重い荷物を背負って、切羽詰まって逃げ回る夢を見ました。
妻の足が重くのしかかっていました。
何々しようか。と妻が提案します。
ああ、これをして欲しいということだなと解るまで時間はかかりませんでした。
越してきて最初にお世話になった和菓子屋さんのご主人が言われました。
この辺では、夫婦で飲みに行くことが多いと。
どちらかが、飲まないことになります。家の場合、私が運転手ですと。
家でも奥さんは飲まれるらしい。
次の焼酎の催促は、コップの底で机を「コンコン」とされるそうです。
どんなに凄い体格をした奥さんかと思いきや、可愛いユーモアのある奥様でした。
越してくる前に住んでいた東京のある町では、防災無線放送でよく徘徊老人の探索のお願いが流れました。
ほとんどの場合、その日の夕方か翌日の朝、無事に発見されたとお礼の放送がありました。
役場の職員も心得たもので、一字一句とぎれとぎれに拡声器で知らせます。
これは、勉強しておかなければと、認知症の勉強に福祉協議会主催の講習に出かけました。
徘徊老人には、正面から話さなければならない。後ろからの声掛けでは、驚いて逃げてしまう。
実演練習もしたりして、帰りに「オレンジリング」(講習を受けた印)をいただきました。
私の場合も、いつか徘徊することになるでしょう。
何度か練習をしたのちに、
好意を寄せる独居老婦人の家になぜかたどり着いたりします。
迷い猫のように、数日お世話になって、発見されるのも良いなどと妄想しています。
そんなことを考えるものですから、
娘に、「お父さん、さっきご飯たべたじゃない」と朝ごはんを抜きにされたりするのです。
名優青島幸雄の演じた「いじわるばあさん」のようになりたいものです。
一方、老人に限らず、人の話を聞こうと思います。
辛い話です。絞り出すように語ってくれました。
思わずもらい泣きです。
街の潤滑剤になれればと思います。
朝もやが煙る畑でもう働いておられます。
循環バスの行く方向を70歳過ぎと思われる婦人にたずねました。
「わたしゃ、乗ったことが無いから知りません」との返事でした。
自分で運転するから必要ないと説明する顔の鼻の穴がふくらんでいました。
この辺の老人と言っても良い方たちは、皆さんお元気です。
偽の徘徊老人などやっていたら、ひっぱたかれることでしょう。
けきょけきょと 藪で鳴く声 習いたて
2016年4月16日