恩師のご著書「真理を求める愚か者の独り言」より
第六章 人類滅亡を救う奇跡と癒しの秘密
心の教えを正しく行うと証がついて回る
ミラノの聾唖者の少女
奇跡というのは自分が起こしたように錯覚しがちですが、しかし、奇跡とは
実は正しい法にのっとった生活を前提にして、神様が現わされるものです。
だから、たとえ私が知らなくても、他の人たちにその現象を証し、すなわち
現証を見せて下さいます。
イタリアのミラノにまいりました時も、聾唖者の娘さんが突然耳が聞こえるようになり、
言葉を話せるようになられました。
これにはその母親も、その場のみなさんも感激のあまり涙が止まりませんでした。
サーラという名のその少女は、コルシカ島出身の父親の友人でコレットという
有名な靴屋さんの社長の所有する、日本の皇居よりも広大な敷地の一角にある
奇跡の館という屋敷の近くに住んでいました。
そこでは鹿やキジが見られ、門から相当の距離を車で走ります。
彼女は当時十九歳でした。
親以外には吠えるばかりでした。
人が怖くて握手を求めると手を引っ込めてしまうのでした。
「神との約束を果たしなさい。神との約束とは大調和です。耳は本来の使命を
果たしなさい。はっきりと聞きなさい」と言いながら、横たわるサーラの耳に
何度となく息を吹きかけながら話しかけると、だんだんと聞こえ始めました。
彼女は起き上って、最初は教えられたままに、
「マーマ」と口真似して声を発しようと努力していました。
その音と言葉の意味が結びついて、誰を指す言葉かということは、
教えられないとすぐにはわかりませんでした。
が、そのうちに生まれてはじめて、お母さんに向かって「マーマ」と発声できたのです。
それとともに拍手と歓声が上がりました。
感動的な場面でした。
しかし、さらに彼女が、嬉しさのあまり饒舌になっているお母さんに向かって
鼻の先に人差し指を立てて「シ―ッ」とやったシーンが最も感動的な一瞬でした。
ずっと沈黙の世界に生きてきたこの少女にとって、人の声はあまりにも
新鮮な尊いものとして聞こえたと思います。
~ 感謝・合掌 ~