君と私をのせた車は走った。
海岸沿いの国道を
まるで滑るかのように。
何かに吸い寄せられるかのように。
私は目を細めハンドルを握る。
トンネルだ。
しばらく
海は見えなくなる。
そしたら
君はどこをみる。
壁を見るのか。
目をつぶるとでも。
アクセルを踏み込む。
加速するカローラ。
トンネルではオレンジ色のライトがきれい。
もっと踏み込む。
もっとスピードをくれ。
君はどこをみるの。
壁を見ていたね。
私を見てほしい。
レイバンをかけている私を。
見つめてほしいよ。
デート中なんだし。
ハワイじゃないよここは。
君を抱きしめたくなった。
そうだ
さっき抱きしめたんだ。
オレンジ色のライトは突如
真っ白な日の光へと変わる。
私の狂気は眠り
純愛と崇高な目が開いた。
私たちを待つのは
知る人ぞ知る
バーガー・ショップ。
そのコーナーのテーブルを目指す。
君の満足する顔を見たくて。
カローラを操る私の心は踊る。
TUBEは止めたけど
私の歌はどうだい。
私は歌った。
ビーチボーイズの
『マーセラ』
ノリノリで歌った。
頭、振り回してノった。
君を横目で意識して
この喜びを。
TUBEより いいだろ へ。
大丈夫
君と私は
大丈夫
君と私は
大丈夫
大丈夫
張りつめる君への恋心が
ロックする魂を燃やす
ハンドルをギュッと握って歌う。
バーガー・ショップはもうすぐだ。
ウフフフフ・・・