☆第422話『令子、俺を思い出せ!!』
(1980.9.5.OA/脚本=小川 英&尾西兼一/監督=竹林 進)
先月ロッキー(木之元 亮)と結婚したばかりの交通課婦警=令子さん(長谷直美)が、新婚わずか1ヶ月にして記憶喪失になっちゃったもんだからおいちょ待てよ!
愛する妻に「あなた誰?」と言われ、いきなり今夜からチョメチョメ出来なくなっちゃうロッキーも気の毒だけど、眼の前に立ってる顔じゅう毛だらけの古臭くてダサい大男が、自分の結婚相手だといきなり聞かされた令子さんの心痛たるや想像を絶しますw
そもそも令子さんがこうなっちゃったのも、その爆毛男のせいなんです。すこぶる質の悪いヘロインが街に出回り、中毒患者が相次いでショック死する緊急事態の中、藤堂チームは売人の高岡(沖田駿一)を必死に探してました。
で、ロッキーはアパートに帰ってもその手配写真と睨めっこ。当然、狭い部屋で一緒に暮らす令子の眼にも入っちゃうワケです。警察官どうしの夫婦とはいえ、捜査情報の漏洩には当たらないんでしょうか?
それはともかくとして翌日、令子は駐車違反の取り締まり中に高岡と出くわし、その顔をまじまじと見てしまう。慌てて逃走する高岡をミニパトで追跡した令子は、返り討ちに遭って車で撥ねられ、その衝撃で記憶を失ったのでした。
画像ではロッキーに襲われて怪我したように見えますが、順番の入れ替えによる意図的な印象操作ですw ちなみに令子さんのパンティーが写ってます。
ロッキーが手配写真を見せたりしなければ、令子もそこまで深追いはしなかったはず。なのに爆毛は反省するどころか、自分の名前すら思い出せない令子が「記憶を取り戻しつつある」というニセ情報を流し、敵を誘きだそうとします。つまり、愛する妻をオトリに使おうと。
当然、ボス(石原裕次郎)には止められるんだけど、ロッキーは毛で出来た顔をキリッとさせながら言うのでした。
「でも、あいつが記憶喪失でなければ、自分から進んでオトリになった筈です! あいつはそういうヤツなんです! あいつは!」
そんなロッキーがつくづく古臭く、ダサいですw
で、狙い通りヘロイン組織の刺客が病院に侵入し、ロッキーは令子の眼の前でそいつをフルボッコにするんだけど、今や普通の女の子に戻っちゃった令子は泣きながら叫ぶのでした。
「出てって! 出てってよ! イヤよ! 大嫌い! バカッ! ケダモノッ! 鬼っ! 毛っ! ダサい! 古臭い!」
襲われた恐怖でますます心を閉ざした令子が、自ら記憶を掘り起こすことはもはや絶望的。そんなワケでロッキー刑事の幸せは、たったの1ヶ月であっけなく終止符が打たれるのでした。
さすがにちょっと、気の毒になって来ましたw
もちろん、ここでロッキーが離婚しちゃったら、後のマミー刑事も誕生しなくなっちゃいますから、何とかしなくちゃいけません。
というワケで奮起したのが誰あろう、後輩のスニーカー(山下真司)。令子も参加した七曲署慰安旅行の集合写真(なぜかスコッチがナーコと恋人気取りw)を彼女に見せながら、愛してるからこそ、命懸けで守る覚悟があるからこそ妻をオトリに使った、昭和モーレツ男=ロッキー刑事の毛で隠された真意を、まるでラグビー部の熱血顧問みたいに涙目で訴えるのでした。
「どうしてそんなに一生懸命なの? 犯人を逮捕したいから?」
「それもある。だけど先輩が好きだから、先輩が選んだキミも好きだから……オレだけじゃない、一係の仲間は皆そうなんだ!」
「…………」
さすがは後の泣き虫先生、効果はバツグンだったようで、自分が記憶を無くした時の工事現場に連れてって欲しいと、令子はロッキーに懇願するのでした。
「いかん、それは危険過ぎる!」
「あなたが守ってくれるわ」
「…………」
「一係の人たちも守ってくれるわ。憶えてるんです、私。すぐそばに、そういう人がいるってこと」
「…………」
「それから、その人に素晴らしい仲間がいるってことも。それだけは憶えてるんです」
「令子……」
かくしてあのパンチラ現場に、あの時と同じ制服姿で戻った令子は、あの時と同じように高岡らの襲撃に遭い、もちろんロッキーとその仲間たちに守られ、事件は解決するのですが……
「さぁ令子、思い出せ! キミは今みたいに襲われたんだ! そうだなっ!?」
「分からない……分からないんです、何にも……何にも分からないんです!」
「令子……」
結局、彼女の記憶はついに戻らず、ロッキー刑事の幸せはわずか1ヶ月で終止符が打たれるのでした。
いやしかし、それじゃ番組の歴史が変わっちゃいますから、やっぱり何とかしなくちゃいけません。
ロッキーは仕方なく、せめて最後に1回だけチョメチョメしようと令子をアパートの部屋に連れ込み、とりあえずちゃぶ台の前、つまり彼女の指定席に座らせるのでした。すると……
「ねえ、創さん」
「うん。……えっ!?」
「私、どうして制服なんか着てるの?」
「れ、令子っ!?」
最初からそうすりゃ良かったね、っていうお話でしたw
新婚早々に愛する妻が記憶を無くしちゃう、つまり赤の他人に戻っちゃうってのは相当切ない話で、主役がロッキーでなければ泣けたかも知れませんw
いや、しかし今回に限っては、ロマンス芝居が似合わない木之元さん&長谷さんだからこそ、かえって不器用な夫婦愛が自然に感じられたような気もします。特にラスト、令子の記憶が戻った瞬間のロッキーのリアクションにはグッと来ました。
当時は「また記憶喪失ネタかよ?」って冷めた眼で観た記憶があるけど、今あらためて観直すとこれ、なかなか良いエピソードです。令子さんと結婚させてもらえてホント良かったね、ロッキーw
ところで、この時期からロッキーの使用拳銃がS&W・M1917風のMGCハイパト・カスタムに変更されてます。スラッと長い細身のバレルが、長身のロッキーに似合っててイイ感じです。程よくマッチョになって貫禄もついて来て、結婚してからロッキーもちょっとだけ格好良くなりました。古臭いけどw
また今回、冒頭シーンの銃撃戦でロッキーがドック(神田正輝)のM59を拝借して使う描写があり、オート拳銃を構えるレアなロッキーの姿も見られます。すこぶる似合わないけどw
そのシーンでスニーカーはお馴染みのCOLTトルーパー4インチを使ってたのに、発砲する瞬間だけローマンの4インチと入れ替わるというw、昭和のアクションドラマ「あるある」も見られます。この時にトルーパーが壊れたりしたのか、次回からスニーカーの使用拳銃は『太陽~』初登場となるCOLTパイソン4インチにチェンジされ、後にラガー刑事(渡辺 徹)へと受け継がれていきます。