ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『代表取締役刑事』#11

2022-05-11 22:55:32 | 刑事ドラマ'90年代

‘80年代アイドル特集の第13弾は、当時19歳だった西村知美さん。スーパーアイドル菊池桃子さんの後を追うようにグラビア誌『Momoco』から華々しくデビューし「トロリン」の愛称で親しまれ、女優、歌手、バラエティータレントとして長きにわたってご活躍。

だけど刑事ドラマへのご出演はこの『代表取締役刑事』第11話ゲストが(Wikipediaで見るかぎり)唯一だったみたいです。



『太陽にほえろ!』以上に意味不明なタイトルの『代表取締役刑事』は、1990年10月から翌年9月までテレビ朝日系列の日曜夜8時枠で全45話が放映された、テレ朝&石原プロモーションの制作による刑事ドラマ。

前作『ゴリラ/警視庁捜査第8班』の大失敗を踏まえ、今回は最初からヒューマンドラマに力点を置き、メインライターに市川森一さんを迎えることでクオリティーアップを画策。

そこはさすがの市川さん! ハードボイルドと人情ドラマを絶妙なバランスで融合させ、独特な世界観を構築。少なくとも市川さんが自ら筆を執られた回は見応えあるものになりました。


隅田川を臨む勝どき・月島周辺を管轄とする、辰巳警察署の刑事防犯課に配属されたばかりの係長=兵頭警部補に、舘ひろし。


主任の「ガンさん」こと岩田巡査部長に、高松英郎。


本エピソードの主役を担う松本巡査部長に、川野太郎。この番組は高松さんと川野さんの演技力によって支えられてます。


逆に、その拙い演技で番組のクオリティーを落とし、みんなの足を引っ張る若手コンビが、中西巡査=谷川竜と小早川巡査=池田政典。


そしてオリンピックで銀メダルを獲ったほどの名射撃手である五十嵐巡査=市川翔子。

市川さんはNHKの朝ドラ主演がいったん内定したのに、民社党のポスターモデルをやってたせいで取り消しを食らった悲運な女優さん。本作以降は『刑事貴族』シリーズや『さすらい刑事旅情編』シリーズ、『真夏の刑事』等の刑事ドラマにゲスト出演、現在は引退されてるみたいです。


事務兼無線係の牧野巡査を演じられた荒井玉青(あらい たまお)さんは、石原裕次郎夫妻の姪っ子なんだそうです。


そして谷川&池田の若手コンビをも凌ぐ大根演技で番組をぶっ壊しかねなかった、署長の大島警視=安部譲二。

当時、元ヤクザの小説家として話題になった人で、愛嬌があるから何となく許せたものの、つくづく石原プロのキャスティングには首を捻ることばかり。渡さんや舘さんを引き立てる狙いで、わざとヘタな人を選んでるとしか思えません。


トリはもちろん、課長の橘警部=渡哲也。このドラマは渡さんのナレーション(捜査日誌)で進行する構成になってました。



☆第11話『青い鳥』(1991.1.6.OA/脚本=市川森一/監督=原 隆仁)

今回の事件は、西村知美さん扮する妻の妊娠を機に、実家に戻ろうとした夫が母親から「どうせ遺産目当てだろう」と言われて逆上、フルボッコにして全治1ヶ月の重傷を負わせたばかりか、止めに入った弟までボコって死なせちゃったというもの。

そんな血の気が多すぎる犯人を演じられたのは、このお方。



若すぎて判りにくいかも知れないけど、当時はこんな役ばかりだった遠藤憲一さん。渡さんとは『太陽にほえろ!』最終回でボコられて以来の共演?



川野太郎さん扮する松本刑事の妻(福家美峰)もちょうど妊娠中で、ホシを挙げる為には身重の知美さんをもっと追及しなきゃいけないのに、それが出来ない苦悩が描かれてます。



福家美峰(ふくや みほ)さんは『3年B組金八先生』第2シリーズの生徒役でデビューされた生粋の女優さんで、刑事ドラマにも『西部警察PART III』『特捜最前線』『誇りの報酬』『ジャングル』『大都会25時』『あぶない刑事』『刑事貴族』『愛しの刑事』『風の刑事・東京発!』など多数ゲスト出演されてます。



犯人側の心情と刑事側の心情がシンクロする作劇はすこぶる『太陽にほえろ!』的で、それに馴染んだ私にとって心地よいストーリー。

いよいよ知美さんに出産のときが来て、夫のエンケンさんは果たしてどう動くのか? 海外逃亡すると睨んだ兵頭係長は空港を張り込み、妻子を想うエンケンさんの情に賭けた橘課長は、安産祈願の神社で彼を待つ。その結果は……言うまでもないですね。前者だとドラマになりませんw

兵頭が「大したもんですね、命の力ってのは」と、橘課長にシャッポを脱ぐラストシーンがまたイカしてます。



そんな風に、今回は脇に回った舘さんや渡さんのキャラクターをもしっかり描き分け、それぞれに見せ場をつくる市川脚本がやっぱり素晴らしい!

人間の暗部をえぐり出すような倉本聰さんの脚本も決して悪くないけど、石原プロの世界観に似つかわしいとは到底思えず、『ゴリラ』末期の脚本監修も市川さんにお願いした方が良かったのでは?……なんて、今更だけど思っちゃいます。

それはともかく、エンケンさんは若い頃からやっぱり上手いし、19歳にして人妻&妊婦を演じられたアイドル=西村知美さんのチャレンジ精神もまた素晴らしい! ハズキルーペ凄い!


 


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