「アジアのトラ」と言われて、「韓国」答える人はサッカー好きな人でしょう。或いは、「インドネシア」と答える人は余程の動物マニアかもしれません。まさか「阪神」と答える人はいないでしょう・・・。
因みに、「虎」という動物は、アジアにしか生息していない猛獣だと言われています。しかもその数は非常に少なく、ベンガルトラやマレートラでさえも希少であり、アモイトラ・シベリアトラ・スマトラトラは近絶滅亜種とされ、さらにはジャワトラ・バリトラ・カスピトラは絶滅亜種となっています。もしかしたら、近い将来にはトラは実在せず、物語に出てくるだけの動物になっているかもしれません。なんとも淋しい話です。
さて、冒頭の「アジアのトラ」ですが、これは実際のトラではありません。これは「ヒトスジシマカ」という蚊を指しています。アメリカで「アジアのトラ」と呼ばれ、デングウイルス(テング熱)を運んだり、アルボウイルス、東部ウマ脳脊髄炎ウイルスを運んだりするとされています。元々アメリカには生息しない蚊で、日本からアメリカに輸出(?)されたと考えられています。研究者によれば、1985年に日本の中古タイヤ(お気に入りの繁殖場所)の船荷にただ乗りして、テキサス州ヒューストンに到着し、いまでは少なくとも17の州に定着していると言われています。
蚊は、色々なウィルスの媒介をすることが多いとされています。このアメリカに生息している「アジアのトラ」が逆輸入されれば、日本にも考えられない感染病が広がるかもしれません。本物のトラが絶滅の心配をされているのに、こんなところで「アジアのトラ」大活躍しなくても良いと思いませんか。