ハリソン君の素晴らしいブログZ

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『華麗なる刑事』#01~#02 (追悼:田中邦衛さん)

2021-04-06 00:00:27 | 刑事ドラマ'70年代










 
あくまで二枚目を演じてるのに笑いを誘っちゃう田中邦衛さんと、必死に三枚目を演じてるのにカッコいいと言われちゃう草刈正雄さん。そんなお二人が織り成すなんとも不思議な空気感のアクションドラマ、それが『華麗なる刑事』を観た私の印象です。

実際、近年になって草刈さんは「邦衛さんの芝居に引っ張られ(影響され)すぎた」とインタビューで振り返り、反省しておられます。たぶん、そこに立ってるだけで味が出ちゃう邦衛さんが羨ましくて仕方なかったんでしょう。

一方の邦衛さんは邦衛さんで、そこに立ってるだけでカッコいい草刈さんが羨ましくて仕方なく、必要以上に二枚目を意識しちゃったのかも?

つまり、お互いに対するリスペクトとコンプレックスの裏返し。お二人とも競って「独特な間」を取るもんで、掛け合いのテンポも良いのやら悪いのやら、ホント独特としか言いよう無いんですよねw

だから、一言で表せば「ヘンな刑事ドラマ」w 観て泣くことは無いし、笑っていいのかどうかもイマイチ判らない、ほんと不思議な感じ。だからこそ個性的で面白い!

長銃身の44マグナムを撃つ時でも、草刈さんはわざとスマートに撃たないんですよね。地面に両ひざをついて踏ん張って、じっくり狙いをつけてから撃つんだけど、そのスキに標的が逃げちゃうよ!っていうw 世界一(当時)強力な拳銃を撃つんだから反動を押さえて慎重に、っていうリアリズムは解るんだけど、だったら普通の拳銃を使いなはれって話でw

で、一方の邦衛さんはメチャクチャ機敏に動いて、COLTローマン2インチをスタイリッシュに撃ちまくるというw

我々視聴者が草刈さんに格好良さを、邦衛さんには滑稽さを求めちゃうのに対して、お二人とも微妙にズレたことをしてらっしゃる。良くも悪くもチグハグな感じが今となっては面白いワケです。

本放映は1977年4月から11月まで全32話、フジテレビ系列の月曜夜8時枠でした。レギュラーキャストは草刈さん&邦衛さんを筆頭に、檀ふみ、沢たまき、新克利、加納竜、佐野浅夫、岸田森、有島一郎、第1話ゲストが中山麻理、第2話ゲストが長塚京三、奈美悦子……と実に懐かしい面々。多くの方が亡くなっておられ、先日ついに田中邦衛さんの訃報を聞く羽目になっちゃいました。

表舞台から去られて随分と経つから、覚悟はしてたんだけどやっぱショックだし、寂しいですよね。代表作は満場一致で『北の国から』って事になるでしょうけど、この『華麗なる刑事』や『大空港』等における刑事役も忘れられません。

ロス帰りのスーパー刑事こと高村一平(草刈さん)と対比するキャラクターとして登場する、鹿児島から来たハミダシ刑事こと南郷五郎が邦衛さん。ここでも『北の国から』と同じ「五郎」なんですよね。(ちなみに『北の国から』は'81年スタートだからこっちの方が早い!)

豪快かつ軽妙洒脱だけど本人の意識はあくまで二枚目で、たとえば『マジンガーZ』のボスみたいなキャラクター。って書いても分かってくれる読者さんは少ないでしょうか?w

とにかく何をやってもチャーミングで、それはもちろん邦衛さんが演じればこそ。確か山田洋次監督の映画『息子』だったかで、年がら年じゅう大声で愚痴ばっか喚いてるオッサンの役が邦衛さんで、現実にそんなのがいたら迷惑この上ないのに、邦衛さんが演じると可愛く見えちゃうというw 『北の国から』の五郎さんだってそうですよね。

もっと見たかったなあ……って誰もがそう思ってるはず。邦衛さんを嫌いだと言う日本人はいないんじゃないですか? どうか安らかにお眠り下さい。合掌。


 


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