『52ヘルツのクジラたち』 町田そのこ 中央公論新社
52ヘルツのクジラとは―他の鯨が聞き取れない高い周波数で鳴く、世界で一頭だけのクジラ。たくさんの仲間がいるはずなのに何も届かない、何も届けられない。そのため、世界で一番孤独だと言われている。自分の人生を家族に搾取されてきた女性・貴瑚と、母に虐待され「ムシ」と呼ばれていた少年。孤独ゆえ愛を欲し、裏切られてきた彼らが出会う時、新たな魂の物語が生まれる。「わたしは、あんたの誰にも届かない52ヘルツの声を聴くよ」
湾のクジラや52のお母さんなどちょっと簡単に済ませたなとかご都合主義かなと思う部分はあるが、52ヘルツのクジラというキーワードが上手い。「風俗やってんの?」からの始まりのつかみも上手いなあと思う。つらい話が続くが、ヤングケアラーのキナコも52も助けてもらえてよかった。いろんな要素が詰め込まれすぎて、いっぱいいっぱいになるが、悪い人ばかりでなくてよかった。
『とわの庭』 小川糸 新潮社
帰って来ない母を“とわ”は一人で待ち続ける。何があっても、前を向いて生きる―。草木や花々、鳥の声。生命の力に支えられ、光に守られて生き抜く“とわ”の物語。
目が見えなくても、とわの世界はお母さんがいる限り豊かだ。しかし、お母さんが仕事に出るところから微妙に違和感が。そして、苦しいとわの生活が始まる。52ヘルツのクジラではないが、助けての声よ届けと祈ってしまった。 しかし、助け出されたあとのとわの世界は再び豊かに彩られる。何があっても生き延びようと希望が湧く話。とわが愛しい。
「この世界には、まだまだ美しいものがたくさん息を潜めている。だから、わたしは、そのひとつひとつをこの小さな手のひらにとって、慈しみたいのだ。そのために生まれてきたのだから」この最後の部分は、いいなあ。
52ヘルツのクジラとは―他の鯨が聞き取れない高い周波数で鳴く、世界で一頭だけのクジラ。たくさんの仲間がいるはずなのに何も届かない、何も届けられない。そのため、世界で一番孤独だと言われている。自分の人生を家族に搾取されてきた女性・貴瑚と、母に虐待され「ムシ」と呼ばれていた少年。孤独ゆえ愛を欲し、裏切られてきた彼らが出会う時、新たな魂の物語が生まれる。「わたしは、あんたの誰にも届かない52ヘルツの声を聴くよ」
湾のクジラや52のお母さんなどちょっと簡単に済ませたなとかご都合主義かなと思う部分はあるが、52ヘルツのクジラというキーワードが上手い。「風俗やってんの?」からの始まりのつかみも上手いなあと思う。つらい話が続くが、ヤングケアラーのキナコも52も助けてもらえてよかった。いろんな要素が詰め込まれすぎて、いっぱいいっぱいになるが、悪い人ばかりでなくてよかった。
『とわの庭』 小川糸 新潮社
帰って来ない母を“とわ”は一人で待ち続ける。何があっても、前を向いて生きる―。草木や花々、鳥の声。生命の力に支えられ、光に守られて生き抜く“とわ”の物語。
目が見えなくても、とわの世界はお母さんがいる限り豊かだ。しかし、お母さんが仕事に出るところから微妙に違和感が。そして、苦しいとわの生活が始まる。52ヘルツのクジラではないが、助けての声よ届けと祈ってしまった。 しかし、助け出されたあとのとわの世界は再び豊かに彩られる。何があっても生き延びようと希望が湧く話。とわが愛しい。
「この世界には、まだまだ美しいものがたくさん息を潜めている。だから、わたしは、そのひとつひとつをこの小さな手のひらにとって、慈しみたいのだ。そのために生まれてきたのだから」この最後の部分は、いいなあ。