数年前から「日本すごい」みたいな番組が多くなってきて辟易している。でもその一方で、日本はこんなにひどい、だから先進国とは言えないみたいな言説を見ても嫌な気分になる。こういった言い方ひとつで、その人が発展途上国と呼ばれる国々のことをどう見ているかがよくわかる。先進国、というものに異常な価値をおいていることも。
日本は先進国だ。それは経済発展度を基準にした、ただの客観的評価であって、別に立派なことでもなんでもない。経済以外で「遅れた」面を持つ先進国は、日本以外でも少なくはないだろう。例えばイギリスは、旧態依然とした王制や貴族制をいまだに維持している。
先進国と呼ばれる国はほとんどがヨーロッパだ。先進国が経済だけでなく、その他あらゆる面でも優れているんだと考えることはユーロセントリズムにつながってくる。
普段差別に反対している人でも、欧米圏以外の地域を下に見ることになんの疑問も抱いていないケースはよくある。
例えば、女性差別反対の文脈で、男尊女卑の激しい地域としてすぐイスラム諸国を持ち出す人がいる。その国々に詳しいわけでもないのに。それでポジティブな例として挙げるのは大体欧米だったり。そういう人が非常に多くて何度も失望した。
欧米も、ジェンダー方面に限っても日本よりクソな部分もたくさんある。
アメリカはマッチョイズムの強い国だ。筋骨隆々とした男性が非常に好まれるし、中性的な男性に対する風当たりは日本より強いように感じる。
レディファーストだって、ミソジニスト以外からの否定的意見をほとんど見ないけど、あれも一種のマッチョイズムなんじゃないかという気がする。自分があれをやられたらとても居心地が悪いだろうと思う。常に性別を意識させられている感じで。変に見下すことなく普通に接してくれればいいだけなのに。
あと、一番キツいだろうと思うのはカップル文化。それに関連して日本にはないプロムみたいな地獄の行事もあるし。
日本は人種・民族差別も性差別も根強い国だと思ってるし、日本のひどさを示すために他国を引き合いに出すのも有効な戦略の一つではある。でも、欧米を過度に理想化するのも危険だし、ついでにアラブ諸国やアジア諸国をバカにするような物言いをするのはとても失礼で差別的だ。