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応援したい・・・ブログです。(私のではありません)

2008年06月01日 | コラム

以下は、日本のホープと目されるある無所属の著名な政治家への手紙です。


                                               2008年5月28日
衆議院議員
xxxx 様

                    ご提案

 先般はご多忙のところお時間を頂戴し、ありがとうございました。
月刊現代3月号に続き、6/8号サンデー毎日の新党結成の記事を拝見しました。
いよいよ政界に新しい流れをつくる試み、大いに賛同し、心より応援申し上げます。

 さて、先日お会いしたときにも申し上げましたが、日本という国は、組織と人との関係が特殊であり、明治維新、敗戦を通じても全くといってよいほど変わっていない深奥に流れる重低音のような得体の知れないものがあります。私は、これがことごとく日本の変革を妨げていることを、日本と外国との間でずっと仕事をしてきたなかで、ますます強く感じているところです。以下少々長々と書きますが、ぜひお読みください。

 その得体の知れないものとは何かということですが、それこそが「人基準」という魔物です。この10数年ずっとそのことを実証するために、大企業から地方の中小企業にいたるまでコンサルの仕事をしてまいりました。その実経験を踏まえて、今は自信を持ってそのことがいえるようになりました。

 人基準組織は、組織の目的がいつの間にかその組織を構成する人たち自身の目的となってしまいます。昨年の今頃月刊文芸春秋が日本の陸軍、海軍の組織の問題を取り上げ、それが日本を敗戦に導いたことを詳しく論じていましたが、敗戦以上の経済的打撃を受けたバブル経済突入において日本はまたもや同じ様なことをしてしまいました。問題は、個々の日本人は、なんだかだといわれても世界でもっとも規律性が高く、勤勉でモラルも高いのに、集団の組織に入るとなぜこうなってしまうのかです。
 
 90年代以降、政党の離合集散、新党立ち上げなどが繰り返されてきても、誰もこの問題に踏み込まないため、日本は何も変わりません。その間に日本は、どう見てもどんどん衰退化していっています。今回北川正恭氏をリーダーとする“せんたく”が立ち上がりましたが、“民意、地方”といっても、地方に行けば自治体も企業もさらにこの「人基準」がひどいことはコンサルの仕事を通じてもう嫌というほど体験しています。地方分権、道州制などといっても(基本的には賛成ではありますが)ここの問題に触れないで一体何を変えられるのだろうかと思わざるを得ません。政治家も、個人は優れた人もいると思いますが、集団になればまったくこの人基準の呪縛にはまってしまっています。

 「人基準」の対立概念は「仕事基準」ですが、この意味は、組織の目的はそもそも価値創造であり、「為す」ことに価値軸を置き、そこにすべてのOS(オペレイティングシステム)を合わせるということです。日本ではよく「現場主義」という言葉が使われますが、それは言い換えれば、顧客価値に一番近いところで仕事をするということ、つまり仕事基準ということです。トヨタ、キヤノン、花王、ホンダ、武田薬品などが強いのはそれが製造現場のみならずホワイトカラーの組織にまで徹底しているからです。先般お会いしたとき貴殿が、なぜ他の企業がキヤノンや花王に追随しないのかと問われましたが、それは「人」が目的化した特に財閥系などの古い企業のエスタブリッシュされた幹部たちにとって都合が悪いからです。都合が悪いことを先延ばしにしているだけです。このことは官僚組織においても同じではないでしょうか。

 私は、この経営のOSを仕事基準に変えられない企業はいずれ消滅するか、外資にのっとられると思っています。現に、都市銀行はあっという間に3大銀行に集約され、地銀も、一般業界もどんどん集約されています。日産も前の日興證券もはや日本企業ではなく、ソニーでさえトップはもはや外国人です。何よりも、日本全体が競争力をなくし、税金を払おうにも払えなくなってきており、サラリーマンの給料も上がらず、一方で少子高齢化は進み、財政は苦しくなる一方です。政治家は、出口とその使い方にばかり眼がいっていますが、本当に日本が今やらなければならないのは、入り口つまり価値の創造の仕組みを根底から変えることではないでしょうか。痛みを伴ってもそこに突っ込んでくる日本のリーダーがいないから日本が変わらないのではないでしょうか。

このことを踏まえた上で、提案です。

 一言で言えば、まず官僚組織を人基準から、仕事基準に変えることです。これは政治家にしかできません。

 日本人の何か大きいものへの“寄りかかり思想”はもうDNAのようになっており、やはり政府自らが変わらない限り日本は変わらないと思います。しかし自民党が政権を維持しようが民主党が政権をとろうが、新党ができようが今のままの発想、哲学では何も変えることはできないと思います。

 今回の公務員改革で、人事局設置、キャリア制度廃止などが合意されていますが、「人基準」というOSを変えない限り絶対に変わらないと思います。なぜなら、市場競争原理が働くはずの企業でさえ、もう30年以上前から年功廃止、学歴廃止、能力主義、成果主義などと、あれこれやっていますが上に挙げたような企業を除いて何も変わっていない現実があり、まして市場原理の働かない役所がその程度のことで変わるわけがないからです。

 国民の期待は、なんと言っても典型的な人基準である官僚支配体制に真にメスを入れられる政治家群の出現です。志の高い政治家も現れてきていますが、この政治家の皆さんも基本的に人基準から抜け出せておらず、マニフェスト政治といっても、それを言うリーダーがひとりでできるわけではなく、それを実現する哲学やOSができていない以上、絵に描いた餅になること必定と思われます。

 これまでの私の、ほとんどあらゆる規模、あらゆる業種のコンサル活動を踏まえて、それを変えることができるのは、「評価軸」の変更しかないと思っています。ごく単純化していえば給料の払い方の変更です。給料の払い方は、人相ならぬ“組織相”“国相”を作ります。“能力主義”など言っている間は絶対に変わりません。キャリア制度に変えて総合職、一般職などと言葉だけ変えても同じです。21世紀になって未だにこんなことを言っている国は先進国の中で日本だけです。評価はあくまで能力ではなく“為したこと”の価値に給料を払う「仕事基準」です。(為したことが能力という考え方です)為さなければ一銭も払わないという考えです。もとより消費者は完全にそうですから、それに合わせるのは当然です。

 給料の中身は、インパクトの大きさ、責任の大きさ、難しさの三点です。これをマニフェストに合わせてポジションごとに定義すればいいのです。この定義を国民の前で透明に行なうことです。この前少しお話しましたように、欧米ではもう20年以上前から、為した仕事の価値を測るグローバルに通用する物差しができており、私自身米欧のコンサルタント会社でその開発に従事してきました。それを日本で最初に導入して経営のOSを変えたのがキヤノンや花王、伊勢丹なのです。トヨタも、管理職にはとっくにこの手法が入っています。民も官も全く同じです。受益者、負担者を消費者から納税者に置き変えるだけです。市場は価値がなければ一銭も払いませんが、納税者は役人の仕事の価値に関係なく強制的に税を払わされますから、役人は好き放題になってしまったのです。

 官僚制度はこの仕事基準の評価軸に変えれば、必ず変えられると信じます。何とか変えようとする若い官僚たちも出てきていますが、手法が伴っていません。大阪の橋下知事のやり方も同様です。手法が正しければあとは強いリーダーシップです。どちらが欠けても変えられません。

 貴殿が言われるように、これをやりぬくには選挙民に擦り寄らなくても一人で選挙に勝ち上がってくる政治家の集団が必要でしょう。でももう国民は旧態依然としてポピュリズムに堕した政治家には飽き飽きしてきており、そうでない人たちが現れれば必ずやみな応援すると思います。メディアも同様です。すでに、マニフェストとか民意とかの響きのいいレトリックにはそろそろ国民はそのむなしさに気がつき始めており、貴殿には、これらの人たちから明確に一線を引いた存在であって欲しいと思います。そして、真に日本を変えることのできる新しい政党を立ち上げていただきたいと思います。

 随分と僭越なことを申し上げましたが、貴殿は日本のホープと思えばこそと、なにとぞご容赦ください。
益々のご活躍をお祈り申し上げております。
                                                        以上

「日本を仕事基準の国にする会」というブログの記事です。

     以前から、この方の著書を読み・・とても納得ができます。

民主主義の多数決というものは、無神経で横暴なものである・・とは、茂木健一郎さんのブログに書いてありました。

日本では、まったく少数派の方ですが、このようにならざる終えない現実だと思います。

      みなさんもちょっと、考えて見てはいかがでしょう・・・・。

 今月の、ブログのページアクセス数が5000を超えました。ありがとうございます。
読んでいただいておられるのは、ほんのわずかだと思いますが、IP数の倍以上ページを開いていただいているのはうれしい限りです。

長い文章で申し訳ありませんが、20世紀と21世紀の仕事の価値基準の考え方のご参考になれればと思います。


コメント
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