ささやかな幸せ

SUPER EIGHT、本、美術鑑賞、俳句、お茶が好き!
毎日小さな幸せを見つけて暮らしたい。

『あくてえ』『たとえば葡萄』『N』

2023-06-12 10:26:35 | 
『あくてえ』 山下紘加 河出書房新社
 あたしは、19歳で小説家志望で、派遣社員をしながら家計を支えている。家族は、母・きいちゃんと父方の祖母・ばばあ。父親は浮気して子供をつくって離婚しているのできいちゃんとばばあとの血縁はないが、それでも献身的に介護をしている。あたしは、不潔で自分勝手なばばあが許せず、悪態をつく。ばばあも負けじと応戦する。
 こんだけ、悪態をつけたら気持ちいいだろうなとちょっと思う。
 悪態をつきながらも、なんだかんだで家計を支え、お世話をする主人公のゆめちゃん。まだ十代の彼女に 介護は重い。そりゃ。悪態をつかないとやっていけないよね。彼女に いいことがありますようにと祈らずにはいられない。
 それにしても、離婚した父親はずるい。きちんと責任をとってほしい。

『たとえば葡萄』 大島真寿美 小学館
 まったく先の見えない状態で会社を辞めてしまった美月(28歳)。転がり込んだのは母の昔からの友人・市子(56歳)の家。昔なじみの個性の強い大人達に囲まれ、コロナ禍の日々を一緒に過ごすうち、真っ暗闇の絶望の中にいた美月は徐々に上を向く。何度も心が折れそうになりながらも、やがて美月はひょんな出会いから、自分自身の夢と希望を見つけていく……。
 ぽやぽやとしている。文もたらたらした感じ。親の離婚、旭くん、丹羽家の事情とか言葉足らずだと思っていたら、『虹色天気雨』『ビターシュガー』の続きらしい。知らなかった。
 葡萄ジュースやワインがおいしそう。飲みたいなあ。
 やりたいことが見つかった美月ちゃん。よかったね。羨ましいよ。がんばれ。と親世代は思っていると思うな。

『N』 道尾秀介 集英社
 全六章。読む順番で、世界が変わる。あなた自身がつくる720通りの物語。すべての始まりは何だったのか。結末はいったいどこにあるのか。
 短編をどこから読んでも違うストーリーになり、印象が違うらしい。あの作品の主人公がこの作品ではサブとして出て。あの不可解な行動や人物には、こういう背景があってと。この企みは成功したのだろうか。私は、わからなかった。少しずつリンクするならば、他の小説でもあるし。また、違う順番で読んだら、よかったのだろうか。でも、私は、読み返さなかった。
 本では、逆さまに文がなっているところもあり、私は読みにくかった。
 短編自体は、普通におもしろかった。
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