暖かい風に誘われて、雪がまだらに残った山沿いの道を歩いた。
かっての美しい桑畑は荒れて、兎も住めない藪になっている。
風の中から、とうに絶滅した馬の蹄の音が聞こえた。
蹄鉄(金沓)をつけた馬の足音はリズミカルだ、小学校の近くに独特の匂いがする金沓屋の作業場があった。
小さな湿地帯に蒲の枯穂が残っていて、その形が面白かった
人も獣も魑魅魍魎も
川沿いの道を歩く人影があった
95歳のAさんだ、杖にすがって歩く私とは大違いだ。 金沓を履いているのかもしれない
落葉松に太い蛇のように藤蔓が絡まっていた