『代表取締役刑事』って番組は‘80年代アイドルの宝庫だったりします。前回レビューした第11話の西村知美さんをはじめ、ゲストにアイドル出身の人が多いし、そもそも兵頭係長(舘ひろし)の弟役がE気持ちの沖田浩之くんで、橘課長(渡 哲也)の愛娘=日向子を演じたセミレギュラーが、‘80年代アイドルの代表格と言っても過言じゃない、この人ですから。
特集第14弾は、当時19歳だった「のりピー」こと、酒井法子さん。二大アイドル雑誌『BOMB!』と『Momoco』両方からプッシュされたスーパーアイドルだけど、初仕事は日テレ系の連ドラ『春風一番!』(’86) へのレギュラー出演で、実は女優としてのキャリアも長い。
本作で演じた橘日向子は、両親を「おとっつぁん」「おっかさん」と呼んだり「○○なのさ」とか「てやんでい!」が口癖だったりする生粋の江戸っ子。当然ミスマッチなんだけど、ちゃんと実在感がある。役をしっかり自分のものにしてるんですよね。
福岡出身の彼女に元々そういう気質があったのを、メインライターの市川森一さんが見抜いた上でのキャラ設定なんでしょう。それをあの若さで完璧に表現出来ちゃうのりピーは、やっぱり只者じゃない。後に『ひとつ屋根の下』や『星の金貨』等のドラマで高く評価されるのも納得の演技力です。
ところが’98年にプロサーファーと結婚したのが運の尽き。忘れもしない2009年、そいつと一緒に覚醒剤所持&使用の容疑で逮捕され、我々にとてつもない衝撃を与えることになります。
私は特にファンってワケじゃなかったけど、あまりにイメージとかけ離れた事件だったもんで、心底から芸能界が怖くなったもんです。いや、今でも信じられない!
それを踏まえた上で、今回レビューするストーリーですよ。基本的には「のりピーmeets舘ひろし」を描く楽しい内容なのに、シャレにならん。今となってはマジでシャレにならん! オーマイガッ!!
☆第15話『特別な一日』(1991.2.3.OA/脚本=市川森一/監督=澤田幸弘)
のりピー扮する日向子の親友=サヨちゃん(田中雅子)が結婚し、新婚旅行で滞在したフロリダから帰国。空港まで迎えに来た日向子に、サヨちゃんは(挨拶廻りで忙しいから)恩人の経営するクラブにお土産を届けて欲しいと頼み込みます。
そのお土産とは、可愛いゴリラの縫いぐるみ。快諾した日向子はそれを届けに行くんだけど、受け取りに来た連中がどいつもこいつも顔面凶器でフツーじゃない。なにせリーダーがこんな顔です。
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恐るべきことに、30年以上経った今でも顔が変わってない小沢仁志! 演じるキャラクターもずっと同じ! 顔も役柄もずいぶん変わった遠藤憲一さんとは対照的!
もうお分かりですね? 日向子が預かった縫いぐるみには、大量の覚醒剤が隠されていた!
しかも2袋、20グラム分だけ覚醒剤が抜かれてる! ここか! このときに味を知っちゃったのかのりピー!?
「身体検査や。裸にひん剥け」
さすが小沢仁志! 30年前にしてド外道の極み! よく言った! 危うしのりピー!!
もちろん、ここで別ルートから密輸組織を追ってた兵頭係長が颯爽と現れ、小沢仁志どもを自慢のハズキルーペで蹴散らします。きゃっ!
この時点じゃまだ、日向子が上司の愛娘であることを兵頭は知りません。一方、兵頭が辰巳署の刑事すなわち父親の部下であることに気づいた日向子は、スキを見て姿を消しちゃいます。
実は日向子ちゃん、四国に単身赴任中のおっかさん(阿木燿子)の所へ行くか行かないかで今、橘と揉めてる最中なのでした。父親は年頃になった娘を持て余し、娘は娘で子供扱いされたくない。自分がおとっつぁんの面倒を見てるつもりなんでしょう。
兵頭から話を聞いて、姿を消したのが日向子だと直感した橘課長は、珍しく自ら捜査に乗り出します。
もちろん密輸の片棒を担いで覚醒剤をくすねたのはサヨちゃんであり、日向子は巻き込まれただけ。それを確信した橘は、容疑を否認するサヨちゃんに学生時代の写真(日向子との楽しいツーショット)を手渡し、情に訴えるのでした。
かつて団長だった頃は暴力で何でも解決できたのに、ほんと面倒な時代になったもんです。
さて、日向子ですが、おとっつぁんを頼らず、自分でサヨちゃんを問い詰めようとするも、再び顔面凶器軍団に捕まり、再び颯爽と駆けつけた兵頭に救われます。
いや、救われるだけじゃなく、自らもフライパンで小沢仁志の顔面をヒット! しまいには火炎弾をぶっ放して火だるまにしちゃう凶暴さで兵頭をアシストします。さすが元団長の娘!
当然、2度もピンチに駆けつけてくれた、ハズキルーペのおじさんに淡い恋心を抱く日向子だけど、まだまだ自分が子供であることを認めたのか、最後は素直におっかさんの待つ四国へと旅立ちます。
情にほだされたサヨちゃんの自首と証言により、密輸事件も無事に解決。四国から届いた可愛い絵ハガキに、思わず「きゃっ!」と頬がゆるむ兵頭係長なのでした。
まさに、のりピーの独壇場! これぞスーパーアイドル! 地上に降りた最後の天使! そんな彼女が、よもやあんなことに…… 許さんぞ小沢仁志っ!!
だけどこれは明らかに、少女期ならではの輝き。大人になるにつれ失われるのは自然の摂理で、そんな現実が彼女の心を蝕んでしまったのかも?
なんにせよ、アイドルが遊び人と結婚しちゃダメです。それに尽きます。二度とあんな輩と関わることなく、誘惑に負けないことを祈るばかりです。
薬物から復帰された芸能人も多数いますけど、薬物以上に子供を置いて逃げたことが印象最悪でした。
代表取締役刑事の兵藤係長、後の太陽リメイクの山岡ボスより好きですね。大門よりマイルドな指揮官兼切り込み隊長という印象でしたw
本当にバカなことをしちゃいましたよね。クスリ以前に、クズみたいな連中と付き合ってしまった時点でアウト。気の毒だけど自業自得としか言えません。
今、どうしておられるんでしょうか?
wikiで調べてみたら、酒井法子さん、もう50歳を越えておられるんですねえ・・・。
人生いろいろ。