場末の雑文置き場

好きなことを、好きなときに、好き勝手に書いている自己満ブログ。

鉄棒の採点問題

2015年03月28日 | スポーツ

体操の採点の中でも、一番物議を醸すことが多いのが鉄棒の採点だと思う。
鉄棒が男子の花形種目であること、一見地味なひねり技が離れ業と同じくらい重要であることが初見の人にはピンと来ないこと、などがその理由かな。ひねり技というものが存在すること自体知らない人も少なくないだろうし(昔は私もそうだった)。

2014年の世界選手権でも一番問題にされたのが鉄棒だった。このことについての私の考えはここに書いた。
2004年アテネオリンピックのときも、ネモフのダイナミックな演技に意外と点が出なかったことで客席からブーイングが起こったりしていた。2008年北京オリンピックの鄒凱は(実はとても難しいことをやっていたんだけど)一見地味な演技で金メダルをとったので、ネットでは叩かれていた。

2011年世界選手権東京大会の種目別鉄棒では、中国の鄒凱と張成龍が1・2位、内村は3位だった。そのとき上位二人が結構叩かれていたのを見た。内村が1位じゃなきゃおかしい、って。いたたまれない気持ちになった。
鄒凱や張成龍の得点が内村より上だったのは、そりゃあ仕方ないよ。D得点(実施した技の難度のトータル)にかなりの開きがあったもの。パッと見綺麗だったりダイナミックだったりするだけで点が出るわけじゃないよ。綺麗さはもちろん重要な要素ではあるけれども。

そして、内村の演技のほうが美しいって単純に言い切れるかな。
足先の綺麗さや離れ業の姿勢なら内村のほうが上だと思う。でもひねり技の綺麗さに関しては中国の二人の方が上回っているんじゃないだろうか。
その点こそ、内村と鄒凱や張成龍の鉄棒のE得点の差があまりつかない理由ではないかなと私は推測しているんだけど。内村はひねり技の精度で点を引かれているのでは?
足先のことについては、いつも嫌というほど指摘がある。なのにひねり技のスムーズさや角度などについてはいつもあまり触れられないのはなぜだろう。日本選手が苦手としているから?

一般人ならこういうことでゴチャゴチャ文句つけるのも仕方ないとは思う。でも日本体操協会公式ブログの記事には少し引いてしまった。その記事では、内村の演技を手放しで賞賛する一方、金・銀の選手たちの演技については悪い点しか述べず。さらに、内村の得点が出ると(二人の中国選手より低かったことに抗議して)会場から大ブーイングが起こった、と書かれていた。
私はこの試合を会場で観ていた。採点に文句を言っていた人達は確かにいたよ。でも……、ブーイング? 「大」ブーイング? 私はそんなもの聞かなかったので、これを見て首をひねった。少なくとも、私の周辺ではブーイングした人なんて一人もいなかった。なんだろう、印象操作でもしたいのか? と思った。
特にこの「大ブーイング」のくだり、文章から悪意がにじみ出ていてちょっと嫌な感じがした。採点がインチキだ、と言っているわけではないし、そんなことは思っていないだろうけど、それにしてもね。

素直に勝者を讃えることができる、っていう点では中国のスポーツ報道の方が日本よりずっと上だと私は思う。2013年の世界選手権で白井が床の金メダルをとったときだって、鄒凱は白井の演技を絶賛していた。内村のことも、中国では素直に賞賛されている。

だけど、日本のメディアは文句なしに素晴らしいオールラウンダーだった楊威のことを褒めたか? あまりそういう話は聞かないよね。
完敗した北京オリンピックのときですら、中国は難しいことやってるだけで汚い、日本の美しい体操のほうが優れているんだと言ってたからね。

私が体操でかなり中国贔屓なのは、こういう日本の報道姿勢にうんざりしたせいもあるかもしれない。
北京での中国選手たちの演技に、私は感動したから。だって素直にすごかったもの。圧倒的でかっこよかったもの。イチャモンつけてる奴らカッコワルイ。
せめて中国よりミスが少ない状態にしてからそういうこと言ってほしいな。ミスしまくりの演技なんて、「美しい」とは言えないと思う。
「美しい体操を目指す」という冨田の信念は素晴らしいと思うし、冨田は好きな選手だ。だからなおさら、これを中国sageに使ってほしくなかった。

採点のことから少し話が逸れてしまったので元に戻して。
特に大きな国際試合になると、採点がおかしいと文句をつけまくる人たちがどこからともなく大量に現れる。それはもう、審判が気の毒になるくらいに。
採点競技の得点は、単なる審判の好みやフィーリングで付けられているわけじゃない。ちゃんと細かい基準があって、それに沿った形で採点している。
彼らは競技のことをものすごく勉強してるエキスパートなわけで。もちろん採点に関しては選手よりも知識がある。だから選手が批判しているからといって審判が間違っているとは限らないと思う。もちろん人間だから見落としだってあるけれども。

審判の判断に絶対服従するべきとは全く思わないけど、少しくらいは敬意を持ってもいいんじゃないかな。ルールをよく知りもしないで批判するのはやっぱり間違ってる。
思い込みでの採点批判よりなおさら悪いのは、審判に贔屓されている(と勝手に思われている)選手に対するバッシング。これは完全にお門違いだよ。たとえ採点に問題があったとしても、選手に罪はない。


「ウロボロス」最終回感想

2015年03月22日 | 映画・ドラマ

ウロボロス、男二人の心中エンドだった。

……うん、これはBLだ。紛れもなくBLだな。腐女子フィルターなくても。
今まで散々BLくさいドラマだと言われてても、いやそうじゃないだろ、竜哉は結子先生に惚れてるしイクオには日比野さんがいるじゃないか、と否定してきたのに。

イクオはビンビンに立っていた日比野ルートのフラグをへし折って、夢も希望もない竜哉ルートを選んだ。
悲しい結末だけど、でもこれでよかったと思う。
イクオは犯罪者で、少なくとも二人は人を殺しているわけで。その罪にも問われず、しれっと日比野さんと幸せに暮らしても胸糞悪いだけだ。自首エンドでも良かったというか、そのほうが私は好きだけどこれはこれで。

今まで驚異の不死身っぷりを見せていた竜哉。最終回だけ子供に一発撃たれたくらいであっさり死ぬんだな。
でもすぐに医者に連れていけば死ななかったかもね。まほろばなんか行っとらんと、早よ病院行けとは思った。もう無理して生きる気がなくなったということなんだろうけど。

twitterでちょっと検索してみたら、竜哉を撃った警視総監の息子許さんていう意見が結構多くて驚いた。
いや、彼はなんも悪くないと思う。むしろ被害者だよ。竜哉に銃付きつけられたりもしてたし。怖かったんだよ。お父さん助けたくて必死だったんだよ。いい子じゃないか。銃を持って人の家に上がり込んだ竜哉が殺されるのは、正直自業自得だと思う。
捕まりはするだろうけど、情状酌量の余地がかなりあるからそう重い罪にはならないだろう。でも人を殺してしまったっていう事実が一生もののトラウマになりそうで気の毒だ。

竜哉はドライブの途中で事切れている。だからイクオが一人で竜哉の死体をまほろばの中に運び込んだんだよね。その様子を想像するとちょっと笑える。
そして死体に笑顔で話しかけるイクオ。これは怖い。狂ってる。最初はヤクザの竜哉のほうが怖いと思ってたけど、違った。イクオのほうが数段ヤバい奴だった。

残された日比野さんはすごく可哀想だ。お父さんも殺されてるし。
日比野さん、いい子だと思う。私は日比野さんが一番好きだ。戦闘力高くて頭も良くてキリッとしていて、なおかつ健気ってところがとてもいい。
「俺がお前を守る」的なことを言う男は嫌いだけど、日比野さんの「龍崎さんは私が守ります」発言にはなぜかぐっときたよ。日比野さんかっこいいよ日比野さん。

でも仮にイクオが生きていて日比野さんと一緒になっても、二人とも幸せになれなかったと思う。日比野さんはとってもまともな人だから。イクオと違って。それをわかってるからイクオも日比野さんを選ばなかったんじゃないかな。


鄒凱選手のこと その3

2015年03月20日 | スポーツ

2012年のロンドンオリンピック。鄒凱が代表に選ばれたとわかったときはすごく嬉しかった。中国は選手の層が厚かったし、前年もすんなり代表に選ばれたわけじゃなかった(最初は補欠だった)こともあって、かなり不安に思っていたから。

そして、ロンドンオリンピックでの鄒凱の活躍は凄かった。団体・金、種目別床・金、種目別鉄棒・銅という素晴らしい結果。
団体から種目別床までは、人間やめちゃってるんじゃないのと思うくらいの凄みを感じさせてくれた。最後の種目別鉄棒で人間に戻ってしまったけどね。鉄棒は金メダル候補筆頭だっただけに、3位という結果は少し悔しかった。

団体も床も鉄棒も、鄒凱の演技中は緊張しすぎて胃が痛くなりそうだった。特に最後の鉄棒。安定感のある選手なんだけど、思い入れがある分一番見ててハラハラする。

そのロンドンオリンピックの種目別床で金メダルをとったとき、鄒凱が掲げていた巻物に書かれていた「五金冠九州」という言葉の意味について。
「五金」はオリンピックの5つの金メダルで、「九州」は中国全体を表しているんだと思う。「(オリンピックでの)5つの金メダルは、中国で一番だ」と。
5つというのは、北京オリンピックで獲得した3つの金メダルとロンドンオリンピックで獲得した2つの金メダルの合計。種目別床の金メダルをとるまでは、鄒凱の獲得した金メダル4つで、李小鵬(リー・シャオポン)選手と並んでいた。5つ目の金メダルを獲得したことで、鄒凱は李小鵬を上回って中国史上最高の金メダル数を誇る選手になったということ。
この「五金冠九州」という文字を書いたのは李寧(リーニン)。中国のかつての名選手。現在は大手スポーツ用品メーカーの経営もしているらしい。

最初からこんなものを用意していたくらいだから、よっぽどの自信があったんだろうな。私なんかは鄒凱を半分くらいは信じつつも、でも内村選手に負けてしまうんじゃないかとハラハラしながら見守っていたんだけど。

そして鄒凱、中国選手では珍しいことに嫁がいる。しかもすっごい美人。そして鄒凱より背が高い。ロンドンオリンピックのあと結婚したらしい。
彼女がいることは前から知っていたから特に驚きはなかったけど、中国の現役の体操選手が結婚するって許されるんだ、とは思った。なんとなく中国ってそのへん厳しそうなイメージだったから。

嫁がいようがいまいが、そんなことは関係なく私は鄒凱を応援してる。だって本当に全く関係ないことだから。
当然ながら、結婚したいとかそういう望みを抱いているわけでは全くなかったし。バーチャル恋人でもないし。あくまでも選手として応援してただけ。萌え対象でもあったことは確かだけど。
ただ、ウェイボーで嫁と一緒に写ってるアイコンを使ってるのを見たときは本気でイラッときたけどな!

2013、2014年の世界選手権では、残念ながら鄒凱は代表に選ばれなかった。でも、私はそれほど悲観してない。鄒凱が世界選手権の代表落ちするのって、決して珍しいことではないから。北京オリンピック後は、すんなり代表に決まったのは2009年だけ。
そういうわけで、復活の可能性は十分あると思ってる。終わった選手だなんて全然思ってないよ。

ファンになりはじめた北京オリンピックの頃は正直、鄒凱がここまで息の長い安定した強い選手になれるなんて思わなかった。確かにあのときは金メダルを取ったけど、地元ということもあったし。一発屋に終わることも危惧してた。
鄒凱は本当に強くなって、勝っているのが普通の状態になってきて。それで私の鄒凱に対するハードルもだんだん上がっていった。世界選手権の種目別床で銀メダルという立派な成績を残しても「悔しい」と思ってしまうほどに。

でも金メダルじゃなきゃ嫌だなんて贅沢だよね。メダルをとるだけだって本当に大変なことなのに。
私は横浜ベイスターズというクッソ弱いプロ野球チームのファンでもあるんだけど、ベイを応援しているときの気持ちを少しでも思い出してみればいい。最下位がデフォだと思ってるから、6チーム中5位になっただけでも結構嬉しくなるじゃない。
きっとこれからはなおさら、年齢による衰えも出てきて「勝つのが当たり前」なんて状態ではなくなるだろう。だからあまり高望みはしすぎないようにしよう。

それに、鄒凱はこれまで十分すぎるほどファンの期待に応えてくれた。ロンドンオリンピックでの活躍はしっかり見届けられたし。今後世界選手権やオリンピックで代表入りできなかったとしても、今まで残した実績は本当に素晴らしかった。だからそれで満足しないといけないかなと思う。

これからも応援してます、鄒凱選手。でも、できればまた世界選手権での演技が見たいな。


鄒凱選手のこと その2

2015年03月15日 | スポーツ

北京オリンピックで鄒凱にハマり、その翌年、2009年の世界選手権ロンドン大会で再会した。

鄒凱は相変わらず可愛かった。そして強かった。


上はそのときの種目別床の演技。オリンピックのときより良かったと思う。結果は2位だったけど。
それにしても本当に童顔だな鄒凱。とても21歳には見えない。

鉄棒では優勝。地元じゃないし難しいかなと思ったらあっさり金メダルを取って。ああ鄒凱の実力は本物だったんだ、北京オリンピックでの活躍はまぐれじゃなかったんだってわかって嬉しかった。

鉄棒の表彰式で、表彰台の真ん中でニコニコしている鄒凱くんはとても可愛かった。萌えた。両脇のゾンダーランド(173cm)とカッシーナ(180cm)との身長差も良かった。
その表彰式の動画を探してみたけど見つからなかった。残念。

一番ルックスが好みなのはこの頃かな。今は少し大人になってしまった。それでもまだ十分童顔だし可愛いけどね。

2010年の世界選手権では、鄒凱は代表落ち。団体戦で鄒凱のいない中国チームを見て、なんとも言えない寂しい気持ちになった。

2011年も鄒凱は代表に選ばれず、補欠だった。
2年連続での代表落ち。鄒凱はもうダメになってしまったのかと思って絶望的な気分になった。

そしてその年の世界選手権の開催地は東京だった。鄒凱は出ないと思ってたけど、もともと体操は大好きだし、せっかく東京で世界選手権が開催されるんだから、と思って最終日のチケットは買っていた。

BSフジで放送されていた世界選手権の予選二日目の映像で、補欠のはずの鄒凱の姿を見たときはテンションが上がった。まさか出てくるとは思わなかったので、しばらく興奮がおさまらなかった。
日本チームの予選は一日目に終わっていたため、その日は中国チームの様子をたっぷりと見せてくれた。一般的にはあまり需要のない放送内容だったかもしれないけど、実に私得だった。普段見られない鄒凱の平行棒や鞍馬の演技(かなりクオリティ低い)まで見られて。フジさん本当にありがとう。
この映像は永久保存版にしようと思ったのに、いつの間にかHDからデータが消えていて悲しかったな。

予選の結果が芳しくなかったので、団体戦で中国チームがどうなるか心配してたけど、全く問題なく金メダルを取った。そのときは日本チームも同じくらい応援していたので悔しい気持ちも半分くらいあったけど、鄒凱が金メダルを取れたことは嬉しかった。

種目別決勝一日目の床では、鄒凱は日本の内村に負けて金メダルを逃してしまった。世間が大喜びしている中で、私の気持ちはドヨーンと沈んでいた。このときは世間と自分との温度差をものすごく感じた。

最終日は、チケットを買っていたので会場で見た。平日だったけど客席はほぼ埋まっていた。
鄒凱が出るのは最終種目の鉄棒。その前日、あまり良くない出来で床の金メダルを逃していたから心配だった。今度はメダルも無理なんじゃないかとすら思えてきて。

鄒凱の鉄棒の演技が終わって、その得点が表示されたときの衝撃と嬉しさは今でも忘れられない。
16.441。そんな点数、今まで跳馬以外で見たことなかった。鳥肌立ったよ、本当に。演技を見ていた瞬間は緊張しすぎて感動どころじゃなかったんだけど。

最終日の一番最後の種目で、私の目の前で金メダルを取った鄒凱に、そのとき本気でときめいた。あの日のことはきっと一生忘れないと思う。 
近くの席の人たちが「内村の方がいい演技だった、内村が金メダルじゃないのはおかしい」とルールも知らないで文句をつけていたのにはイラっときたけど。

私が鄒凱を好きになったのは、童顔で可愛いからっていう本当にしょうもない理由で、演技にはそれほど魅力を感じていたわけでもなかった。でも、最近は鄒凱の演技がすごく好きだ。特に床はダントツで好き。

鄒凱は見た目が子供っぽくて体操選手の割には線も細いので、かなり弱そうに見える。それなのに普通に強い。華奢な少年(っぽく見える選手)がゴリゴリムキムキで見るからに戦闘力高そうな選手たちを破るっていうシチュエーションにすごく燃える。

ここまでの文章を読み返してみて思った。
うん、気持ち悪いね。自覚はある。ものすごくある。あるんだけどやめられない。