場末の雑文置き場

好きなことを、好きなときに、好き勝手に書いている自己満ブログ。

パリオリンピック雑感ーどちらかと言えばオリンピック反対の立場から

2024年08月18日 | スポーツ

閉会式も終わってしばらく経って今更だけど、パリオリンピックについて色々と思ったことがあったので書いてみる。

まず、一番気になることはロシアとベラルーシの選手は出られないのにイスラエルの選手は普通に無条件で出られるというダブルスタンダード。ベラルーシですら出られないならアメリカだってイスラエルを思いっきり後押ししてるし……って考えると収拾つかなくなるからみんな出場させたらいいと思う。「平和の祭典」を名乗るなら。
ロシア・ベラルーシの選手も条件付きで個人としてなら出場できるみたいで、その代わり表彰式での国旗掲揚と国歌はなくなるらしい。ロシア・ベラルーシに限らず表彰式での国旗国家なんてみんななくせばいいのに。

イスラエルのことを抜きにしたとしても、オリンピックというイベント自体に色々と問題がある。国威発揚的な側面だとか国ごとの金メダル数カウントみたいなくだらないことやってるとか、商業主義だとか。私も若い頃はオリンピックが好きでそういう側面を無視して楽しんでいたが、それではいけないと今は思う。
オリンピックなんてなくても競技ごとの世界選手権だけでもいいんじゃないだろうか。4年ごとに特別な大会があって、そのときだけ活躍した選手が毎年コンスタントに結果を残し続けた選手よりも評価されるっていうのもモヤモヤするし。

それに加えて、ガザが大変なことになっているのにこんなことで浮かれていていいのか、などと思いつつも、体操だけはしっかり見てしまった。体操ファンなので。オリンピックでもそうでなくても目の前に体操の試合があったら見ずにはいられない性分なので。

体操と言えば宮田のタバコ問題。SNSを見ると、20歳未満は酒タバコ禁止というのは若い人を罰するためではなく守るためにある法律である、という立法趣旨が全くわかっていないまま議論している人が多いような印象を受けた。罰則の対象は本当は本人ではなく周りの大人だし、法律違反だけど犯罪ではない。それなのに、宮田のことを犯罪者呼ばわりして、万引き犯、下手したら性犯罪者と同列みたいに語られるのを見てしまって悲しくなった。
私は宮田の今回の処分は行為に比して重いと思う。宮田が自分で辞退したということにはなっているが、周囲の圧力はあっただろう。
ちなみに、私は今の日本の女子体操選手の中で宮田が断トツで好きだ。しっかりした体格と力強い演技が魅力的な選手だと思う。宮田がこれで潰されてしまったら悲しい。今まで宮田のことを全く知らなかった、演技を見たこともない人たちが好き勝手に叩いているのを見てとても腹立たしく思っている。

競技のことについて。
男子団体決勝の終盤での蘇煒徳(スー・ウェイデ)の大きなミスと種目別鉄棒決勝での落下・着地失敗祭りは胸が痛かった。正直、優勝者おめでとうというよりもそちらの気持ちのほうが勝ってしまった。特に男子団体。
蘇偉徳は粛清されそうとか帰国したら命が危ないとか言ってた人、結構いたけど中国に対する偏見が強すぎるな。そんなことで粛清されたら誰もアスリートになんかならないわ。今回も中国チームのコーチとして来ていた滕海浜(テン・ハイビン)だってアテネオリンピックの団体でミスしまくってチームの足を引っ張って叩かれたけど、その何年か後も代表に選ばれてたし、今は立派にコーチを務めているし。多分蘇煒の気持ちが一番わかるのは滕海浜コーチだろう。
ちなみに日本だったらこういうときに選手を叩かない、って言ってる人もいるけどこれも大嘘。GG佐藤の件とか、同じようなことがあったときに日本人がどれだけ選手をバッシングするかも私は見てきた。そういうのを都合良く忘れる人が多いんだな。
蘇煒徳が今後どうなるかは周囲のサポートと本人のメンタル次第。今回のことで潰れないで今後も活躍してほしい。宮田も。

体操の大会がテレビ放映されると、つい他の視聴者の反応も検索などで毎回見てしまうのだが、それに関して今回驚いたことが一つあった。オリンピックの体操競技に関する日本の視聴者の反応はヘイト(主に中国選手に対する)とか採点に関するイチャモンが常々あるのに、今回は(上に書いたような中国社会に対する偏見は見られたものの選手に対しては)そんなこともあまりなく穏やかに見られた。むしろ中国選手、特にエースの張博恒(ヂァン・ボーホン)にかなり好意的な反応が多くてとても嬉しかった。男子団体と個人総合で日本選手が金メダルをとれたことで視聴者に気持ちの余裕ができたせいもありそうだけど、少しだけ希望の持てる出来事ではあった。
ちなみに中国に礼儀正しくてスポーツマンシップのある選手が多いのは、私が体操を見始めた15年以上前からずっとそう。あと平均的に日本選手に比べて愛想が良くてカメラパフォーマンスなども積極的にやってくれる。それなのに中国選手のことを変な色眼鏡で見ていてそのことに気付かない人が今までは多かったが、今回変わって良かった。

体操競技は基本的には個人戦かつ相手を打ち負かす競技ではないので、国は関係ない、というスタンスで見やすいのがいいところだと思う。自国選手に限らず好きな選手を応援している、というファンが対戦型競技に比べれば多い。私もいつもそんな感じで体操を見ていて、日本の金メダル数にはあまり興味がない。なるべく多くの選手が失敗せずに良い演技をみせてくれるのが一番いい。  
誰が金メダルで嬉しかったとかどの演技が素晴らしかったとか、思ったことはいろいろあるけど浮かれている場合でもないと思うので、パリオリンピックの体操に関する話はこのくらいにしておく。

次に柔道の話。
柔道はニュースでのダイジェスト程度しか見ていないんだけど、外国選手が勝つと「あれは柔道じゃなくてJUDOだ」とか審判がどうのとか言ってる日本人が散見されて、大変みっともないと思った。そんなのただの負け惜しみでしかない。昔のルールのままだったら競技人口の多い世界的な競技になんかなっていないだろうが、それでいいんだろうか。鎖国でもしたいのか。
「誤審」と騒がれているものも、本当に誤審なのだろうか? 基本的にテレビの解説者は日本選手寄りの解説をするし、視聴者も日本選手贔屓のフィルターがかかった目で試合を見ているだろう。その結果、日本寄りでない公平な判定がおかしなもののように見えてしまっているだけ、という可能性もあるのでは? 私は体操で「日本選手の点数だけ不当に低くされている」あるいは「中国選手の点が不当に高くされている」と思い込む人が毎回現れるのをずっと見てきたので、柔道でも似たような現象が起こっているのではないかという気がしている。

また、柔道には私が悪い意味で注目していたイスラエル代表のピーター・パルチックも参戦していた。新宿のパレスチナ連帯デモを妨害してきたクソ野郎だ。私もそのデモに参加していて、この人がわざわざ柔道着に着替えて威嚇してくるところを目の前でしっかり見ていた。しかもそれだけじゃなく、パレスチナに打ち込む爆弾にサインして、それを嬉々として自分のSNSに載せたりもしていたらしい。
その選手が柔道で銅メダルをとり、「大切なのは平和」などとほざいたとか。大変胸糞悪い。どの口が言ってんだと思う。そしてそれを美談みたいに取り上げる朝日新聞も最低。

最後にボクシングの話。オリンピック関連だと、SNS上ではこの話題が一番盛り上がっていたのではないだろうか。女子競技に出場した選手の中にトランスジェンダーがいるとのデマが拡散されたが、その選手たちはトランスジェンダーではなくDSDだったことがわかった。だがデマを撒いた人らは全く反省していないようだ。(トランスジェンダーが女子競技に参加することが悪いとも私は思わないが、今回とは関係ない問題なので深く立ち入らないことにする。)
成長した後になってからテストステロン値だの染色体だのを審査して、場合によってはその人を女性の枠から外す、みたいなやり方はど真ん中の女性差別ではないか、というのは前から言われてきたことだ。テストステロン値が高ければ高いほど有利なら男性だって同じはずなのに、男子選手は通常の男性よりはるかにテストステロン値が高くても全く問題にされることはない。しかも性別が疑われるのはほとんどの場合非白人の選手だ。
性別は実は厳密に2つに分けられるものではないらしいし、こういうのは女性を弱くあらねばならないとして決められた枠に押し込むような行為に思えてしまう。

悪名高きJ.K.ローリング(ハリポタ作者でトランスヘイター)もこのデマを拡散していたとか。被害者のImane KHELIF選手はローリングとイーロン・マスクらに法的措置をとるらしい。
ローリングは本当にそろそろなんらかの制裁を受けてほしい。ハリー・ポッターを持ち上げるのももうやめよう。舞台ももう上演しなくていいし、テーマパークもやめたほうがいい。さすがにここまで来ると、作者と作品は別だという言い分ももう苦しくなるのでは。


世界体操inアントワープ 男子団体決勝の感想

2023年10月04日 | スポーツ

ちゃんと2時半に起きてリアルタイムで見た。目覚まし時計のセットは上手くいかなかったけど奇跡的に起きられた。

中国はアジア大会で本気を出しすぎたせいであわや予選落ちの危機だったけどなんとか決勝に残れて良かった。張博恒や雛敬園は出ていないとは言え、こちらも良い選手が多いし、やっぱりいないと物足りないので。
中国チームは若手中心かと思いきや大ベテラン31歳のヨウハオもいるし、ほとんど知っている選手だった。見たことない選手は蘇煒德だけ。身長高そう。鉄棒で2回も落下していたけど、引きずらなくてよかった。この演技以外はほぼ過失なしだったかな中国チームは。予選は散々だったけど、結局2位に入ってくるあたりは流石。層が厚い。
アジア大会にも出てこちらにも急遽出場になったチャオパンが吊り輪以外の5種目で出ているのを見て、体力すごいなと思った。体操選手としては結構ベテランなのに。あと、ヨウハオのあん馬は初めて見たかもしれない。

今回は余裕で日本チームが勝つだろうと思っており、実際その通りだったので、どこが優勝するかのドキドキ感は特になかった。その分穏やかな気持で見られはしたが。

話は変わるが、個人総合の予選で橋本が日本選手の中で3位になり、2位の萱が辞退して橋本出場となった件。橋本の実績と安定感を考えればそうなるのかな、とは思いつつも、当事者からしたら納得行かないところはあるだろう、と坂本が北京五輪当時の複雑な思いを語っていたツイートを見て思った。当時はそんなに気にしてなかったけど、下ろされた方の気持ちを考えてみればそりゃそうだよな。


杭州アジア大会の体操・種目別も最高だった

2023年10月01日 | スポーツ

アジア大会の体操、テレビではカットされまくりで物足りないのでユーネクストに入会してしまった。全員分の演技が見られるところがとてもいい。テレビ放送分では結構カットされていたから。入場シーンや表彰式も含めても含めて全部見てしまった。入場シーンではちょっとゲームっぽい演出もあったりして面白かった。
平行棒決勝中の谷川翔と鄒敬園の会話や表彰台での3人ハートという、テレビでは決して放送されないレアなシーンを見られたのも良かった。何語で話してたのかな。英語っぽくは聞こえなかったんだけど気のせいだろうか。

ユーネクストで見ていると解説の流れない沈黙の時間が長かったりするのは少し気にはなったかな。点数を待つ間とか。この辺はアナウンサーもうちょっと頑張ってくれたらな、とは思った。技のことなど詳しくてよく勉強していたのは素晴らしいけど。TV版はこの辺上手く編集されていたな。

亀山耕平さんの体操愛あふれる解説、とても素敵だった。日本以外の選手にも「頑張れ」って言うし、良かった演技は興奮気味にベタ褒めするし、全ての選手に対するリスペクトが感じられた。表彰式で「この選手のファンになりました」みたいなことを素直に言ってたのも良かった。

本題の競技に関して。個人総合も良かったけど種目別も最高で興奮してしまった。特に印象に残ったのは、李智凱(推し)と谷川航。李智凱は相変わらず開脚旋回主体で攻めきって圧倒的スコアで勝利してくれてとても嬉しかったし、谷川航の2本とも着ピタの跳馬も素晴らしすぎた。両方とも難しい技なのに。解説の亀山さんの言う通り、レアだよな。本当にカッコよかった。あと、リ・セグァン2が迫力あってとても好き。
個人的に、マレーシアの選手が跳馬で3位だったことも嬉しかった。テレビ放送ではカットされていたのが残念。メダル獲得者なのに。
鄒敬園はさすがの安定感で、いいもの見せてもらったなって感じ。張博恒はお疲れだったのかな。団体と個人総合をこなした後、吊り輪と跳馬以外の全ての決勝に出ていたからとても大変だったんだろう。難度を上げて挑戦していたけど失敗、という場面が多く見られた気がする。でも鉄棒はしっかり決めて金メダルをとってくるところはやっぱり流石。綺麗な演技だった。

あと、競技と関係ないことだけど、谷川兄弟とユン・ジンソン、いいキャラしてるなと思った。ユン・ジンソンはいつもニコニコしていて、演技では失敗が多かったけどその笑顔に惹かれた。谷川兄弟は華がある、気がする。二人で同じポーズをとったりして仲が良さそうで、カメラを向けられたときのパフォーマンスもサービス精神旺盛って感じでいいな。この二人が揃って安定して世界選手権代表になれて、その上で結果も残せたら日本での体操人気も少しは上がりそう。


杭州アジア大会の体操男子個人総合で張博恒に惚れそうになった

2023年09月27日 | スポーツ

男子の個人総合の試合、本当に素晴らしくて(主に張博恒)とても興奮した。見てる人があまりいなくてこの気持ちを共有できる人がとても少ないのが残念。
今大会の中国のメンバーが本気すぎた。中国も自国開催といえど主力メンバーは世界選手権に向けて温存するかと思いきや、バリバリの一軍を送り込んできていて。あのメンバー見たら世界選手権から外れたメンバーしか出ていない日本チームが勝つわけない、むしろここで中国が勝たなくてどうする、と思った。

張博恒、前からすごい選手だとは思っていたけど、更にパワーアップしたような。5種目終わった時点で他選手を引き離していたのに、最終種目鉄棒でも圧倒的な演技で15点台を叩き出して圧勝。すごすぎる。正直、カッコよすぎてちょっと惚れそうになったくらい。一番の推しは鄒凱(引退済み)っていうのはこの先もずっと変わらないだろうなと思うけど、それはそれとして。
張博恒は橋本と互角くらいの実力だと思っていたけど、今は博恒の方が上かもしれない。今年の橋本は、国内大会で見た限りはそれほど調子が良くなさそうだったのでなおさら。

博恒を世界選手権で見られないのは残念だな。橋本との対決が見たかった。博恒も鄒敬園も肖若騰もいないなら、世界選手権の男子団体決勝では日本が勝つだろうな。もしこれでも中国が勝つようだったら中国の層厚すぎでそれはそれで面白いけど。

どうしても博恒の方に魅了されてしまうけど、もちろん北園も素晴らしかった。最近あまり調子が良くないように見えたけど、復活したかな。これなら世界選手権の代表として出ても活躍できていただろう。

あと、すごくしょうもないこと書くけど、林超攀が垢抜けていて驚いた。髪型が変わっていて、最初誰だかわからなかった。今まであまり似合わない髪型でずっと固定されていて、素材の良さを活かしきれていないなと思っていたのに。やっぱり髪型って大事だな。


世界体操2022 種目別の感想

2022年11月07日 | スポーツ

世界体操が終わってしまった。録画の編集作業なんかをしながら余韻に浸ってはいるけど、少し寂しい。

放送内容には意外に満足できた。生放送が多かったし、いつもよりはたくさんの選手の演技を映してくれたし。
特にCSの放送は、有料だけあって入場シーンや表彰式もちゃんと映してくれたし、種目別は全選手の演技がカットされることなく見ることができたので満足。余計な煽り映像だとかタレントのコメントもなく、体操ファン向けの内容だった。吊り輪と段違い平行棒とあん馬の表彰式は放送時間の関係で映らず、そこは残念だったけど。

体操の大会があると他の人の感想を検索して見るんだけど、今回の大会は見てる人がいつもよりずっと少ないのがよくわかった。放送時間帯が深夜だったり、一部はCSだったりするから当然と言えば当然だけど。テレ朝も全然宣伝しないしな。内村の現役時代だったら深夜でももっと見られていた気はするが。

鄒敬園の平行棒はやっぱり圧倒的だった。スコアも異次元の16点超え。2019年大会では予選落ちだったから、今回は本当に良かった。絶対王者が実力を発揮して順当に勝つのが私は好きかもしれない。波乱なんてなくていい。失敗しないのも実力のうちではあるけど。

床はカルロス・ユーロ、吊り輪は尤浩に優勝してほしかったんだけど、どちらもメダルに届かずで残念。カルロス・ユーロは個人総合ではとてもいい演技をしていたし、もちろん鄒敬園ほどではないけど頭一つ抜けた優勝候補だったのにな。床の種目別決勝で失敗して跳馬と平行棒でリベンジするという、去年と同じパターン。なぜ一番の得意種目では決勝でやらかしてしまうのか。でも、昔ドキュメンタリーで見たときはこんなにすごい選手になるとは思いもしなかったな。本人ももちろんだけど、釘宮コーチもすごい。

平均台は落下が多かった。動きがとても綺麗だったアンドラーデや高難度の演技構成の欧鈺珊の完璧な状態の演技を見てみたかった。それはそれとして、元々補欠だった渡部が優勝したのはすばらしいことだけど。3位になった宮田は個人総合でも入賞したし、これからが楽しみな選手だな。小柄だけど子供っぽい感じじゃなく、体格もしっかりしているのがいい。 

鉄棒の決勝もとても見応えがあっていい試合だった。特に素晴らしかったのは、誰も落下しなかったこと。かなり珍しいことなんじゃないだろうか。
橋本は、多分満足できる演技ではなかっただろう思うけどリューキンが決まったのは良かった。リューキンは好きな技なので、これからも入れ続けてほしい。あとヴィンクラーをやる選手が増えてほしい。誰もやってくれなくて寂しいので。