困ったことがあると、そのことは後回しになります。
澱のようなすっきりしないものが、溜まってきます。
私の場合は、仕事を優先し、仕事以外のことをほったらかしにすることが多かった。
専念していることは、毎日なんとかしようとするから片付いていきます。
片付かないことから逃げようとするから、いつまでも解決しません。
なんかの拍子に思い出し、苦いものがこみ上げてきます。
私は、そうして生きてきました。
多くのツケが残ってしまいました。
60歳を過ぎて、このまま死ぬわけにはいかないと観念しました。
ツケの解消には、数年かかりました。
ツケの多くは、家族との関わりのことでした。
時間をかけて、寄り添いました。
どの子も大人です。それなりの扱いとなります。
仕事は、生きられる程度で良いと初めて気づきました。
子どもたちは、自分の足で歩けるようになっていました。
親らしいことをしてきませんでした。
どの子も、新鮮な目で私に向き合ってくれました。
これまで、こんなにゆっくり話したことが無かったと思ったようです。
仕事の時と同じように、それでも片付かないしこりに出会いました。
関心を持つがために、さらに慎重に関係を持つことができました。
多くの時間、家族のことを考えるようになりました。
足りないと感じるようになりました。
後戻りできないことも多くありました。
自然と親離れ、子離れの時となりました。
清算ができた訳ではありません。
本当のツケは解消できてはいません。
子どもたちは少しだけ許してくれたのです。
彼らは、それぞれの道を歩き始めていました。
妻と二人だけの生活になりました。
この数年、「先延ばしの結果」に向き合わざるを得なかった。
新しい生活を始める準備だったと今は思います。
点と線 後も先とて おのれ引く
2016年4月15日