ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『クローサー』2002

2021-02-19 09:07:28 | 外国映画










 
2002年に制作され、日本では'03年に公開された、コーリー・ユン監督による香港&アメリカの合作映画。その翌年に公開されたマイク・ニコルズ監督の同名アメリカ映画とはもちろん無関係。原題は『夕陽天使』、英題は『So Close』で、『クローサー』は日本国内だけのタイトルです。

当時、まずはジョン・ウー監督作品に代表されるやたらスタイリッシュなGUNアクション物のブームと、ワイヤーワークを駆使しまくった『グリーン・デスティニー』などファンタジー色の強いアクション時代劇のブームがあり、それらの特色を取り入れたアメリカのSFアクション『マトリックス』シリーズが世界的に大ヒットして、登場人物たちがやたらピョンピョン跳んだりクルクル回ったりしながら二挺拳銃(たいていベレッタ)を撃ちまくるアクション映画がやたら流行ってました。

で、そのブームを取り入れつつ往年のTVシリーズをリメイクした『チャーリーズ・エンジェル』('00) がこれまた大ヒット、ガールズ・アクションのブームにも本格的に火が点いて、源流である香港で創られた決定版がこの『クローサー』ってワケです。

ぴょんぴょん&クルクル&二挺拳銃も大きな特色だけど、それ以前に登場人物たちがやたら格好つけて、それをやたらスタイリッシュな撮り方と編集(スローモーション多用)で見せるのがこの時代のトレンド。そこには押井守監督作品などジャパニメーションの影響もかなりあったと思われます。

そうしたブームは、アクション映画そのものの在り方を大きく変えたように思います。それまでのアクション映画はアクションスターと呼ばれる俳優たちが主役を務めて来たけど、それ以外の俳優でも凄いアクションを見せることが可能になっちゃった。

『チャーリーズ・エンジェル』がその典型例で、続いて登場したこの『クローサー』も、それまでアクション物には出てなかった人気女優3人が凄いアクションを見せてくれます。現在の日本で言えば石原さとみさん、広瀬すずさん、北川景子さんあたりがバリバリのハードアクションを演じるようなもんで、技術の進歩なしでは成立しない企画です。

その後『チョコレート・ファイター』のジージャー・ヤーニンや『アトミック・ブロンド』のシャーリーズ・セロン等の凄絶アクションを見てしまった今、本作は決して驚くほどのレベルじゃないんだけど、公開当時は女優さんもここまでやるようになったか!と感嘆したもんです。

『トランスポーター』のヒロイン役で注目されたばかりのセクシー美女=スー・チーと、『少林サッカー』で一躍トップアイドルになった可憐なヴィッキー・チャオが、姉妹で凄腕の殺し屋というかなりムチャな設定なんだけど、『マトリックス』ブームで「アクション映画は何でもアリ」になっちゃったあの頃は自然と受け入れられましたw いや、考えてみれば『マトリックス』は仮想現実っていう設定があればこその「何でもアリ」なのに、皆それを忘れてピョンピョン・クルクルやってましたよねw

で、殺し屋姉妹を追う凄腕の女性刑事がカレン・モク。二宮和也くんに似たお顔立ちで、殺し屋姉妹と比べると微妙なルックスやなあって当時は思ったけど、今あらためて観ると独自の美しさと味わい深さがあって、私は3人の中で一番好きかも知れません。

ストーリー前半は殺し屋姉妹の姉=スー・チーを中心に進んでいき、彼女がイケメン彼氏にプロポーズされて殺し屋稼業から足を洗う決意をし、妹のヴィッキー・チャオと対立するという、その辺の展開は正直言ってかったるいですw

ところが中盤! もう20年近く前の映画(そんなに経つのか!)なのでネタをバラしますが、てっきり主人公だと思ってたスー・チー(ポスターでもセンターだし)がヴィッキーを守ろうとしてアッサリ殺されちゃう!っていうサプライズがあり、そこから俄然面白くなっていきます。

犯罪組織の罠によりスー・チー殺しの罪を着せられたカレン・モク刑事が、復讐に燃えるヴィッキーと手を組み、2人で敵アジトに乗り込んでいく。そこで待ち受ける最強の用心棒が、我が日本が誇る昭和のアクションスター、刑事ドラマでもお馴染みだったあの人なんですよね!


そう、最強の敵は『Gメン'75』の香港カラテシリーズでさんざんヤン・スエと闘って来た、草野刑事こと倉田保昭さん!

ブルース・リー御大ともお知り合いで、日本よりむしろ香港でリスペクトされてる倉田さんがいなければ『Gメン~』の香港ロケは実現しませんでした。

イメージの固定を避けたくて『Gメン~』を強引に降板したら日本で「干された」状態となり、以降は香港や台湾をベースに活躍されて来た倉田さん。そのシャープなアクションは健在で、今回2週間かけて撮影されたソード・アクションのシーンも「相手が倉田さんでなければ1ヶ月以上かかってた」とコーリー・ユン監督は語られてます。

で、2人がかりで倉田さんを倒し、組織のボスを抹殺したヴィッキー・チャオとカレン・モクは、淡いキスをして別れます。ちょっと百合の要素まで入ってるという、ほんと至れり尽くせりな映画w

その一方、前半でスー・チーと婚約したイケメン彼氏は、デートをすっぽかされたまま放置w 彼女が死んじゃったこともまだ知りませんwwwsex

そんなイケメンの扱い方といい、スー・チーの入浴や美脚パンチラ、カレン・モクの生着替え、ヴィッキー・チャオのタンクトップなどお色気サービスもばっちりで、これぞ我々のために創られた映画ですw

『チョコレート・ファイター』や『アトミック・ブロンド』と比べちゃうと生温いかも知れないけど、それでも撮影は相当ハードだったはず。これだけの美貌を誇る女優さんたちが、よくぞやってくれました。天晴れ!

それから20年近く経って、綾瀬はるかさん等がようやくハードアクションに挑戦してくれるようになったけど、まだまだ日本は遅れてます。ほんと頑張って頂きたいです。


 

コメント
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