偕楽園にはいくつかの門があります。創建当時のものといわれているのは、一の門、中ノ門、一の木戸門だそうです。といっても、木で作られたものですから、修繕が重ねられているはずですから、当時の材の部分はほとんどないといっていいのではないでしょうか。その外は復元されたものだそうです。これ以外にも、清香門、仙湖門などがあったようです。梅の花のすんだ今、偕楽園の門を気をつけて見て回るのも面白いかもしれません。
表門(黒門)
偕楽園本来の入口にある、松材を使い、墨で黒く塗られた門だそうです。屋根は茅葺きで、扉には乳がつけられていて、城門の雰囲気を持っているようです。屋根の側面には懸魚がついていて、門の左右は、下が板、上が白壁の塀になっています。建築されたときは、左右に高い土塁がつくられていたようです。
一の木戸
表門をくぐってすぐにある、杉林や竹林の入口につくられた門です。屋根はこけら葺きで、門扉はありません。写真で見える、地震対策のつっかえ棒が最近つけられたようです。
中門
表門から来て、好文亭に入る場所にある門です。屋根は茅葺きで、門の外側には狭い袖板塀があって、さらにその外側の垣は、竹とクロモジだそうです。扉には横桟が5本あります。写真は中門の、好文亭方面から見た裏側です。
南門
舟で偕楽園に来たときの南崖下入口に建てられた門のようです。こけら葺きで、てっぺんには丸瓦が置かれ、扉には小さな乳があります。裏にある門を支える柱は、細いですが左右3本ずつあります。最近は閉じられていて、ここからは入れないようです。
櫟門(くぬぎもん)
南門から南崖を登る途中にある門です。屋根は竹で固定した杉皮葺きだそうで、扉には網代編みが見られます。柱は名前通り、皮付きの櫟が使われています。写真は櫟門の裏側です。
芝前門(しばさきもん)
櫟門から好文亭にゆくときにくぐる門です。杉皮を細い竹で固定した屋根で、柱には皮付きの櫟が使われているようです。扉の上半分は斜めの二重桟がある開放的なものです。門の上には芝前門とかいた額がかかっています。
何陋庵(かろうあん)の門
南門から、梅林方向に行かず、崖をのぼって、何陋庵の待合へ向かう道にある門です。茶室の門だけに、扉は何種類かの竹の網代編みがあったりして、装飾的になっているようです。屋根は茅葺きで、扉には宝珠型の穴があり、柱は太い皮付き櫟が使われているようです。