ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『MIU404』最終回

2020-09-08 00:00:16 | 刑事ドラマ2000年~










 
存分に楽しませて頂きました。本当に見事な、そして2020年現在ならではのエンタメ刑事ドラマでした。文句なし!

第8話では、伊吹(綾野 剛)の恩師であり良きアドバイザーでもある元敏腕刑事=蒲郡さん(小日向文世)が、なぜ警察を辞めたのか、その衝撃の理由が明らかになり、それがまた最終章に向けての重要な伏線となりました。

そして第9話から最終回(第11話)までの三部作で、ずっと正体不明だった最凶の敵=久住(菅田将暉)と我らが「4機捜」との決戦が劇場版並みのスケールで描かれ、本当に心底からハラハラドキドキさせてくれました。

私がこよなく愛する昭和の刑事ドラマだと、ハッピーエンドにしろバッドエンドにしろ観る前から結末がほぼ判ってた(なにせサブタイトルに『マカロニ死す』とか書いてあるw)のに対して、この『MIU404』はどっちにも転ぶ可能性を感じさせるからホントに油断出来ない。

いや、結局、この結末は本当に現実なのか!?っていう含みまで持たせてるんですよね! 途中、久住が手下たちに造らせた新種ドラッグによって、伊吹と志摩(星野 源)がそれぞれにとって最悪のバッドエンドの夢(あるいは幻覚)を見るんだけど、もしかしたらその内のどっちかが現実で、我々が最終的に観たハッピーエンドこそが夢なのかも知れない。

私個人としてはスカッとシンプルなハッピーエンドの方が好みだけど、多様性の時代にはこういう「観客に選ばせる」結末の方が合ってる気もするし、志摩の「人は信じたいものだけを信じる」とか「そこでスイッチを押すか押さないか」等の台詞に呼応してる気もして、いかにも『MIU404』らしい締めくくりで良かったと思います。

そして、それより何より、題材や展開はすこぶる現代的でありながら、随所に昭和の刑事ドラマへのオマージュを匂わせる演出が見られて、私はそのたびに痺れました。

最終回で言えば、屋形船に乗って逃げる久住を追って、伊吹が堤防を全力疾走する場面! 言うまでもなく『太陽にほえろ!』へのオマージュです。創り手はそれらの作品を観て育った世代じゃないかも知れないけど、敬意を示しておられるのは間違いないと思います。

やっぱりフィクション世界の刑事は、走って殴って撃ってナンボなんです。それが許されるのは彼らだけなんだから! 謎解きなんか家政婦とか三毛猫とか執事とかに任せときゃいいんだから!

MIU404=伊吹&志摩は、言わば令和時代のジーパン(松田優作)とスコッチ(沖 雅也)です。昭和時代のお二人とは貫禄も迫力もえらく違うけどw(約45年で日本人の容姿は随分と変わりました。さらに45年後にはどうなってるんでしょう? それまで人類は生き延びられるのか?)

さらに『MIU404』ならではの発明だと思うのが、『私の家政夫ナギサさん』の最終回にもチラッと登場した覆面パトカー「まるごとメロンパン」号!

『西部警察』シリーズの「マシンX」的なポジションでありながらキュートな持ち味もあり、まるで『スター・ウォーズ』シリーズにおける「ミレミアム・ファルコン」号みたいな1つのキャラクター、5人目の4機捜メンバーとも言える存在でした。

そうして根っこに熱い昭和魂を忍ばせながら、見せ方はすこぶる現代的。最凶の敵である久住と、彼を殺す気満々の伊吹が初めて対峙するシーンがお互い満面の笑顔っていうのもw、実に新しくて刺激的でした。まぎれもない大傑作です。素晴らしい!

バディー物の刑事ドラマっていう、もはや古典中の古典と言えるジャンルでも、こうしてアイデアを練りに練れば全く新しい作品が生み出せる。それを『MIU404』が証明しちゃいましたから、後続の刑事ドラマはホント大変ですw

同じ放映枠の後番組がまたもやバディー物の刑事ドラマだけど、予告編を観ただけで本作の足下にも及ばないのが見え見えで、ちょっと気の毒ですらあります。もちろん、そんな予想を覆してギャフンと言わせてくれることを期待しますが、まあ並大抵のことじゃない。

やっぱり今回は野木亜紀子さんというスペシャルな才能があればこその偉業で、以前にも書いた通り、刑事物を手掛けて下さった野木さんに感謝あるのみです。

そして、自分だって本気を出せば野木亜紀子なんかに負けやしないよ!って、刑事ドラマの創り手さんたちが奮起して下さることを切に願います。

このジャンルはまだ死んでません。ボクは死にまっしえーん!!
 


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5 コメント

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Unknown (ムーミン)
2020-09-08 08:25:09
おはようございます。間違いなく今年のナンバーワンドラマですね。これを越える刑事ドラマは今後出ないかもしれないと思わせるくらい引き付けられました。一捻りも二ひねりもある展開にハラハラドキドキして最終回の最悪の結果にはショックをうけてからのもうひとつの展開には脱帽です。菅田将暉さんは本当に不気味で後味の悪さを残す名悪役でした。
一番好きな回は麦と成川を井戸の中から間一髪で救い出すシーンです。必ず助ける、間に合わせるという4機捜のメンバーの思いに熱くなりました。本当にいいドラマでした。
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Unknown (harrison2018)
2020-09-08 09:47:57
徹底して現代的で、それでいて王道を外さない、エンタメドラマの理想型を見せてもらいましたよね。おっしゃる通り、これを超えるのはなかなかのミッション・インポッシブルじゃないかと思います。
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Unknown (キアヌ)
2020-09-09 17:44:56
見せ方が素晴らしかったです!

特に綾野さんの役って、動物的な勘、運動神経など、よく流行っていた変人の天才と同じ感じですが、、

綾野さんの役は他人より少し優れてるだけ
というところが最高によかったです!

1話から「足が速い」というキャラが見事にブレずに反映されてましたねww

菅田さんは完全にバットマンのジョーカーでしたね。
社会が生み出した正体不明の闇の化身、最高でした。

できれば続編が見たいです。
きゃらがみんなキラキラしていましたね!

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Unknown (gonbe5515)
2020-09-09 19:56:52
最終回まで楽しく視聴させていただきました。
初回は見逃したのですがハリソン君の初回レビューを読んで2回目から見始めました。

ハリソン君のレビューにハズレなし!

見逃した初回が気になるのですが、だからといって最終回を見終わったあとの満足感がどうこうなるというものではなかったと思います。そりゃあ見てればそれにこしたことはないんでしょうけど、見てないんですから仕方がない。

キリっとした桔梗さんが素敵でした。(私にとって麻生久美子さんのイメージは、『カンゾー先生』と『時効警察』)。志摩クン、ガッキーと契約結婚してドギマギしてるのもよかったけど、こういう役もまたいいですね。

私にとってこのドラマでの新しい発見は、陣馬さんを演じた橋本じゅんさんでした。この方、きっと舞台出身だろうと思って調べたら案の定。映画やドラマにも多数出演されているようですが、私との接点は少なかったようです。

いかにもな演技ではあるのですが、あとからジワジワやってくる感じがたまりませんでした。

素敵なドラマをご紹介下さり、ありがとうございました。

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Unknown (harrison2018)
2020-09-09 23:01:59
>キアヌさん
キャラがみんなキラキラしていた、本当にそう思います。野木亜紀子さんの作品で私が最初にハマった『重版出来!』もそうでしたが、あれは原作物なので原作の力もあるだろうと思ってました。けど、やっぱり野木さんの力が大きいですね。全キャラクターへの愛をすごく感じました。

>gonbeさん
橋本じゅんさん、良かったですよね。私もこのドラマで好きになりました。各回ゲストに至るまで全てのキャストが魅力的でした。これもキャラクターに書き手の愛がこもってるからで、皆さん役者冥利に尽きただろうと思います。

レビューにハズレなし、なら良いのですが、『ナギサさん』はあやうく見誤るところでしたw 長い眼で見ないと判断出来ない作品もありますよね。その点『MIU404』は初回の序盤だけで「これはイケる!」と確信出来ました。そんな作品とはなかなか出逢えません。間違いなく今年ナンバーワンです。
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