恩師のご著書「講演集」より
講演集、 三
「私は世界一の幸せ者」
私たちは、人との出会いによって起こる出来事で、運命が左右されます。
左右されるのは、その人が出来事をどう受け取るかによって、不幸になったり
幸せになったりするのです。
今日も、私の母の妹に当たる叔母さんが朝早くから来てくれました。
この人は、何でも「結構や」「私は世界一の幸せ者や、私ほど幸せな者はない」
と話しています。
幸せと言っても、普通の家庭ですから、心配事もありましょうし、悩みのある
場合もあると思いますが、それを良いほうに取って、
私は幸せや幸せやと言っています。
私の母が、「お前も苦労があるのに、私は世界一の幸せ者やなど言っていたら、
人に笑われるよ」と言っていました。
その人に与えられた環境とか、或いはその人の病気とかを見て評価するのは、
人の自由です。
しかし、人がどう思おうと、その苦しみの中にあっても、
その苦しみを良いほうへ、
喜びのほうへ思いを変えて、ああ、私は幸せだと喜んでいられるのは、
その人自身の心の問題です。
人が不幸だと言おうと、可哀そうだと言おうと、そんなことは関係ありません。
自分が感謝し、喜びに満たされていれば、自分自身の心は安らいでおります。
人の評価など関係ありません。
人生は思い変えの訓練が大事です。
今日は来ておりませんが、私の弟の悪口をちょっと言いましょう。
今は明るい性質ですが、この弟の小さい頃の渾名は「泣き虫」と言いまして、
もういつでも泣いていたのです。
その子が笑っても、顔は泣いており、泣筋が発達していました。
私はいつでも嬉しい顔をして笑っていますから、笑筋が発達しています。
困るのは、悲しみ事で挨拶に行く時ですね。
「ご愁傷さまでございます」とお悔やみを言っても、顔は笑っているから、
精一杯悲しい顔をしようと思っても、顔は笑っているのです。
いつも笑っていましたら、そんな顔になってしまうのです。