こないだ、会社の事務所で人間関係がちょっとこじれた時に、上司が言いました。
「みんなで呑みに行かなあかんなぁ」
今どき、まだそんなこと言う人がいるのかと驚きました。別にコロナとか関係なく、そういう価値観はすでに絶滅したもんだと私は思ってましたから。
「時間と金の無駄だから僕は行きませんよ」とハッキリ言ってやりました。
事実、お猪口1杯の日本酒で吐くほどの下戸である私にとって、宴会に費やす時間と金ほど無駄なもんはありません。
酒の力を借りないと本音が言えないのか? 酔っ払わないと仲直り出来ないのか?
若い頃には「呑まないヤツは信用しない」なんて言われたこともありました。そんなバカには信用してもらわなくて結構だけど、信じがたい傲慢さにヘドが出ます。
「酒が呑めないなんて、人生の半分以上は損してる」なんて言うヤツも、昔はザラにいました。傲慢バカとしか言いようありません。
もし私が下戸じゃなかったとしても、宴会を楽しいとは感じないと思う。時間と金の無駄だって言うのは、自分が呑めないからじゃなくて、中身の無い会話をグダグダと続けるのが死ぬほど苦痛だから。そっちの方がよっぽど「人生を損してる」と思うからです。
だからって酒を憎まなくたってええやん、って思われるでしょうが、それにも理由があるんです。
かつて1年間、ひとつ屋根の下で一緒に暮らした女性が、酷い酒乱だったんですよね。アルコールが入ると性格の荒っぽい部分が表面に出て、一番身近にいる人間を執拗に攻撃するという悪癖があった。
その上タチの悪いことに、彼女はほぼ毎晩、酒を呑む。本人は頑なに否定してたけど、明らかにアルコール依存症でした。手も震えてたからアル中だったかも知れません。
つまり、私は毎晩のように彼女から罵詈雑言を浴びてたワケです。暴力を受けたこともありました。けど、一緒に暮らしてる人を憎むのはあまりにツラ過ぎる。だから酒を憎むしか無かった。
酒を呑んだから、酔っ払ったから暴言を吐くのは仕方がない? 暴力を振るっても許される? だから呑まなきゃ「損」ってワケですか? ふ!ざ!け!る!な!
私が宴会の類いに頑として参加しなくなったのは、そういういきさつがあったからです。こっちこそ、酒の力を借りなきゃ本音が言えないヤツとか、アルコールのせいにして人を虐げるようなヤツなど信用出来やしません。そんなヤツと関わる方がよっぽど「損」です。
だから、私は下戸で良かった。ホントにそう思います。