☆第13話『愛・弾丸・哀』
(1977.6.29.OA/脚本=館野 彰&佐藤 肇/監督=佐藤 肇)
『特捜最前線』っていう番組を「地味」って何度も書きましたけど、それはあくまでイメージの話で、実際はけっこうアクティブだったりするんですよね。
初期は毎回のようにヘリコプターが登場するし、この第13話はいきなり冒頭から銃撃戦、しかも大雨の中で、というダイナミックさ。
プラスチックのモデルガンとは言えパーツは金属ですから、濡らしたら分解して全部拭かなきゃ錆びてしまう。さぞかし小道具さんは大変だった事でしょうw
それはともかく、同じ銃撃戦でも『太陽にほえろ!』みたいにスマートじゃないんですよね、やっぱ『特捜~』はw
2枚目の画像の、神代課長(二谷英明)とオヤジさん=船村刑事(大滝秀治)の表情をご覧下さい。『太陽~』のボスや山さんは絶対あんな顔しませんw
本放映当時、かように大袈裟な「気張り過ぎ」の芝居を、私はカッコ悪いと思ってました。いや、今でもカッコイイとはとても思えませんw
けど、もし現実に拳銃を持った犯罪者と対峙したら、そりゃメチャクチャ怖いだろうし、格好なんかつけてられない筈です。
いま思えばリアルなんですよね、『特捜』の方が。たぶん、徹底的にリアリティーを追求した結果の、あの顔なんじゃないでしょうか?
『特捜』に限らず、当時の刑事ドラマはみんな「如何に『太陽にほえろ!』と違うことをやるか」を前提に創られてましたから、意図的にスマートさを排除して、わざと泥臭い芝居をさせたのかも知れません。
この銃撃戦の中で、一番若手の津上刑事(荒木しげる)が犯人を追い詰めます。でも犯人がまだあどけなさの残る青年だった為、津上は拳銃の引金が引けなくなってしまう。
このシチュエーション、『太陽にほえろ!』の第1話によく似てます。新米刑事のマカロニが、若い犯人と対峙して同じように撃てなくなってしまう。
『太陽』の場合、遅れて駆けつけたゴリさんがマカロニの代わりに撃たれるワケだけど、こちらは桜井刑事(藤岡 弘)が代わりに引金を引き、犯人を射殺しちゃいます。
この展開の違いにもまた、『特捜』スタッフの『太陽』への対抗心が表れてる気がしてなりません。
そして『特捜』のもう1つの特長として、刑事どうしの激しいぶつかり合いが挙げられます。これもまた、チームワークが良すぎる『太陽』へのアンチテーゼなのかも知れません。
この第13話では、冒頭の銃撃戦で犯人を射殺した桜井刑事を、後輩の津上刑事が激しく罵倒します。桜井が撃たなかったら自分がやられてたかも知れないのにw
津上曰く、あの犯人は撃たなくても逮捕出来た筈なのに、桜井は最初から射殺する気満々だった。なぜなら、犯罪者が憎いから。自分自身も最初はそうだったから、桜井も同じに決まってる……
言ってることがメチャクチャなんだけどw、犯人射殺を初めて目の当たりにして、そんな風に動転しちゃう気持ちは解らなくもありません。
銅像みたいに何も言わない桜井に代わり、吉野刑事(誠 直也)が「甘ったるいこと言ってんじゃねえ!」と津上を一喝し、オヤジさんが「頭を冷やせ若造!」と冷水を浴びせます。
『太陽にほえろ!』の新米刑事なら、だいたいその辺で反省モードに入るんだけど、津上はそれでも尚「オレには解りません!」と突っかかっていく。そうとう粘着質な性格ですw
挙げ句の果てに捜査担当から外された津上は、アパートに帰って、同居する妹のトモ子(牧 美智子)に「刑事、辞めるかも」と愚痴をこぼします。「じゃあ、私が食べさせてあげる」と笑って返す、明るく健気な妹。
さて……実は、ここからが本筋です。パートの仕事に出かけたトモ子を、なぜか石橋蓮司が尾行するんですよね! よりによって、あの石橋蓮司です。そりゃもう、ただで済むワケがありませんw
(つづく)
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