Sydney Yajima


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目に見える変化と 目に見えない変化

2011-04-04 23:58:27 | Weblog
地震は、津波を起こし、3万人近い人々を飲み込んだ。
東北の海岸沿いの 美しく活気のあった町並みは、それまで 延々と積み重ねた人々の努力を あざ笑うかのように、飲み込まれ、瓦礫だけを遺して消し去ってしまった。
道路は寸断され、鉄道は流され、原子力発電所は爆発し、人々は、今日明日のわからない不安の中に 取り残されている。

過去、これほどの 惨状があっただろうか?

自然によって引き起こされた今回の惨状と、残骸あとは、傷だらけの町並みを残して終わった。
終わった・・・とみるのは、しかし正確ではない。

今書いたことは、ほんの見えている表面的なことでしか ないからだ。

見えないところでは、もっと大きな変化が起こっている。
そこに光を当ててみたい。

今回の地震で、人々は、助け合うことの大切さについて、命の大切さについて、考えることが出来た。
今まで、馬鹿にしたり冷笑したりしてきた、自衛隊の10万人以上の隊員たちの見事な活躍に 驚きもし、感謝もし、あるいは憧れるほどの若者さえ現れるほどの変化があった。
日本はひとつの運命共同体だという、当たり前のことが、再確認された。
そして、組織的に、みんなでどうやって、この難局を乗り切っていくかということについて、考えるようになった。
誰かのせいだとか、何とかしろ という怒号で言いたい放題のことを言う人間がいる一方で、寡黙に、コツコツと、人助けをする男たちがいることも、知った。

日本がまだまだ 大丈夫な国で、これからも、ますます繁栄を取り戻していくだろう。
と、私は確信する。

ようやくばらばらだった我々の日本号の船員たちは、今回の津波でひとつになった。
多くの犠牲者に 黙祷を捧げ、涙を流しながらも、もう一度立ち上がる決意をひとつにした。
これは、美しいことなんだ。
こんなに、美しい国は、ほかには ない。

日本人は、多くのものを失って 初めて気がついたことがたくさんある。
この気持ちを大切に、そして 謙虚に 生きていこう。

頭の良し悪し

2011-04-04 00:17:08 | Weblog
古い友人にラッセルという男がいた。
彼の母親は、ビートルズの追っかけで、そのうちのひとりと関係が出来て 落しだねがどうやら、ラッセルらしい。
ともかく、母親はそのほか多くの男とも同時に関係があったらしく、そのうちの誰かだということは、あまりはっきりと覚えていないらしい。
つまり、ラッセルは私生児としてこの世に 生まれ出てきた。
それで、母親は彼を連れて オーストラリア中をぶらぶらと回った。
といってもバンドをする連中にくっついて旅をするわけだから、ラッセルは教育などうけられるはずもなく、遊び場は酒場のビリヤード場だけだった。

ラッセルはビールをおごってやるとよく私を酒場に誘った。
しかし、ラッセルはいつも、金を持ってこない。
だが、たらふくビールを飲める方法を知っていた。
それは、ビリヤードをしている酒場にいる男に、こう話しかけるのである。
「俺と勝負をしないか?ビールをかけよう」と言うだけだ。
ラッセルは、麦藁帽子をかぶって、どこか抜けた顔をしている。
相手はなめてかかる。

それで、ラッセルは、つぎつぎとボールを落としていく。
時々、わざと負けそうになったりもしながら 相手をうまく遊んでやる。
そして、私の前には、ビールのグラスが順番に運ばれてきて、ハラがいっぱいになるまで飲み続ける。
小便に行ったらその間に、また ビールが増えているという・・・
ともかく、ビールは浴びるほど飲んでもなくならない。
なぜなら、ラッセルは無敵だからだ。

ラッセルは、ビリヤードのプールの上にあるボールの軌道がすべて一瞬で描ける。
そしてそこに、最小限の力で、ちょこん、と打つ。
ほとんど芸術的に、ボールは吸い込まれていく。

そんなラッセルだが、彼は、あまり字が読めない。
本など読む機会さえなかった。

そんな ある日。

年取った男がじっと、そういうラッセルを見つめていた。
「おい、おれと勝負しねえか」
ついに、その男はラッセルに声をかけた。
男は、糖尿を患っているらしく、歩くのもやっとだった。
「ああ、いいぜ。何をかける?」と気軽にラッセルが言うと、その男は、
「そうだな・・・もしお前さんが間違って俺に勝つようなことがあったら、俺は、お前さんを大会に連れて行くよ」と言った。

後でわかったことだが、その男は、世界チャンピオンのワレンというスヌーカーだった。
むろん、ラッセルは勝つことは出来なかった。
だが、素晴らしい接戦をし、ワレンはほれ込んで、ラッセルを様々な大会へと導いいた。
ラッセルはトロフィーに囲まれて今、フリーマントルにいる。

彼は、教育はなかったが、頭はよかった。

私が何を言いたいのかというと、こういうことだ・・・
つまり・・・
東京大学を出て、東電に入ったような人間は、勉強はできるかもしれないし、当然、頭もいいだろう。
彼らは、サラブレッドで、決まったコースを走らせれば、きっと 誰よりも早く走ることが出来る。
だが、泥だらけの、ブッシュを早く駆け抜けたいと願うならば、ラッセルのような馬に乗ったほうが良い。