佐野、出てきて四話で退場。須藤刑事ほどじゃないにせよ短かったな。
自分を殺そうとした佐野を助けようして東條を押さえ込んで「逃げろ!」と叫ぶ真司、かっこよかった。真司のこういうところ、すごく好きだ。
……結局助けられなかったわけだけど。
浅倉の死体蹴りは、とてもかっこ悪い。コイツ、戦闘狂なわりに卑怯なことしまくりだよな。相手が万全の状態のときに戦って倒したいとは思わないのか。
この回は佐野の退場回ということで、ライダーを辞めたいのに逃げられない佐野の苦しみにスポットが当てられていた。そして、実は佐野の嫌な部分もものすごく出ていた回だったと思う。佐野視点で見ているからあまり目立たないけれども。
なにがって、金持ちになったとたん態度を急変させるところがね。金がないときはヘコヘコして、金持ちになったら急に札束見せびらかして偉そうにするようになって。最低な奴だと思うよ。
まあその汚い部分も含めて人間くさくて、だから憎めないんだけど。それに、モンスターに人を食わせるような極悪人がこの番組には三人(須藤刑事、浅倉、神崎士郎)も出てくるから、それに比べれば大分マシではあるし。
東條は本当に怖い。「大事な人だから殺す」って理屈が意味不明で。でも全然幸せそうじゃないし(佐野曰く「目が死んでる」)、こういうおかしな思考しかできないのがちょっと可哀想にも思えてきた。
佐野が東條に「俺たち友達だよな?」って顔を見もせずに訊いて、東條が小さく頷く(佐野には見えていない)シーンは結構好き。佐野は本当は東條のことをどう思っていたんだろう。利用しようとしていただけなのか、それとも本当に友達だと思っていたのか。そう言えば、佐野は金持ちになっても東條に対してだけは態度を変えなかったんだよな。
佐野の退場シーンは、悲痛な叫びが印象的だった。インペラーの最期はトラウマものの悲惨さだと聞いていたんだけど、予想していたほどひどくはなかった。あのガゼル軍団に踏み潰されるか食われるかするのかと思ったら、ただ消えるだけで。
むしろ、「出てきたばっかりなのにこんなにインパクトのある退場シーンを用意してもらえて良かったね、佐野!」みたいな感じで見ていた。王蛇に蹴られて終わりでも良かったのに、しぶとく生き残って足掻くから可哀想感が出たわけで。ものすごくあっさり退場した芝浦と比べたら大分恵まれてる。
佐野と芝浦って、私の中では結構かぶる。ヘラヘラしたチャラい若者で、軽い気持ちでライダーバトルに参戦しているところとか。芝浦の方が大分子供っぽく見えるけど、年齢も一緒だったよな。方向性は違えどどっちもウザいキャラだし、自己中かつ浅はかなところも似ているような。
多分大方の視聴者にとってはそうじゃないんだろうけど、私から見ると佐野と芝浦のクズさはそう変わらないレベル。下手したら佐野のほうがクズかも、と思うくらい。
芝浦は煽りスキルが高くて、人の神経を逆撫でするような物言いをするから、実際やっていること以上にひどく見えるだけだけなんじゃないだろうか。少なくとも人は一人も殺していないんだから、何人も殺しているような須藤刑事や浅倉みたいなのと同レベルの悪役扱いされるのはおかしい。
芝浦の悪事はパフォーマンスっぽく見えるんだよな。多分ワルに対する憧れがあって(要するに厨二病)、頑張って「ヤバい奴」の雰囲気を出そうとしている。
でも、ちょっとでもチャンスがあったら迷わず容赦なく相手を殺せるほどの度胸があるかって言ったら、多分ない。口だけっていう印象。実際、ドラグレッダーのカードを本当に燃やす気はなさそうだったし。
佐野は一見普通の若者っぽくて、特に悪いことをしている意識もなく簡単に人を裏切ったりするところが怖い。怯える優衣に武器を向けたときの「可愛いのにな~(ヘラヘラ)」が特に佐野のヤバさを物語っていたと思う。 まあ、東條はもっと怖いっていう点は言うに及ばずだけど、佐野だってただの無垢な被害者ではない。私は佐野が悪い奴じゃないとか、ごく普通の若者だなんてまるっきり思えないな。
同情はするけど、結構自業自得な最期だったと思う。散々人を裏切ってきたから、今まで自分がやってきたことが跳ね返ってきたような形で最後に裏切られた。そもそも最初に東條を助けたのだって、純粋な親切心じゃなくて打算からだったんだろうし。