話数が20を越えて、四機捜・加納班の紅一点=都築悠子刑事(本阿弥周子)のチリチリ・ショートヘア姿もすっかり馴染んで来ました。
イメチェンすれば最初はどうしても違和感があるし、ストレートのセミロングがとても似合ってただけに「前の方が良かったのに」って正直思ったけど、馴染んでしまえばこっちも素敵だなと、土台の良さをあらためて認識した次第です。
外見だけでなくキャラクターも段階的にリニューアルされ、大和なでしこ的女性像から現代的キャリアウーマン像へとシフト。一歩引いて加納主任(杉 良太郎)をお慕い申し上げてる素振りはもう見られません。
今回レビューした#20と#23では目立った活躍が無かったけど、#22『女の詩 男を殺せ』(すごいサブタイトル!) ではセレブに化けてホストクラブに潜入しちゃうアクティブさと茶目っ気を披露 (画像7枚目)。水野刑事(赤塚真人)という後輩が出来たこともあって、よりカッコいい女性像が形成されてます。
さて、このあと#26 (レビュー済み) でいよいよ沢木刑事(神田正輝)が殉職し、#28から#30まで夏木刑事(佐藤仁哉)がイケメン枠を引き継ぎ、#31からは『大捜査線シリーズ/追跡』のタイトルで番組自体がリニューアル、南条刑事(大村波彦)と新田刑事(米田昌弘)が新加入し、さらに1クール(通算42話まで)続くことになります。
で、私は沢木刑事殉職までのエピソードを9割以上はチェックしたと思うんだけど、ついに神田さんのCOLTガバメントが火を吹く機会は(私が見た限り)一度も巡って来ませんでした。
いや、正確に言えば一度だけ、モロボシ・ダンこと森次晃嗣さんが犯人役で出演された#21『哀しみの一弾』にて、空に向かって威嚇射撃するシーンがあるにはあったんだけど、それも一瞬だし引きの画でよく見えないんですよねw
ただし! ちょっとマニアックな話になりますが、よく見えないながらも、ガバメントがちゃんとブローバックしてるのを私は見逃しませんでしたw
当時『西部警察』や『大激闘』じゃ相変わらず固定スライドの電気発火ピストルを使ってましたから、この『大捜査線』はかなり進んでたと言えます。なのに威嚇射撃1回だけとは、なんと勿体ない!
これは多分、神田さん個人のこだわりだったんだろうと私は思います。『大捜査線』のスタッフはほとんど時代劇畑の人ばかりで、銃撃の見せ方になど興味あるワケがないw
オートマチック拳銃のブローバックを初めて本格的に見せたTVドラマは『太陽にほえろ!』だと思うんだけど、それもドック刑事=神田さんが使う銃だけでしたからね。他の刑事たちはリボルバーだし、悪役が使うオート拳銃はやっぱり電気発火でした。
で、その『太陽~』で神田さんと共演された世良公則さんが『ベイシティ刑事』でブローバック描写を定着させちゃうワケだから、日本のTVドラマにおけるガンアクションが劇的に進化する、そのキッカケを作ったのは間違いなく神田正輝さん。
その神田さんに威嚇射撃1回だけしかさせないとは、ほんまに、アホかっ?!w
まぁしかし、そのフラストレーションがあればこそ『太陽~』で神田さんが弾けまくって本格ブレイクされるワケだから、結果的にはこれで良かったんだと思います。『大捜査線』はあくまで杉サマのドラマだし。
そんなワケで『大捜査線』のレビューはここまでにしたいと思います。なんだかんだ言いましたけど、これは昭和ポリスアクションにおける名作の1本だったと私は思います。
☆第23話『誤認逮捕』(1980.7.17.OA/脚本=白井更正/監督=高橋繁男)
深夜タクシーの運転手が乗客に絞め殺され、売上金と腕時計を強奪される事件が発生し、四機捜の加納主任(杉 良太郎)は2年前のほろ苦い事件を思い出します。
やはりタクシー強盗で、手口は微妙に違うんだけど現金と一緒に腕時計を奪ってる点が共通しており、そのとき加納はパチンコで生活してる伊田という男(高木 均)を自信を持って逮捕したんだけど、奪われた現金と腕時計がどうしても見つからず、証拠不充分で不起訴になっちゃった。すなわち、誤認逮捕。
味をしめた伊田がまたやらかしたと加納は直感するんだけど、大滝隊長(山内 明)に「おい加納、感情的になるな」「頼むから慎重にやってくれ」「無茶するな」「ああだ」「こうだ」「乳首だ」と釘を刺されまくります。そりゃあ同じ男を二度も誤認逮捕したら、四機捜の存続を揺るがす不祥事になっちゃうから無理もありません。
だけど2年振りに伊田と再会し、その不敵な態度を見た加納はますます疑惑を深め、今度こそ動かぬ証拠を掴むべく奮起し、部下たちも主任を信じて支援するのでした。
結果、伊田が現在は離れて暮らす娘の明子(木村理恵)から6万円の借金をしてる事実が判明し、加納はピンと来ます。伊田は2年前にも、当時チョメチョメ関係だった女性に借金をしており、それを返済する際に小さな包みを彼女に預けていた。そして不起訴が決まった後にそれを取り戻していた。
そう、ヤツは盗んだ金を返済にあて、何も知らない相手に腕時計を預けることで、巧みに証拠を隠していた! そして今回は非道にも、実の娘を利用しようとしている!
ということは、明子がいま預かってるであろう腕時計を警察に渡してくれれば、それが証拠となって伊田を逮捕&起訴することが出来る。
だけど加納の訪問を受けた明子は、とっさに「何も預かってない」と嘘をつきます。ろくでなし親父のせいで母親にも捨てられ、ひたすら迷惑な存在でしかない相手なのに、なぜ彼女は庇うのか?
明子と同棲中の恋人=ヤっちゃん(小原秀明)がいいことを言いました。
「お前さ、いつも親父もお袋も他人だって言ってたけど、嘘なんだよな? 分かっていたよ、オレには。強がってやがるって」
「…………」
「だったら親父を庇ってやれよ。最後まで」
「でも……親父、何やったんだろ」
「何をやってもいいじゃないか。何をやっても庇ってやれよ。それが親子だろ?」
倫理的にはよろしくないんだろうけど、人間としてはそうありたいと私も思います。どんな親でも、やっぱり親は親ですから。
で、そのろくでなしのダメ親父=伊田は、沢木(神田正輝)&水野(赤塚真人)両刑事にマークされてるとも知らず飲み屋で乱闘騒ぎを起こし、傷害の現行犯で逮捕されます。
よし、チャンス! こうなったらヤツを取調室でフルボッコに……いや、じっくり尋問して2件の強盗殺人を何としても吐かしたる!と加納は息巻くんだけど、またもや大滝隊長がブレーキをかけて来ます。なんと飲み屋の喧嘩相手が示談に応じ、伊田の釈放が即決されちゃったのでした。
「傷害罪で起訴しても、しょせん誤認逮捕の腹いせと取られるよ」
「なに?」
ライバルの下条主任(垂水悟郎)にも水を差され、加納はムッとします。
「そうでなくてもだよ、示談で済むなら厄介な存在は放り出した方がいいんじゃないのか?」
「犯罪をやったヤツがいる。だからオレは追う。捜査とはそういうもんだと思ってる」
出ました杉良太郎オンステージ! 始まりましたワンマンショー! 杉サマ自ら作詞された主題歌『君は人のために死ねるか』のサビでもこう詠われてます。
♪許せないヤツがいる 許せない事がある だから倒れても倒れても 立ち上がる立ち上がる 俺の名前はポリスマン!
そんな杉良太郎スピリットがドラマの内容にも反映されてるんですよね。それがあってこその『大捜査線』なんです。
さて、伊田があっさり釈放されたことが、かえって追い風になります。もうこれで自分が疑われることも無いと油断した伊田は、まだ沢木&水野が張り込んでるとも知らずに明子のアパートを訪ね、預けた小さな包み=殺した相手から奪った腕時計を取り返そうとします。
で、明子に「この中身が何なのか言ってくれるまで返さない」と拒まれ、逆上した伊田は明子をかばうヤっちゃんをナイフで斬りつけ、刑事たちが踏み込むとあろうことか明子を、我が娘を人質にし、その喉もとにナイフを突きつけます。
「実の娘にナイフを突きつけてでも逃げたいのか? 娘に何ひとつ父親らしい事をしてやれないお前でも、娘さんはお前を庇おうとしたんだぞ。恥ずかしいと思わんのかっ?!」
こうしてクライマックスで杉サマが説教を垂れるのも『大捜査線』のお約束だけど、それで犯人が改心した試しはありませんw だって、そこで犯人が諦めたら「フルボッコ」という杉サマの見せ場が無くなっちゃうからw
伊田もその例にもれず、我が娘の前で悪あがきを続けます。
「車を用意しろ。そうだ、お前が運転しろ! 誤認逮捕に今度は逃走の手助けだ、ハハッ。こいつはいいや、ハハハハハッ!」
もちろん、どんなにあがこうが、加納主任の機転と部下たちの見事な連携により、結局は怒りのワッパが手首に食い込む羽目になります。
「誤認逮捕じゃない。そんなヘマはしないよ。甘く見るなよ、伊田」
幸い、このところ暴力控えめキャンペーン中につき、伊田はフルボッコの刑を免れました。私としては物足りないけど、さすがに今回は娘が見てる前なのでボッコ無しでも致し方ありません。
だけど明子は、自分を人質にし、ええ歳こいて杉サマに説教され、ぶざまに逮捕される父親の姿を目の当たりにしてもなお「お父ちゃん!」と泣いて、その胸にすがりつくのでした。それが親子なんですよね。
今回は木村理恵さんがゲストってことで、ドック刑事(神田正輝)とアッコの絡み(『太陽にほえろ!』では入れ違いで共演なし)が見られるかと思ったけど、残念ながらツーショットはありませんでした。同じ部屋にはいたんですけどね。(画像3枚目の尾行シーンが、同じフレームに写った唯一のショットです)
理恵さん、偶然かスタッフのイタズラか判らないけど、ここでも役名は「明子」でしたw 『太陽~』を卒業されてから約1年後のご出演で、ちょっと色っぽくなられたし演技も上達されてます。
さて、シリーズも後半になり、初期の時代劇テイスト=勧善懲悪バイオレンス路線は鳴りを潜め、都会的かつマイルドな人情路線、つまりごくノーマルな刑事ドラマに落ち着いた感があり、私としてはややつまんなくなりました。クオリティーは相変わらず高いのですが……
オープニング&エンディングのタイトルバックもリニューアル(都会的にイメチェン)され、主題歌もフツーの歌謡曲になっちゃったけど、やっぱり杉サマが唄い、杉サマしか画面に出て来ませんw
青木義郎、垂水悟郎、赤塚真人といった演技派の俳優さん達がレギュラー入りし、チームプレーの魅力が加味されたのは良かったけど、顔ぶれが地味すぎたせいか、視聴率アップには繋がりませんでした。
刑事ドラマって、視聴率が取れないと大抵ソフト路線に舵を切っちゃうんだけど、そうすることで数字が上がった試しがあるんでしょうか? たぶん無いですよね?
だったら最後までハード路線を貫いて欲しいんだけど、スポンサーの手前、女性視聴者が取っつきやすいようにするポーズだけでも示さないとダメなんでしょうか?
それと、視聴率低迷により予算が削られ、お金のかかるアクションシーンを減らさざるを得ない事情もあるかも知れません。なんだかんだ言ってもやっぱりお金、世の中すべてお金です。金をくれ!
そんな中でも、説教という形で番組のスピリットを死守される、当時の懸命な杉サマの姿には心打たれるものがあります。コロナ渦でガースー総理と会食してる場合じゃありませんw
☆第20話『受験戦線異状あり』
(1980.6.20.OA/脚本=宮下教雄/監督=澤田幸弘)
浜崎という予備校生が殺され、加納主任(杉 良太郎)率いる第四機動捜査隊が捜査にあたります。
東大を目指していた被害者の浜崎は、名門予備校内でもトップ3に入る優等生。沢木刑事(神田正輝)と水野刑事(赤塚真人)がクラスメイトたちに聞き込みすると「そりゃあ殺意を抱いてたヤツはいっぱいいるよ」「ライバルが1人減って皆ホッとしてるよ」なんて言うもんだから呆れるしかなく、容疑者を絞り込むことも出来ません。
唯一、被害者の身辺を嗅ぎ回っていたらしい磯貝という探偵が怪しいんだけど、そいつもアリバイが立証されてしまいます。が、その磯貝に調査を依頼したのは誰なのか? そこに鍵があると加納主任は睨みます。
一方、四機捜の中じゃ一番の若手である水野刑事は、予備校生たちへの聞き込みを続ける内に友子という女子生徒(斉藤とも子)と親しくなり、「キミ、可愛いね」なんて言われて喜びますw(イケメンだから可愛いんじゃなく、ドジだからなんだけどw)
※斉藤とも子さんの役名が不明なので、ここでは便宜上「友子」と呼んでおきます。
彼女は医者を目指してるんだけど、本当は政治家になりたかったらしく、中国の革命家に習って「私も国家の病を治したかったんだけど、身の程をわきまえて人の病にしたの」と語り、水野を恐縮させるのでした。
そんな友子には、同じ予備校に通う新一というカレシ(佐久間宏則)がいるんだけど、最近怪しげな中年男と会ってから彼の様子がおかしいと言う。その男の特徴をよく聞いてみたら、例の磯貝探偵とそっくりなもんだから驚いた!
そう、磯貝に調査を依頼したのも新一、そして浜崎を殺したのも新一。彼らが通う予備校で成績トップ10に入れば東大に受かるというジンクスを信じ、微妙なラインにいた彼は、自分より確実に成績がいい浜崎を抹殺したのでした。
そんな新一も異常だけど、彼の母親(絵沢萌子)はもっと異常。磯貝探偵に犯行を見破られ、500万円の口止め料を請求された新一は警察に自首する決意をしたのに、母親が全力で阻止します。
「バカおっしゃい! 東大へ行ってエリートになる筈のお前を、どうして警察なんかにやれますか! お母さんが話をつけます!」
そして洋服タンスから拳銃(たぶん軍人だった父親の遺品)を取り出したお母さんはw、磯貝を脅して黙らせるのかと思いきや「クズ! 死んでおしまいっ!!」と迷わず射殺w そして実に手際よく証拠を隠滅するのでしたw
さらに、友子から住所を聞いて駆けつけた水野刑事の肩にも弾丸をお見舞いし、お母さんはマンションの屋上へと新一を引っ張っていきます。
「新一、お母さんと一緒に飛び降りるのよ!」
「そっ、そんな! 死ぬのやだ!」
「今さら何を言うのっ?!」
そこに我らが加納主任も駆けつけ、丸腰で銃口の前に立ちます。
「奥さん、もうやめるんだ。あんたの息子は死にたくなさそうだぞ」
「私と新一は一心同体です! 他人の指図は受けません!」
「息子を自分の所有物とでも思ってるのか?」
「刑事なんかに母親の気持ちが解ってたまるもんですか!」
「母親の気持ち? あんたに母親の気持ちが解るのか? 死んだ浜崎の母親の気持ちが……息子を殺された母親の気持ちがあんたに解るのかっ?!」
「……本当に撃つわよ!」
そして予告通りにお母さんはトリガーを引くんだけど、残念ながらすでに弾切れ。射撃のプロである加納主任はちゃっかり残弾数を計算していたのでした。
「新ちゃん……新ちゃん!」
警察に連行される新一を見て取り乱した友子は、水野刑事の胸を借りてひとしきり涙を流します。
「お前のガールフレンド、なかなかいい子じゃないか」
そう言って冷やかす加納主任に、水野は照れながら言います。
「偉いんですよね、彼女。国家の病を治すって理想を持ってるんですよ。俺、コンプレックス感じちゃうんです」
「どうして? お前だって社会の病を治す仕事をしてるんだぞ。知らなかったのか?」
「社会の病? 社会の病ですか! さすが主任、いい事おっしゃいますね!」
社会の病じゃ済まされない壮絶な事件だったと思うんだけど、なんだかホンワカと終わっちゃいましたw 四機捜のチームワークが描かれるようになり、タッチも明るくなって観易くなったんだけど、替わりに初期エピソードで毎回感じられた重厚さや、ガツン!と胸に響いて来るメッセージ性が失われ、見応えは確実にダウンしちゃってます。
この内容じゃ以前の主題歌『君は人のために死ねるか』のシリアスさと釣り合わず、第18話からはシングルB面曲の『いま愛のために』がラストで流れるようになりました。が、ごく普通の歌謡曲ですこぶる物足りません。『君は人のために~』のインパクトがいくらなんでも強すぎましたw
う~ん、やれ時代劇だの杉サマのワンマンショーだのと文句を言って来ましたけど、それがあってこそ『大捜査線』は面白かったんですよね。やっぱり加納主任がCOLTパイソンを撃ちまくり、必要以上に暴力を振るわないと物足りない。
今回は犯人のお母さんがすこぶる面白いからレビューする気になったけどw、やっぱり以前と比べると書き応えがありません。斉藤とも子さんのゲスト出演がそもそもレビューの理由なんだけど、今回は絵沢萌子さんに持ってかれちゃいましたね。
絵沢さんと、その息子役の佐久間宏則さんは同じ年に『太陽にほえろ!』の第389話『心の重荷』でも共演。そして佐久間さんはこの後、四機捜から七曲署に移籍される神田正輝さんの『太陽~』第1弾=第415話『ドクター刑事登場!』でもボンボン育ちの犯人役を演じておられます。
斉藤とも子さんは『薔薇海峡』『ゆうひが丘の総理大臣』で神田正輝さんとレギュラーで共演されてるし、何かとキャストどうしの繋がりが濃いエピソードでもありました。
レトロついでに、吉永小百合さんが14歳の頃にヒロインを務められた、この特撮ヒーロードラマをご紹介。
『月光仮面』『8マン』等で知られる桑田次郎(現・桑田二郎)さんのマンガを実写化した30分番組で、1959年4月から'60年3月までKRT(現TBSテレビ) で全56話が放映されました。フィルムは傷だらけながら映像がちゃんと残ってるのが凄い!
警視庁の敏腕警部を父親に持つ少年新聞記者の主人公=富士 進(加藤 弘)が、ひとたび事件が起きるとSMチックな仮面でコスプレし、まぼろし探偵を名乗って悪を成敗します。
原作ではバイクに乗り二挺拳銃をぶっ放すんだけど、ドラマ版ではダットサン・フェアレディをベースにしたスーパーマシン「まぼろし号」で空を飛び、電波ピストルという怪しげな兵器で敵を懲らしめます。
吉永小百合さんが演じられたのは、ただ1人まぼろし探偵の正体を知ってる博士の、愛娘(孫?)である吉野さくら。彼女は憧れのまぼろし探偵が誰なのか知らずに進と仲良くしてるという、まぁよくある設定ですw
とにかく吉永さんの美少女ぶりが圧倒的で、こんな子とイチャイチャできる主人公が憎くて仕方ありませんw 彼女の出番が多い第6話『二人のまぼろし探偵』などは段違いにクオリティーが高く感じられます。
作品そのものは正直言って、下手な自主映画を見せられてる感じですw 特撮はもちろん撮影や編集、脚本、そして演技の技術レベルがおしなべて低く、これじゃあ業界内で「ジャリ番(こども向け)」と差別されても仕方ないかも知れません。いや、だけどそれは優れた人材や潤沢な予算が与えられなかった結果でしょうから、最初からヒーロー番組は差別されてたんですよね。
そんな中だから余計に吉永さんの可憐さ、美しさが際立つワケです。ちなみに主人公の妹役で子役時代の藤田弓子さん(一番下の画像)もレギュラー出演されてますが、普通ですw そりゃ比較対象が吉永小百合じゃどうしょうもありません。
いやぁ~しかし、こうして黎明期のヒーロー物や刑事物をあらためて観ると、主人公たちがやたら品行方正で綺麗事ばっか言うもんで、ちょっと鼻についちゃいます。いや、というより'70年代~'80年代のヒーローや刑事が野蛮すぎただけかも知れませんw
現在のテレビ番組におけるヒーローや刑事たちも野蛮なことが出来なくなってますから、テレビとは本来こういう窮屈なメディアなんですよね。我々世代が夢中になって観た、あの時代のテレビ番組こそが異常なんですw 自由すぎたんですね。
思春期にそんなもんばっか観て育った我々が、とにかくカドが立たないよう無難に無難に作られた昨今のテレビ番組を観て、そりゃ面白いと思えるワケがない。リアルタイムで凄いものが観られた幸運に恵まれたからこその不幸です。
やっぱり、時代は廻るんですよね。いつかまた野蛮な時代が、エロとバイオレンスの時代が廻って来るんでしょうか?
『ザ・ガードマン』は1965年4月から1971年12月までの6年9ヶ月間、TBS系列・金曜夜9時半からの1時間枠で全350話が放映された、TBS&大映テレビ室の制作による大ヒット・サスペンスドラマ。初期のタイトルは『東京警備指令/ザ・ガードマン』でした。
立ち上がったばかりの警備会社「東京パトロール」に所属する7人の警備員が、工事現場やイベント会場でひたすら交通整理をする姿を描く……のかと思いきや、スーツ姿で颯爽と事件の謎を解いたり、時には拳銃をぶっ放して悪党と闘ったりするというw、刑事モノと何も変わらない内容だったりします。
山内正さんによるテーマ音楽からして明らかに『スパイ大作戦(ミッション・インポッシブル)』あたりのスパイ活劇を意識しており、警備員ゆえ普段は警棒すら持たないのに、当人たちは自分がFBIの捜査官だと思い込んでるみたいですw
日本初の警備会社「日本警備保障」(現在のセコム) が制作に協力しており「ガードマン」という呼称もセコムが考え提案したもの。それが番組の大ヒットにより世の中に浸透したワケで、前回書いた「機動捜査隊」の件といい、当時のテレビ番組による絶大な影響力が伺えます。
そして何と言ってもあの大映テレビが制作し、宇津井健さんが主役を演じて全身全霊でカッコつけてくれますw 生真面目な宇津井さんだけに、警備会社のイメージアップに全力で協力すべく、働く男の理想像をこれでもかと押し付けて来ますw
だけどその暑苦しさこそが最大の見所になってて、大映ドラマ独自の暑苦しい作風もこの『ザ・ガードマン』で確立されたのかも知れません。
そんな宇津井さんが演じられたのは、元警視庁捜査一課の敏腕警部にして東京パトロールの頼もしきリーダー「キャップ」こと高倉隊長。
そしてドライビングマスターの清水隊員(藤巻 潤)、お調子者の荒木隊員(川津祐介)、中堅の小森隊員(中条静夫)、最年少の杉井隊員(倉石 功)、最年長の吉田班長(稲葉義男)、電話番の三原主任(清水将夫)に加え、警視庁でキャップの相棒だった榊警部(神山 繁)がたびたび東京パトロールと共闘し、第45話からめでたく(?)ガードマンの一員となります。
メンバーたちの個性が薄くて見分けがつきにくかった『特別機動捜査隊』に比べて、この『ザ・ガードマン』は各キャラクターがしっかり色分けされてるので、かなり観易いです。
宇津井健さんがただひたすらカッコつけてるだけの第1話は退屈だったけどw、若手の倉石功さんによる失態を仲間たちがカバーする第2話は『太陽にほえろ!』以降の刑事モノに通じるものがあって楽しめました。
そうしてガードマンたちが敵の策略により一度は警備に失敗しちゃうのが、どうやら毎回のお約束になってるようで、もちろん最後には逆転してミッションを完遂するワケだけど、何より信用第一の民間警備保障がそんなポカばっかやらかして経営は大丈夫なの?ってw、スポンサーならずとも心配になっちゃいます。
なお、第1話のゲストは後に『夜のヒットスタジオ』等の司会業でブレイクされる芳村真理さんと、永遠の「おやっさん」こと小林昭二さん。第2話ゲストは中野誠也さんと、『仮面ライダーV3』『ミラーマン』等の特撮ヒーロードラマでよくお見かけした服部マリさん。モノクロ映像による効果かも知れないけど、この時代の女優さんには何だか神々しい美を感じます。
7年近い放映期間にはそうそうたる顔ぶれのゲストが多数登場され、中でも我らが山さんこと露口茂さんはかなりの回数出演されており、私もケーブルTVでたまたまお見かけしたことが2回ほどありました。『太陽~』ファミリーでは他に地井武男さんや関根恵子さんも出ておられたみたいです。