今、新聞もテレビもロシアによるウクライナ侵攻の話題で持ちきりだ。この報道量と人々の関心の高さやウクライナへの同情ぶりにどうしてもパレスチナとの落差を思ってしまう。
渋谷の抗議集会にたくさんの人が集まったというニュースにさえも、モヤモヤした感情を持ってしまった。私は少し前にイスラエルの侵略行為に対する抗議行動に参加したことがあるけど、そのときは数十人しか集まらなかったのにって。
ロシアが非難されすぎなんて思わないし擁護する気も全く無い。プーチンはクソだ。でもロシアと同じくらいイスラエルのことをニュースでちゃんと取り上げてちゃんと批判して欲しいとは強く思う。ロシアを擁護する意見は少なくともテレビや新聞などでは見ることはないのにイスラエルには擁護意見がワンサカ。どっちもどっちだとかイスラエルも被害者みたいに言われたり。
防衛副大臣の「イスラエルとともにある」発言も、大した問題にもならなかったよな。野党も追求しなかったし。今政府の要職にいる人間が「ロシアとともにある」なんて発言したら大騒ぎになりそうだけど。
ロシアがしたことは悪いが、ロシアが特別な「ならず者国家」で他の国はそんなことをしないかと言われればそんなことはない。
20年ほど前、アメリカはイラクに大量破壊兵器があるという今のロシアとそっくりな言い分でイラクを侵略した。そして日本もそれに加担したが、未だにその反省もない。
最近あったイスラエルによるパレスチナへの空爆をバイデンは支持すらしたし、そしてそのアメリカ自身、ロシアと同時期にソマリアを空爆した。イスラエルによるシリア空爆、サウジアラビアによるイエメン空爆も同時期にあった。そしてこれらはほぼ全く報道されていない。
繰り返すがロシアを擁護する意図は全くない。どちらも同じように批判して欲しいだけだ。それができなくても、せめて最低でも日本やアメリカやイスラエルの侵略行為の擁護はするなよ。
最近ニュースを見ていて感じるのが、正しく民主的である「こちら側」と非民主的で後進的な「あちら側」という二つの勢力があり、日本が属しているのが「正しい側」であるという前提の上で全てが語られていること。「こちら側」というのはつまりは西側諸国のことだけど。
あちら側の起こす戦争は常に侵略だが西側諸国が起こす戦争はやむを得ないものである、同じ戦争でも「あちら側」のような侵略者とは違うのである、みたいな感覚を多くの日本人が持っているような印象を受ける。
そして、この機に乗じて中国が攻めてくるかもしれないとか、中国が台湾に侵攻するかも、なんて言って中国驚異論を煽る人間が「リベラル」も含め少なくない数いる。
でも実際に他国を空爆した実績はアメリカやイスラエルやフランスにはあっても中国には無かったと思う。そしてアジアで一番の侵略国家は日本だ。かつてアジアの多くの国を侵略したことの反省は不十分なままに、日本が戦場になったときの辛い体験ばかりが語り継がれている。自分を被害者側に置き、他国に攻められる心配ばかりしている日本人は多いが日本が他国を侵略してしまう心配も少しはしたらいいと思う。