私は2017年6月11日、傘寿を迎える。
まだ大丈夫だと思い込みながらも、程なく確実に通過するゴールが見え隠れして、理由なく苛立つことがある。
歴史とは「現在と過去との間の尽きることを知らない対話」であるという。
この言葉に誘われて、極めて流動的な時が尽きるまで、不確かな軌跡を辿り続ける幻想を抱いて、パソコンに対峙した。
最初の1行には生誕を打ち込み、2行目に現在を入れた。
この2行の狭間に埋没する29,200日を掘り起し、白昼に晒さなければならない。
はたして記憶を覚醒させるキーワードにたどり着けるのか、不安を覚えながら、日めくりを繰り戻しながら、私はあの日の私と対話を試みるつもりだ。
雪混じりの雨が降った
池の導水管に詰まっていた氷が解けて、流れの音がよみがえる