池上隆子(多部未華子)は、山田太郎(二宮和也)が主演する自主映画に、その相手役として出演する事が決まりました。引っ込み思案な隆子にとっては大きな前進です。だけど……
「いいんだよね、私……玉の輿よりもこの恋を選んで……」
大貧民の太郎と暮らして行く事はすなわち、現在の小市民ライフから脱出するという、長年の夢を諦める事を意味します。別につき合ったからって結婚するとは限らないんだけどw
まだ迷いを吹っ切る事が出来ないでいる隆子を、今度は母親のまりあ(柴田理恵)が、強引に太郎を池上家(公団住宅)に招待するという形で後押しします。
まりあはスーパーで最安値の買い物をするスペシャリストで、太郎には「師匠」と呼ばれ崇められる存在なのですが、そもそも隆子はそんなオトナになりたくないからこそ、ずっと玉の輿を夢見てたワケでw、母には関わって欲しくない様子。
山田ファミリーほどじゃないけど、隆子の両親(父親役は六平直政)のラブラブおしどり夫婦ぶりや押しの強さも又、なかなかどうして(ビジュアル的にも)気持ち悪いですw
「池上さんは、いい奥さんになると思うんです」
「えっ?」
両親に対して太郎がサラッと言った言葉に、隆子はドキッとするのですが……
「師匠とそっくりの」
「が~ん!」
隆子がモノローグで言う「が~ん!」は毎回のお約束ですが、何となくやる気なさそうな多部ちゃんの言い方がツボですw(多分、数パターン録音した中で、いちばん気を抜いて言ったバージョンを、あえて逆に使ったのではないかと)
で、すぐさま妄想モードに入るのも隆子のお約束で、数年後に六平さん&柴田さんソックリな(?)夫婦になった二宮くん&多部ちゃんが、2枚目と3枚目の画像です。
「そんなのイヤ! もうやめてよ! やっぱりムリ! 私、貧乏な人はイヤ!」
「た、隆子……」
いきなり失礼なことを叫ぶ我が娘に、父母は驚くのですが……
「あ、今のはたぶん映画の台詞です。池上さん、もう憶えたんだ」
朝ドラのヒロイン並みに鈍感&プラス思考な太郎にw、救われる隆子なのでした。そして……
まだ隆子が迷いを吹っ切れない内に、いよいよ映画の撮影がスタートしちゃいます。
学生が撮る自主映画なんて、普通はキャスト&スタッフ合わせて5人~10人程度なのに、まるでメジャースタジオの大作映画並みの大人数を仕切ってる小谷カンヌ監督(水川あさみ)は、ただ者じゃありませんw
「いやぁ~、あの2人には、古き良き日本映画の雰囲気を感じるなぁ~」
古風な学生服の衣裳に身を包んだ太郎&隆子を見て、一ノ宮校長(宇津井 健)が懐かしそうに眼を細めます。確かに『伊豆の踊子』みたいな昭和の文芸作品が似合いそうなカップルです。
「どんなラストシーンが待ってるのかな、あの2人には」
「え?」
隣にいる御村託也(櫻井 翔)に、思わせぶりなことを言う校長先生。何も知らない筈なのに何でも解ってる勿体ぶったキャラって、少女マンガに必ず出て来ますよねw
「キミは、それを見に来たんだろ?」
図星を突かれて苦笑する託也ですが、彼自身が心から太郎を愛してる事までは、さすがの校長先生も見抜けなかったようですw
ちなみに、カンヌ監督からレフ板係を命じられた杉浦くん(忍成修吾)は、太郎にハグされて以来、彼が気になって仕方がないという、どうやら真性のゲイと思わしき描写があり、たいへん気持ち悪いですw
いや、愛の形は様々であって良いと思いますから、決して同性愛を否定するつもりはありません。むしろレズは大歓迎だしw
「気持ち悪い」を連呼してる私自身だって、実は俳優としての二宮和也くんがかなり好きだったりします。映画『青の炎』は松浦亜弥さん目当てで観た筈なのに、気がつけば二宮くんに眼が釘づけになってました。
卓越した演技力もさることながら、二宮くんには人を惹きつける不思議な吸引力、何やら性別を超えた魅力があるんですよね。あるいは、私自身にも実はゲイの素質があるのか?
んな事はどーでも良くて、撮影は順調に進み、自転車に2人乗りしたり相合い傘したり抱擁したり等、ラブラブな太郎&隆子の姿が美しい自然を背景に描かれていきます。
「池上さんって、なんかいい匂いだね」
「えっ?……あ、ありがとう……」
太郎のキラースマイルにメロメロの隆子、そして私。(うそw)
撮影の帰りに、隆子は初めて山田家の食卓に招かれ、あの気持ち悪い……じゃなくて、可愛い可愛い弟妹たちと対面する事になりました。
ギャラ代わりに監督から貰った高級ホットケーキを細かく切って、仲良く分け合って食べる弟妹たちは、本当に幸せそうに見えます。そんな気持ち悪い……じゃなくて、健気な弟妹たちの姿を見て、隆子の心にも変化が訪れます。
「私……間違ってた。お金が無くたって幸せになれる。ホットケーキ1枚を、みんなで分ける幸せが、此処にはある」
たかがホットケーキ1枚に感動し、幸せを感じられるなんて、お金持ちには決して出来ない事です。ここで隆子は、ついに迷いを吹っ切りました。
「私、今ならもう、自信を持って言える……」
そして撮影最終日、隆子は渾身の想いを込めて、クライマックスの台詞を叫ぶのでした。
「たとえ貧しくても、私……あなたが好き!」
それは、役を超えた隆子自身の心の叫びであり、カンヌ監督も大絶賛の名演技だった……のですが……
「オレはキミ無しでは生きて行けない」
肝心の主人公=太郎が棒読み台詞でNG連発、カンヌ監督もお冠です。この二宮くんの棒読み芝居がまた素晴らしい! 下手な芝居で笑わせるっていうのは、本当に上手い俳優にしか出来ない芸当なんですよね。
しかし、これじゃいつまで経っても撮影が終わらないって事で、愛する太郎の為に託也が助け舟を出します。託也から何やら耳打ちされた太郎は、見違えるように気持ちのこもった演技を披露し、見事OKを勝ち取るのでした。
大喜びのカンヌ監督は、太郎にこんな言葉を残して大学へと帰って行きました。
「私、いつか有名になってハリウッドで戦争映画撮るのが夢なの。そん時は日本兵士役、よろしく」
ちょうどクリント・イーストウッド監督の『硫黄島からの手紙』が公開されてた時期なんですよねw 二宮くんはまさに日本兵士役でした。
「池上。第3段階も頑張れよ」
「えっ?」
例によって託也は、勿体ぶった台詞と思わせぶりな笑顔を残して、キザに去って行くのでした。気持ち悪いですw
「私ね……山田君と一緒だったから、楽しかった」
「ほんと?」
すっかり夜になって、イルミネーションの光に包まれ、ムード満点な雰囲気の中、太郎と隆子が2人っきりで歩きます。
「このままずっと、撮影が続いたらって、思った」
「うん。このままずっと、夏休みが終わんなきゃいいなぁ……」
想いを伝えるのは、今しか無い! 隆子は勇気を振り絞って、いよいよ正直な気持ちを太郎に告白します。
「私……たとえ貧しくても、あなたが好き!」
「そうそう、あの台詞。なかなか上手く言えなくてさぁ、あん時、御村くんにアドバイス貰ったの」
「えっ?」
隆子がまた映画の台詞を言ったものと勘違いした太郎は、託也から耳打ちされた例のアドバイスをここで披露するのでした。あの時、託也はこう言ったのです。
「キミ無しではのキミを、何でもいいからお前の好きな料理に置き換えてみろ」
「料理? ハンバーグでいい? オレは、ハンバーグ無しでは生きて行けない……なるほど!」
……と、いうワケで、今のところ太郎の頭の中には、食い物=ファミリーの生活の事しか無いみたいです。
「ハンバーグに、負けた……」
隆子の想いが伝わる日は、いつか来るのでしょうか? 来ないような気がしますw
そんなワケで、この第6話をレビューに選んだのは、実質的な主役が隆子=多部ちゃんだったから。しかも、太郎への想いが玉の輿の夢より勝った、ターニングポイントと言えるエピソードなんですよね。
さらに、私も昔やってた自主映画の撮影が描かれて、しかも好きな女優さんの1人である水川あさみさんが監督役ってのもポイント高いです。おまけに山田ファミリーの出番が少ない!w
二宮和也と多部未華子がカップルを演じてること自体、今思えばかなり贅沢な映像だし、この2人のクラシックな制服姿が見られる点でも、非常に美味しいエピソードだったんじゃないかと思います。
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