ささやかな幸せ

SUPER EIGHT、本、美術鑑賞、俳句、お茶が好き!
毎日小さな幸せを見つけて暮らしたい。

『水中考古学』『白洲正子自伝』

2019-12-10 20:11:56 | 
『水中考古学 クレオパトラ宮殿から元寇船、タイタニックまで』 井上たかひこ著 中公新書
 水中考古学とは、水面下の遺跡や沈没船を発掘、保存、調査する研究分野である。欧米の研究チームがクレオパトラ宮殿やタイタニック号を発見し、中国・韓国は国を挙げて沈没船調査を行っているが、日本でも一三世紀の元寇船を発掘するなど、毎年のように新たな成果が上がっている。千葉県沖に沈んだ幕末の黒船を発見し、その後も調査を続けている著者が、自身の体験も織り交ぜながら、世界の海の探検と研究に迫る。
 さまざまな沈船、遺跡の総覧。遺物からさまざまなことがわかるのがおもしろい。しかし、なにぶん最近の学問のため、「今後の調査に期待」が多いのが残念。

『白洲正子自伝』 白洲正子 新潮社
 いったい、白洲正子という人は、いかにしてかの「白洲正子」になったのか―。白洲正子の自伝。
 スケールが庶民とは違い過ぎる・・・。人間関係がスゴイ。秩父宮勢津子妃や益田鈍翁、吉田茂など有名人の名前が出てくる、出てくる。皇太子時代の昭和天皇にお茶を出したり。教養もスゴイ。古典文学を習い、黒田清輝の絵は家にあるし、能はどこの家でも習っていると言う。アメリカにも留学する。
 何と言っても私がおもしろいと思ったのは、正子が三歳まで口がきけなかった理由。家族が「この子が男の子だったら」と残念がっているのを耳にするので、コンチクショウと歯軋りをしており、歯軋りをしているから口が利けなかったというのだ。
 自由闊達な白洲正子は、なんとも言えず魅力的だ。
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