恩師のご著書「真理を求める愚か者の独り言」より
第三章 天上界への道
◆癌の激痛から悔い改めて安楽往生した九十歳の老婆◆
棺に遺体を納める際にマイナス八十度くらいの
ドライアイスを詰めるのですが、
私がこれまでにご縁があって見せていただいた方々の
遺体には不思議なことがよく起きます。
遺体の胸に手を当てるとまるでホカロンを入れたように温かく、
背中に手を回しても冷たくないといった奇蹟的なことです。
正しい法に触れて、心が救われた方は死後硬直も
冷たくなることもありません。
マザーテレサさんがお亡くなりになった時に、
死後四時間目の写真をいただきました。
以前お会いした時とはまったく違う美しいお顔になっておいででした。
落ち窪んでいたはずの目も若い時のようにふっくらとし、
とても死んだ方のお顔とは思えませんでした。
やはり、素晴らしいお方は、素晴らしい死を
迎えられるものだと思いました。
しかし、有難いことに、あまり素晴らしくない人生を送られた方でも、
死の寸前にこの法をいただき、反省によって気づかされ、
ああ私の人生は間違っていました、
たくさんの過ちを犯してきました、と悔い改めたなら、救われます。
その一つの素晴らしい例を紹介します。
九十歳近いおばちゃんの息子さんにご縁がありまして、
「恥ずかしいことですが、私の母は
絶対にいい所へは行けないと思います」と言ってこられました。
このおばあちゃんは、自分の子供たちからさえ、
「死んだら地獄行きだ」と確信されていたのです。
「どうしてですか」と尋ねますと、「お恥ずかしいのですが、
私の母は恨みと憎しみの塊です」と答えられます。
人の悪口は言うし、人を信ずることはできない。
出すことは大嫌い。もらうことは大好き。
九十年間のおばあちゃんの人生は
苦しい日々だったと思います。
「出すことはベロを出すのも嫌い。
もらうものは余所様の葬式でもでもほしいな」と、
実際にこのおばあちゃんは口にされていたそうです。
人の悪口は言う、嘘はつく、という人生だったと、
その息子さんが保証するのですから、
間違いありません。
それで、「どこから見てもいい所に行けそうにありません。
なんとか救うてもらえませんか」と、
息子さんからのご相談がありました。
「お歳は?」と聞くと、「九十近いです」と答えられるので、
「そりゃあもうあきまへんわ」と言いました。
九十年間、ご本人は自分を正しいと思って人生と思って
人生を過ごしてこられたのです。
その頃は私は五十前後でしたから、四十年もの年齢の隔たりです。
私みたいな若造が言うことなど聞いていただけないでしょう。
だから、どうしようもないと思ったのです。
けれども、もし間違った人生を過ごせば、必ず清算の時が来ます。
貸借対照表で赤字か黒字かというのがはっきりと出てまいります。
正しければそれなりの、間違っていればそれだけの
結果の現れる時が来る筈です。
その時が訪れたならば、またいらしてください、
と言っておきました。