恩師のご著書「講演集」より
講演集、 三
救われたい「迷える意識」――竜の話
先日、沖縄へ寄せてもらった前夜のことです。
今夜はちょっと早めに休ませてもらおうと思っておりますと、
七時過ぎに富山県から電話がありました。
S宗教を十何年も信仰されている方だそうです。
その方が、ある拝み屋さんに拝んでもらったところ、
そこに竜の掛軸がかけてあって、
その拝み屋さんがエイーヤーとやりますと、竜がポッとその人に
飛び込んでしまって、それ以来、その人のおなかの中やら、
胸の中やらを這い回るそうです。
そして、首は蛇のように動くし、目はつり上がってくるし、
顔は表面が引きつって、鬼の顔ではないかと思うほど恐ろしくなって、
その方は自分の顔を鏡で見るのもこわいとおっしゃっています。
五十歳前後のご婦人ですけど、昔は嫁ぐ時三面鏡を持ってきてますね。
その三面鏡が古くなると、自動的に開いてきます。
蝶番が甘くなって自然に開きます。
開いた鏡の前を通って、自分の顔が映るのが怖いから、
閉じて紐でぐるぐる巻きに縛っているそうです。