ)の事例だろうが、日本もそう変わらないな、と思った。多分アメリカの影響を強く受けているからだろう。イスラム教に限らず、例えば中国などに対しても反中感情を煽るような報道ばかりが見られる。

日本の報道に関して言えば、中国に関しては昔と比べてひどくなる一方のように感じるが、イスラムについては昔に比べれば多少は落ち着いてきたかな、とは思う。今がマシというよりは昔が本当にひどかっただけだが。
20年くらい前だったかな、なにかのニュース番組でコメンテーターがイスラム教徒全体をテロリスト予備軍扱いするような発言をしていて、それに誰も異論を唱えなかったのを見た。かなり前だけどそのときのことは酷すぎて忘れられない、そいつの名前を覚えておけばよかった。
さすがに今だったらあれは炎上すると思う。そうであってほしい。

最近はイスラム教徒=テロリストみたいな物言いは流石に差別だと認識する人が大半になったとは思うし、報道によってイスラム嫌悪が煽られる頻度も減ってはいる。でも依然としてイスラム教徒に対する強い偏見は存在している。
イスラム教徒は保守的で後進的で女性差別的で性的少数者を迫害する、というイメージを多くの人が共有しているようだ。そしてキリスト教徒はそうではないらしい。キリスト教徒の宗教右派なんてひどいもんなのに、イスラム教徒ばかり保守的な面が強調される。リベラル風の人でさえその種の偏見を躊躇なく披露する。
フェミニスト風の人も、女性差別のひどいところの代表として「イスラム国家」をすぐに持ち出してくる。具体的にどこの国かも曖昧なまま、雑に出してくる。治部れんげなんかはまさしくそういうタイプのフェミニストだ。あの人の実写版「アラジン」評を見てしまったことがあるが本当にキツかった。

イスラエルがどれだけ滅茶苦茶なことをやっても味方する人間が決して少なくない数でいるのは、こうしたイスラム教徒に対する強い偏見のせいも大いにあるだろう。そしてかれらはパレスチナ側の発表は疑う一方イスラエルの公式発表だけは鵜呑みにするということをなんの疑問もなく無意識にやっている。
まあパレスチナ人=イスラム教徒という見方も正しくないが。確かに割合としてはイスラム教徒が多いが、キリスト教徒もいて共存しているし。かつてはユダヤ教徒とも平和に共存していたのに、イスラエルのせいでそれがぶち壊されてしまった。

こうした反イスラムの観点からイスラエルを強力に擁護する代表格は、日本だと飯山陽になるのだろうか。イスラエルが大好きで、いつでも全面的にイスラエルの味方になっていて、「日本の報道はパレスチナ寄りすぎる」などと言っているらしい。こういうのがエドワード・サイードの言うところのオリエンタリストなのかもしれない。それにしたってレベルが低いが。
飯山はイスラム学者を自称しているが学会からは認められておらず、アラビア語の翻訳も間違いだらけで度々指摘を受けている。それでも日本人はイスラムについての知識も薄くアラビア語も全くわからない人が多いから(私もそうだが)、こんな輩に簡単に騙されてしまう。
決してネット右翼などではない、自民党に批判的な立場の人が「イスラム圏の女性差別はこんなにひどい」という内容の飯山のツイートをRTしているのを見てしまってがっかりさせられたは何度かある。流石に今はネット右翼以外には飯山の酷さが知れ渡って、そんな人はほぼいなくなったと信じているが。


イスラエルを止めるためのオンライン署名

2024年03月31日 | 政治・社会

イスラエルによるパレスチナ人虐殺がエスカレートしている。これに対して自分は何もできないと思ってしまいがちだが、日本にいながらでも抗議する方法はいくらでもある。SNSやブログで情報を発信する、デモに参加する、イスラエル企業やイスラエル支援企業の商品を買わない、逆にパレスチナ系の商品を積極的に買う、寄付をする、署名をする、など。

このうちの「署名」について。特にオンラインでの署名はデモよりも手軽で、時間が無い人でも出来る。特にChange.orgは一度名前とメールアドレスを登録すれば後はワンクリックで署名できるので手軽だと思う。そこで、パレスチナ関連+αの署名で私が趣旨に賛同できると思ったものをいくつか挙げてみる。


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ドイツと日本、どっちも違ってどっちもクソ

2024年02月25日 | 政治・社会

ドイツ大使館の1月のTwitterの投稿を見た。「ホロコーストの記憶を呼び起こすことは、ドイツにとって本質的な課題であり道徳的な義務」だそうで、ご立派なことだ。
日本「リベラル」の間では、ドイツは日本と違って自国の負の歴史に向き合い、反省してきた国ということになっていた。果たしてそうだろうか、と私は少し前から疑問を感じるようになった。
ドイツが反省の弁を述べるのはホロコースト、それもユダヤ人に対するものについてだけで、例えばロマなどのユダヤ人以外の被害者についてはほとんど無視されている。植民地支配のこともほとんど反省していない。

最近のドイツ政府やホロコースト記念館、日本のドイツ大使館の言動を見るに、ドイツのホロコーストに対する責任の取り方とは、シオニスト(≠ユダヤ人)が何をやっても全面的に擁護することらしい。そしてイスラエルを批判するものには「反ユダヤ」のレッテルを貼り、徹底的に弾圧する。それは直接的な暴力であったり、平和的なデモ参加者を逮捕したり職を失わせたり。ドイツでのこうした弾圧の激しさについては、複数のドイツ在住者からの証言がある。

ドイツは人の命の価値に優劣を付け、また新たな虐殺の強力な加担者となっている。その原動力には過去への捻れた「反省」の他に(かれらは決して認めないだろうが)イスラモフォビアもあるのだろう。かれらにとって反ユダヤ(彼らの定義では反イスラエルもこれに含まれる)は絶対悪だがイスラム教徒への偏見や差別は取るに足らないか存在しないことになっているのだ。

ドイツの首相が今もメルケルならこんなことにはなっていなかった、といっている人も時々見るが、メルケルでも大して変わらなかっただろう。メルケルもちょくちょくイスラエルに甘い発言をしていて、クソだなと前から思っていたから。メルケルは日本のリベラル、左派に人気が高いようだけど過大評価だと思う。
それはともかく、こうしたドイツの欺瞞に多くの人が気付き始めたことだけは良い変化だったと思う。

一方日本では、平和教育と言えば原爆被害など日本が被害に遭ったこと中心で、自国の加害性にはほとんど向き合ってこなかった。テレビでは日本の「植民地支配」という言葉は頑なに使わず、「統治」という言葉に言い換えている。
そして歴史修正主義者が政権の中枢に入り込み、「南京大虐殺はなかった」「日本は植民地支配などしていない」「日本の『統治』は相手国にとって良いことばかりだった」などと言い張っている。そして被害国(特に韓国)の異議申し立てに対しては、メディアと多くの国民が一体となり、不当な言いがかりを付けられている被害者のように振る舞っている。そしてつい最近では、群馬の森後援の碑の撤去という暴挙に出た。しかも撤去費用3000万を碑を建てた人々に請求するとか。本当に最悪だ。

ドイツの話に戻る。ドイツではパレスチナのことに関しては言論の自由はない。しかも、普段「リベラル」風な発言をしている人たちまで多くがイスラエル支持にまわっているようだ。その点で行くと、日本はイスラエル批判は比較的自由にできるし、リベラル・左派はほとんどがイスラエルに批判的(以前はイスラエルに甘い「リベラル」が日本でも多かったが少なくとも10/7以降は)なのでまだマシだとも言えなくはない。

そしてドイツ、日本に共通しているのはイスラエルの言いがかりを受けて、ろくに検証もせずに、ほぼ即座にUNRWAへの拠出金を停止したこと。過去に虐殺を行い、非難された国がその本質的な反省をろくにせず、虐殺への積極的な加担を繰り返している。情けない限りだ。


デモに参加してみたいけど不安で踏み切れない方に向けて

2024年02月18日 | 政治・社会

デモに行ってみたい、でもなんだか不安で踏み出せない、という人は結構多いのではないかと思う。私も昔はそうだった。人見知りが激しくて口下手なこともあり、気になってもデモに行けない期間が長かった。デモは最初に行くまでの心理的ハードルは高いけど、勇気を出して一度行ってみれば様子もわかる。慣れてしまえば、なんてこともなくなる。

一人で参加する人も多いし、途中参加も途中離脱もOKだし、周りの人と会話する必要もない。ウォーキングデモなら一緒に歩くだけ、スタンディグデモならそこに立っているだけで十分だ。意見を持った一人の人間として可視化される、それだけで価値のあることだと思う。
それに、普段自分の周りにいる人が例えばパレスチナのことなどに無関心な人ばかりでも、他に目を向ければそうでない人もたくさんいることも、デモに行けば実感できる。

日本はデモに対する偏見が強い国だと思う。デモをする人を白い目で見たり、近寄ってはならない異常な人扱いする人も少なくない。現地(イスラエルなど)に行ってやれ、などと馬鹿なことを言う人までいる。でも、そんな人たちのことを気にして萎縮しないでほしい。おかしいと思うことに声を上げるのは当たり前のことで、全然恥ずかしいことじゃない。

 

プラカードについて

私が最初の頃デモに行くのに踏み切れなかった理由の一つがプラカードの存在だった。プラカード用意しなきゃいけないのかな、でも作り方わからないな、無かったら浮くかな、などといろいろ考えてしまって。

結論としては、プラカードを持っていかなくても全然問題ない。そこで一緒に歩いたり立っているだけでも十分だし、少し早めに行ったら運営の方や親切な方が配ってくれることも多い。

そうは言っても自分のプラカードを持ちたい、でもどうしたらいいかわからない、という方に向けて、簡単なプラカードの作り方をいくつか紹介する。きちんとデザインされた紙を段ボールに貼り付ける、というのが一番正式なやり方なんだろうけど、それは少し手間がかかる、あるいはちょうどいい大きさの段ボールが家になかったりするのでもう少し簡単な方法を。

①硬質カードケースを使う
自分でデザインを考えるのはハードルが高いので、まずはSNS上でプラカード用の素材を拾ってくる。例えばX(twitter)上で「プラカード ネップリ」「プラカード データ」「プラカード プリント」などのキーワードで検索するといろいろ出てくる。それを家のプリンターかコンビニのネットプリントで印刷する。さらにその紙を100均でも売っている透明な硬質カードケースに入れるだけ。とても簡単。
サイズはA3が一般的だが、仕事帰りにデモに寄る場合はA3だと大きすぎると思う。会社に持って行っている鞄には入らないと思うので。だから休日用にA3、仕事帰り用にA4の2パターンのプラカードを用意しておくと便利かもしれない。

②段ボールにマジックで書く
家にある適当な段ボールを使う。大きさも形状もなんでもいい。画力に自信がなければ大きくメッセージを書くだけでいい。「FREE PALESTINE」など。なんでもいいので。

③大きめのスケッチブックに書く
スケッチブックなら一冊にいくつもメッセージを書くことができる。伝えたいことがいろいろある人、デモのタイプによってメッセージを使い分けたい人には、一冊で使いまわしができて便利だと思う。

 

コールについて

デモに行ったからといって、コールに参加しなければならないわけではない。黙って立っているだけでも問題ない。
気が向いてコールしてみたくなったらしてみるのもいい。コーラーの後に続いてみんなで同じ言葉を繰り返すだけなので、これもやってみたらすぐに慣れる。

どんなコールがあるか予めわかっていると戸惑わずに済むかと思うので、パレスチナ解放系のデモでよく出てくる英語のコールをいくつか挙げておく。

Free Free Palestine.
Free Free Gaza.
Free Free West Bank.
Free Free Rafah.

「Palestine」は「パーレスタイン」と読み、最初にアクセントが付く。「West Bank」はヨルダン川西岸地区のこと。


From the river to the sea,

Palestine will be free.

「From the river to the sea」はパレスチナ解放のスローガン。地中海からヨルダン川までパレスチナが占領から解放されて自由になる、といったような意味。日本語のコールだと「川から海まで自由を求めて/川から海まで解放するまで」などになる。
ちなみにこのスローガンはアメリカやドイツなどでは反ユダヤ的である、などとされて弾圧されたりしているようだ。それに比べると、デモで自由にこの言葉を発することができる日本の状況はまだマシと言えるかもしれない。


From the sea to the river,

Palestine will live forever.

上述の「From the river to the sea」より出現頻度は大分少ないが、こちらもコールで出てくることがある。


Stop stop genocide.

Stop stop the occupation.

ここで言うoccupationは占領のこと。


Ceasefire now!

日本語コールだと「今すぐ停戦!」になる。


Gaza Gaza don't you cry,

Palestine will never die.


◯◯,shame on you!

◯◯にはイスラエル、ネタニヤフ、岸田、上川、バイデン、USAなどが入る。


Boycott ◯◯!

◯◯にはイスラエル、スターバックス、マクドナルドなどが入る。
スターバックスとマクドナルドの何が問題なのかはこちらを参照。

 

デモの情報について

自分の気になるトピックについて発信している人をSNS上で何人かフォローしていればある程度情報は入ってくるかと思う。でも情報をまとめているアカウントやブログもある。

なお、それでも心理的、身体的、時間的、土地的な意味でデモに参加するハードルが高い人も多いかもしれない。デモ以外でも意見を表明する方法はいろいろある。例えば外務省やイスラエル・アメリカの大使館に意見を送ったり、イスラエル企業やイスラエル支援企業の不買運動に参加してみたり。できることをできる範囲でやることが大切だと思う。


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イスラエルの裁判とイエメンのこと

2024年01月17日 | 政治・社会

今、イスラエルが大量虐殺の罪により国際司法裁判所に訴えられている。原告は南アフリカの弁護団で、マレーシアなど主に多くの国(主に非西側)が支持している。
重要な裁判だが、日本のメディアはこのことをほとんど報じていない。そしてBBCなどの西側メディアは原告の言い分は無視し、イスラエル側の言い分のみを垂れ流しているようだ。ドイツとカナダはイスラエル支持を表明し、イスラエルは虐殺などしていないと主張しているようだ。自称・人権を重視する国、自称民主主義の国々の欺瞞がますます明らかになってきている。

さらに、アメリカとイギリスはイエメンの空爆を開始した。日本のニュースではこのことを無視するか、フーシ派を悪魔化してアメリカの攻撃に理があるように報じている。イエメンの行動はイスラエルによる虐殺に抗議するためのものであり、イスラエルがそれを止めさえすればいいだけの話なのに、英米はイスラエルではなくイエメンを攻撃することを選んだ。

こんなことで他国を空爆することが許されるなら、ロシアのウクライナ侵攻だって100%正当化できてしまうが(ロシア系住民が迫害されていたのは本当だし)、日本メディアではロシアは絶対悪である一方アメリカの行動には理があることにされる。なぜならアメリカは自由で民主主義的で正しい国ということになっているから。そして日本政府はアメリカにどこまでも付いていく方針なので、メディアもその意向に従っている。マレーシアのアンワル首相はハマースのテロ組織認定をめぐってアメリカから圧力を受けたことを議会で表明しているというのに、日本は本当に情けない。