リオオリンピックで、私が体操以外で一番注目していた外国人選手がマレーシアの英雄、リー・チョンウェイ。バドミントン男子シングルスの選手。
私はバドミントンのことはあまり知らないんだけど、マレーシアという国には興味があった。それで、マレーシアのことをいろいろ調べているうちにリー・チョンウェイのことを知った。
リー・チョンウェイは北京とロンドンの二大会連続で銀メダルをとっていた。どちらも決勝の相手はリンダン。二人は宿命のライバル、という感じのようだ。
マレーシアはオリンピック金メダルをとったことがない。今回、ミックスダブルスと男子ダブルスで決勝に進んだものの、どちらも決勝で敗れている。マレーシア初の金メダルはリー・チョンウェイにかかっていたわけだが。
宿命の相手・リンダンと、今回は決勝じゃなくて準決勝で当たった。この試合はどうしても見たかった。フジテレビで放送すると聞いて楽しみにしていた。なのに、日本選手が出るはずの女子シングル3位決定戦が相手選手の棄権によりなくなったせいか、バドミントンの放送ごとカットしやがった。しかも、フジが放映権を持っているせいでNHKのサイトでもgorin.jpでも見られない。フジテレビに苦情の電話をかけようと思ったくらいにはイラッときた。私ですらそうなんだから、熱心なバドミントンファンならなおさら悔しかっただろう。
なんとかして見る方法はないのか、とTwitterでいろいろ検索してみた結果、この試合が見られるサイトの情報を得て、3セット目から見ることができた。
すごい試合だった。取って取られてのシーソーゲーム。二人とも、どんな鋭い打球でも打ち返してくる。バドミントンのトップ選手同士の試合ってこうなんだ、って感動した。いいもの見せてもらった。日本選手が出てないからってこれを放送しないフジテレビはアホだ。
最後の最後まで、どっちが勝つかわからない状態。接戦を制したのは、リー・チョンウェイ。北京、ロンドンと連敗していた相手に、やっと勝った。
最後、チョンウェイに負けて悔しいだろうにすぐ駆け寄って祝福のハグをしにいったリンダン、かっこよかった。
その翌日行われてた3位決定戦ではリンダンを応援していたんだけど、負けてしまった。前日に比べて、動きにキレがないように見えた。あの激戦での疲労は相当なものだったんだろう。
そして、チョンウェイも……。また、銀メダル。チョンウェイは十分な実力がありながら、世界選手権でもオリンピックでも金メダルを手にしたことがないらしい。無冠の帝王、あるいはシルバー・コレクターか。
今度こそ、と思ったんだが残念。でもチェンロン嬉しそうだったな。それだけ金メダルにかける思いは強かったんだろう。当たり前だけど、勝ちたい気持ちはみんな同じだもんね。勝者がいれば敗者もいる。仕方ない。決勝戦でのチェンロンの動きは素晴らしかったしね。
決勝戦でリー・チョンウェイを応援していた人は日本にも結構多かったみたい。あんなに強い選手なんだから、一度くらいは金メダルをとってほしいって気持ちがあったんだろうな。
やっぱり残念だけど、悔しいけど、33歳でこれだけ出来るって、ものすごいことだと思う。しかも三大会連続銀メダルだよ。素晴らしいよ。
マレーシアは強いスポーツがそんなに多くはないから、その分ものすごい重圧があっただろうな。チョンウェイは前回、期待に応えられなくて申し訳ないと謝っていたらしい。銀メダルという立派な成績だったのに。こういうときになぜか選手が謝罪してしまう文化って、日本だけのものじゃないんだな。マレーシアも同じなんだ。
今回は……謝ったりなんかせずに胸を張って帰国してくれるといいな。