介護職員を召使い扱いしたり、威圧したりする利用者(ほとんどが男性)に対しては人一倍冷たい私ですが、弱ってる利用者さんに対しては(男女関係なく)人一倍優しく接してます。
それは別に優等生でいたいからじゃなく、自分が弱い人間だからこそ弱い人に共感しやすいし、そもそも弱ってる人に寄り添うのが介護職員の仕事だと思ってるから。
だけど、私が優しく接することによって利用者さん側に甘え癖がつき、それが同僚職員たちへの負担を増やしてる現実もある。
それを私が責任持って全部請け負えたらいいけど、そうするには毎日24時間ずっと働かないといけないから100%無理。
職員全員が限界スレスレまで疲弊してた昨日、「もうっ、ハリソン君が甘やかすから!」みたいな声が2度、やんわりとだけど、それぞれ別のベテラン女性職員の口から出ました。
わざと私に聞こえるように言ったんだから悪口じゃなく、切実な本音を叱責にならない程度に伝えたかったんでしょう。
その気遣いは感じつつも「ああ、やっぱりそう思われてたんだな」と、モチベーションは下がりました。
そもそも介護職には「利用者自身が出来ることは(その機能をキープさせる為に)自分でやらせるべき」っていう大原則があり、同僚のほとんどが子育て中のお母さんゆえ尚更「甘やかしちゃダメ(本人の為にならない)」っていう意識が強いんでしょう。
けど、本当に甘やかし=悪なんでしょうか? 確かに子供は叱られたり突き放されることでモラルを学び、吸収していくから適度な厳しさが必要だろうけど、後期高齢者はまた違うのでは?
モラルは知ってたけど(認知機能の衰えで)忘れてしまった人たちであり、僅かに残った身体機能もムリしてキープしたところで、再び取り戻すことはほぼ有り得ない。悪い言い方をすれば知力も体力も衰えるしかなく、家族が面倒見きれずに「放り込まれた人たち」ですよ。私自身も放り込んだ側の1人です。
だったらせめて、施設を居心地のいい空間にしてあげるのが職員の役目じゃないの?って思うのに、現実は真逆になってます。たぶん、よその施設も同様でしょう。
特に今はクラスター状態でみんな個室に閉じ込められ、ナースコールを押しても(職員の人手が足りなすぎて)すぐに対応してもらえない。職員たちの口調もキツくなってるし、これはもはや刑務所と変わんないのでは?って思っちゃう。
だからと言って、利用者さんのワガママを全部聞いてたら仕事がまったく回らないし、職員の気力・体力がもたないのもよく解る。
現場に余裕が無いことが全ての元凶で、これは介護業界に限らずの大問題。このまま行けば日本社会は本当に「破滅です。」って、つくづく感じてます。
が、社会がどうなろうと生きてる限りは働かなきゃいけない。出来ればまた転職なんて面倒なことは避けたいから、今の職場で。
ならば、周りに合わせて私も利用者さんに厳しく接するべきなのか? いや、それはしたくないし、そういう資質をそもそも私は持ち合わせてない。したくても出来ないんです。
結論は、孤立するのを覚悟の上で自分のやり方を押し通す。それを本格的に否定された時には辞めるしか無いでしょう。
ただ、同僚たちも鬼じゃない。本来は優しい人ばかりなのに、状況がそれを許さないだけ。不条理です。しつこいようだけど、ホント大変な時代になっちゃいました。
僕も実感しています。
ただクラスターの時に言われたのが「最低限、利用者様の命(自分たちもふくめますが)を守る」ということでした。
でもハリソンさんの「施設を居心地のいい空間にしてあげる」僕も全くもって同感です。クラスター現実の今は、その気持ちを胸の中に刻み込んで行動していくだけでも、どこかで利用者様には伝わっていくと思います。
僕が他部署に応援に行った後、その時に対応した利用者さんと今でも声かけあえるようになれたのも、介護職の嬉しさの一つです。
そう言いながら私自身も感情のコントロールを失いがちだし、ホントに人間力が要求される仕事で、やっぱり自分には無理かも?って今だに悩みます。最後まで悩み続けるんでしょうね。