これを観る(というより見届ける)までは死ぬワケにいかないと思ってた、『インディ・ジョーンズ』シリーズの第5作がついに公開されちゃいました。
ハリソン・フォード氏が「最後のインディ役」と明言されてますから、もし万が一、別の主演者でシリーズが続行されたとしても、私はもう観ません。なぜなら私こそが真のハリソン・フォードだから。
これから見届けに行くので、明日以降ブログの更新が無ければ「アホや、ホンマに逝きよった!」と笑ってやって下さい。
今さら語るのが野暮なほど有名なシリーズなんで簡潔に書きますが、良くも悪くもアメリカ映画の流れを大きく変えた2人の巨匠、『アメリカン・グラフィティ』『スター・ウォーズ』のジョージ・ルーカス氏が製作総指揮者として、『ジョーズ』『未知との遭遇』のスティーブン・スピルバーグ氏が監督として、初めてタッグを組んだのが1981年公開のシリーズ第1作『レイダース/失われたアーク』。
そして我らが主人公=考古学者にしてトレジャーハンターのインディアナ・ジョーンズ博士役に抜擢されたのが、当時『スター・ウォーズ』のハン・ソロ役で一躍注目されるもBIGスターとはまだ言えなかった、私ことハリソン・フォード氏なのでした。
いにしえのB級連続活劇(いわゆるクリフハンガー映画)をクオリティーアップして復活させただけのつもりが、世界的大ヒットになってスピルバーグ監督は驚いたそうだけど、お陰でハリソン・フォード氏も一気にハリウッドのトップスターにのし上がり、分身である私が替わりに冴えない人生を請け負うことになった次第。
というか私がハリソン・フォードだから何の問題もありません。(ここまで言うと我ながら痛々しい)
導入部のアクションがべらぼうに面白いのは、ルーカス&スピルバーグが『007』シリーズへのリスペクトもこめてるから。特に第1作におけるトラップだらけの洞窟探検、そして転がってくる巨大岩石から必死に逃げるインディのくだりがもう最高!
だけに、そのあと本題に入ってからの展開が、当時高校生だった私にはちょっと退屈に感じられました。
いや、高校生だったからじゃないですね。私はとにかく、ヒーローが悪党を片っ端からぶん殴ったり撃ち殺したりするアクションが一番好きだから、ナチスの飛行場におけるこんなシーンをもっと観たかった。
なもんで、私を本格的に『インディ』シリーズのファンたらしめ、ハリソンと一体化するに至らせたのは、1984年公開の第2作『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』なのでした。
「ジェットスター・ムービー」の呼び名に相応しく、冒頭から過剰なほど見せ場につぐ見せ場で、シリーズ中で最もハイテンションな作品。
アクション描写も一番激しく、ハリソン・フォード出演作の中でも頭抜けて荒唐無稽な作品と言えます。
けれど私は、この『魔宮の伝説』でこそハリソンの魅力に取り憑かれたのでした。彼が演じると、どんなに漫画チックな内容でも人間臭くなると言うか、アクションヒーローにちゃんと血が通う。だからすんなり感情移入できて一体化しちゃうワケです。
かの淀川長治さんが良い意味で「イモっぽい」と表現された、二枚目過ぎないルックスも効いてます。どう見てもカッコいいんだけどカッコ良すぎない、唯一無二のスーパースター。
そんなハリソンの持ち味は、インディみたいに荒唐無稽なヒーローを演じてこそ最大限に発揮される。ご本人は「超」がつくほど真面目な方だからシリアスな作品をチョイスしがちだけど、もっと肩の力を抜いて仕事された方が良いのでは?って、一ファンとしては思ってます。
ハリソンがいよいよ押しも押されぬ大物スターとなり、その生真面目さが作品の内容に反映され始めたのが、1989年公開のシリーズ第3作『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』かも知れません。
もちろん荒唐無稽なクリフハンガー映画には違いないけど、ずっと疎遠だった頑固者の父=ヘンリー・ジョーンズ(ショーン・コネリー)とインディの、確執と和解のドラマが縦軸に据えられ、シリーズ中で(今のところ)最もエモーショナルな作品になってます。
構成のお手本となった『007』シリーズの初代ジェームス・ボンドであるコネリー氏が「インディのパパ」役に選ばれたのは偶然じゃなく、まさに「この人しかいない!」っていうキャスティング。
悪趣味とも揶揄された前作『魔宮の伝説』と同じシリーズとは思えないほど、気品や重厚さも感じる作品になったのは、明らかにコネリー氏のお陰。少年時代のインディを演じたリバー・フェニックス氏の凛々しさも忘れ難いです。
が、やっぱり宿敵・ナチスを相手に暴れまくるインディアナ・ジョーンズあってこそのシリーズ。最も脂が乗ってカッコいい時期のハリソンが観られる意味でも重要作で、’80年代3部作は結局どれも甲乙つけ難い、奇跡の傑作揃いです。
そして、19年間のインターバルを経て2008年に公開されたのが、シリーズ第4作『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』です。
時代背景も1930年代から米ソ冷戦真っ只中の’50年代へと進み、宿敵はソ連軍大佐にしてKGBスパイのイリーナ・スパルコ(ケイト・ブランシェット)。
これまでは宗教にまつわる宝物や超常現象を扱って来たのに対し、今回は異次元人(とは言ってるけど明らかに宇宙人)がテーマ。つまりSF色が濃くなったことで、何とも言えぬ違和感が生じたのは事実。
だけど私が’80年代の三部作ほど夢中になれなかったのは、それよりもインディがかつて『レイダース』のヒロイン=マリオン(カレン・アレン)と毎晩チョメチョメしてつくった息子=マット(シャイヤ・ラブーフ)のせいだろうと思います。
親子の珍道中って意味じゃ前作『最後の聖戦』と同じなんだけど、ほぼ戦力にならない老人がバディになるのと、イキのいい不良青年がバディになるのとじゃ、ヒーローにかかる負担が随分と違ってくる。当然、背負ってるハンデが大きいほどアクション映画としては面白くなる。
スピルバーグ監督にえらく気に入られてたシャイヤ何たらっていう役者に魅力が感じられず、こいつがインディ役を引き継ぐとしたら冗談じゃない!とも思ったし。
母親のマリオンも加わったチェイスシーンにも緊張感がなく、すっかりファミリームービーになっちゃってるのが私にとって一番の不満でした。
復活ブームの先陣を切ってシリーズ最大のヒットは飛ばしたものの、この4作目が一番好き!って言うファンは多分いないでしょう。
だからこそ、このまま終わって欲しくない。第5作を見届けるまでは死ねないんです。
ハリソンがいよいよ80歳になっちゃったり、監督が交代しちゃったりと不安要素も多いけど、4作目の出来映えに我々ファンがモヤモヤしてるのを充分に解った上で創られてるでしょうから、少なくともそれは吹き飛ばしてくれる筈。
もちろん’80年代の三部作に匹敵する、ややもすれば超えちゃう出来になってたら言うこと無しだけど、まぁそこまでは求めません。
とにかく、我々が納得できる「有終の美」を飾ってくれることだけ祈りながら、今から映画館へ行って来ます!
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