地球にあしあと

地球の色々なところに足跡をつけてきました。

カミーノにあしあと ~Santiago~

2011年01月21日 | Weblog
8/1(日) En Santiago
翌朝。
7:30頃に起床し、身支度を整える。

この36日間、毎日歩き続けて来たので、歩かなくていい日は何をしたらいいのか分からず、とまどう。


外は霧が出て肌寒い。
アルベルゲの一角にあるテーブルで朝食を摂っていると、目の前に座った女性が「Finisterreまで歩くの?じゃあ洗濯用洗剤いる?」と言ってきた。
せっかくなのでもらっておこうかなと思い、「うん、いる!」と答えると、想像していた形状とは違い、大きなタブレット状の洗剤だった。
入浴剤のバブをもうちょっと大きくしたぐらいのが3つ4つセットになっている。
お、重い…。

今さらいらないとは言えず、仕方なくリュックに押し込むが、一部はそっとアルベルゲの洗面所に置いといた。



今日は1日Santiagoの町を散策し、もう1泊ここで過ごしたい。
普通アルベルゲは連泊できないことになっているが、Santiagoはゴールだし、昨夜もベッドが満床になってなかったし、大丈夫かな?
ルーとスィナがオスピタレラに聞きに行ったところ、一旦荷物を持って外出し、19:00頃に戻ってくるようにと言われたとのこと。
その時点でベッドが空いていればOKということだろう。


出かける準備をしていると、誰かが目の前に立った。
ふと顔を上げると、(スィナが嫌っている)メキシコ人のダニエルだった。

「おお!ダニエル!久しぶり!」と声をかけたが、どうもダニエルはグロッキーな感じで元気がない。
スィナの隣のベッドに荷物が置かれたまま不在だったので、どうやらダニエルは昨夜どこか飲み歩いていて門限に間に合わず、外で夜を明かしたものと思われる。


アルベルゲは寄付制なので、5ユーロを寄付。



まずは重いリュックがあると邪魔なので、巡礼事務所隣の手荷物預かり所に預ける。
夜まで預けられて2ユーロだ。

身軽になったところで朝食へ。
トマスはスーパーで何か買ってその辺で食べようと言うが、今日は細かい雨が降っているし、寒いので私が却下。
バルでトーストやコーヒーの朝食にすることにした。

ルーだけはスペイン名物のChocolate con Churros(チュロスとホットチョコレート)を食べたいと言い、それを探しに出かけて行った。


朝食場所に見知った顔がやってきた。
スウェーデン人の女性ら数名のグループ。
昨夜はホテルに宿泊したそうで、広場のイベントや花火も見れてとてもよかったとのこと。
みんな正午のミサに出席予定だ。

今朝見かけたフランス人のジュリアンから聞いた話では、カテドラルには巡礼者専用の入口があり、そこでクレデンシャルを見せれば列に並ばずに入れるとのこと。
スウェーデン人たちにも教えてあげた。


その後、時間潰しにお土産屋さんを物色。
ルーがロザリオのお土産を買う。
スィナは以前見かけたPeregrinoをもじったPengurinoというペンギン柄のTシャツを孫のノアに買いたくて探しているが、見つかっていない。
もっと早くに買っておけばよかったのか。
でもSantiagoに着いたら絶対売ってると思ったのになあ。


正午のミサにはマルコスも参加する予定だ。
カテドラル前で待ち合わせしている。
昨日の見学の列を見ても、かなり早めに並んでおかないといけないような気がするのだが、マルコスが「15分前で大丈夫!」と言ったのでその時間に行ってみると、案の定長蛇の列だった。
ほら~、やっぱり。

Santiagoには巡礼者意外にも観光客がたくさんおり、日本人観光客もちらっと見かけた。
多くの人がミサに参加しようとしている。

あ、でもジュリアンから聞いた「巡礼者専用入口」はどこだ?
とりあえず私たちが並んで場所を確保している間、ルーが聞きに行ってくれたが、警備員に聞いても分からなかったという。
そもそも巡礼者専用入口なんてないのか??
巡礼中は多くのガセネタに接するので、疑わしい。


結局ずい分並んでからようやくカテドラル内へ。
今年は聖年だしセキュリティが厳しめと聞いていたけど、入口前の持ち物検査は意外なほどあっさり。
私はわざわざウエストポーチを開いて準備していたのに、チェックすらされなかった。


カテドラル内は大混雑。
すでに座席は埋まっており、周りを大勢の立ち見客(?)が取り囲んでいる。
人ごみをかき分け、ミサが見られる場所を確保するのが大変だ。

そして場所取りをめぐってちょっとした諍いが起こるのもどうかと思った。
まあ、諍いを起こしたのは我らがルーなんだけどね。
私たちが入って行くと文句を言った観光客だか巡礼者だかがいて、それに対しルーが「別にあんたら見えるでしょ!邪魔してないじゃん!」と応戦。
うう、巡礼を終えて神聖な場所に来たはずなのに…。


場所を移してようやくミサがスタート。
だけど、先日ちらっと見かけたスロバキアからの団体客(スロバキアと書かれた同じTシャツを着ている)が座席に大勢陣取っており、彼らの内の何人かが神への忠誠を示すために座らず立ったままだったりして、非常に邪魔。

スロバキア人同士でも途中で「ちょっと座りなさいよ!」的にTシャツを後ろから引っ張る人、それを振りきって頑として座らない人などがいた。


なんとなくまだ実感が湧かないけれど、Santiago de Compostelaに到着したんだなあ、このミサで祝福を受けているんだなあ、全ての罪が赦されるんだなあ、などと漠然と考える。
病気もせず怪我もせず無事にここまでたどり着けたことに、まずは感謝。

巨大なボタフメイロを揺らす儀式が始まり、ミサはクライマックスに。
天井からロープで吊るされた大きな香炉が振り子のように揺れ、薬草のにおいが立ち込める。
あまりに人が多く、前が見えづらいので、写真は1枚しか撮らなかった。





ボタフメイロが終わって聖職者たちがぞろぞろと退場する時、スィナが「ほら、あの人!ミシェルよ!」としきりに指さすが、誰の事だかわからなかった。
ミシェルって誰だっけ?

後で聞いた話では、カミーノの途中で会った最高齢のフランス人がその中にいたというのだが、同じミサに参加していたというマークもそんな記憶はなく、スィナの言ってることが正しいのか、単なる他人の空似なのかは未だ不明。

ミサは1時間にも及び、立ちっぱなしの私たちはかなりしんどかったけど、ボタフメイロが見れたので良かった。
聖年の今年は毎日ボタフメイロを行っていると言う噂と、やってない日もあると言う噂の両方を聞いていたからだ。
Santiagoに来てボタフメイロを見ずに帰るわけにはいかないだろう。



群衆に押し出されるようにカテドラルの外に出て、しばらく広場をブラブラした。
こんなにたくさん人がいるのに、カミーノで出会った懐かしい顔は見当たらない。

すると再びジュリアンに遭遇。
ジュリアンによると、やはり巡礼者用入口は存在するとのこと。
オブラドイロ広場からカテドラルに向かって左手らしい。
う~ん、でも警備員とかに聞いても分からないと言われてしまうところがスペインらしい。


Santiagoの町中にはいくつかインフォメーションオフィスがあり、何でも親切に教えてくれる。
明日、私とスィナは再び西の果てFinisterreに向かって歩きはじめる予定にしているが、ルーとトマスはそれぞれSantiagoを離れる予定だ。
インフォメーションで空港バスのことなど聞き、地図をもらう。
ついでにこの辺りのアルベルゲについても聞いてみたが、昨夜泊まったところが一番近く、その他のアルベルゲは少し町の中心部から離れている。
しかも予約が入れられるのですでに満床のところもあるという。

再びあのアルベルゲにはあんまり泊まりたくないけど、しょうがないかな。



さて、ランチタイムです
何食べる~?

トマスが「パエリアを食べたい」と言ったので、「いいねえ」とノリノリになり、お店を探す。
でもマルコスが「他に良いお店がある」というので、ついて行った。
地元の人が言うんだから間違いないだろう。

が、マルコスに連れて行かれたお店は日曜日閉店。
やっぱりスペインだ。

でも観光都市なので周りにたくさんお店がある。
ちょっと高いところは避けて、そこそこなお店を探そうとするが、マルコスが「観光客が行くような店は紹介できない」と言う地元民のプライドを捨てることができず、なかなか了承しない。

だんだん私たちも歩きまわることに疲れてきて、「もうどこでもいいよ~」となる。

結局、なんということもない普通のカフェでサンドイッチと相成った。
マルコスはかなり不満そうだったけど、私とルーがキレ気味に「もうどこでもいいってば!」と。
ああ、巡礼して洗礼を受けたばかりなのに、またキレてしまった…。


ジュリアンも一緒にランチしていたが、どうも私たちのグループとはあまり気が合わないようで、道行く人の中に顔見知りの巡礼者を見つけるとさっさとそっちへ行ってしまった。
結局私はジュリアンとはほとんど会話もしていない。



ランチ後、ルーと私はインターネットカフェへ。
ルーはSantiagoを列車で離れて帰国する予定。
私はSantiago→Madridのフライトを押さえたい。
スィナ、トマス、マルコスとは後で広場で合流する約束をして別れた。

ネットカフェでイベリア航空のチケットを検索してみるが、意外と高い。
するとルーが「ライアンエアーをチェックしてみたら?」と言う。

ライアンエアーのことは知らなかったが、格安航空会社らしい。
検索してみると、イベリア航空より断然安い!
「荷物の制限とか色々あるけど、ライアンが一番安くて便利よ」とルー。

ありがとう。
早速オンライン予約。

この後ルーは「直接駅に行かないといけないみたいだから、私行ってくるわ。遅れる時はメールする」と言い残し、一人駅へ。


ルーと別れてカテドラルへ向かって歩いていると、偶然にもスィナ、トマス、マルコスに再会。
みんなでバルへ行って時間をつぶすことに。

お茶を飲んでると、マルコスの彼女が到着。
サンドラという名前で、明るくてかわいい。
そしてやはり、声がかすれている。。。


みんなでバルのテラスで談笑していると、メキシコ人のダニエルが通りがかった。
ダニエルのことが大嫌いなスィナは必死に隠れようとする。
別に嫌いでも隠れなくてもいいのに…。
そばに寄って来てもコーヒーおごらなきゃいけないわけでもないし…。

ダニエルの方はと言うと、相変わらずちょっと険しい表情で、私たちには目もくれず、かといって何か目標がある風でもなくフラフラと歩いている。


そして通りを挟んだ向かいの建物の柱の陰に腰を下ろした。
そこで私が見たものは…、


ダニエルがリュックからラップトップパソコンを取り出した


えええ
スィナやポールが言ってたことは正しかったのかも知れない。
パソコン持ち歩いてるのに、周りの人から寄付してもらうって…。
やはり彼は信用ならぬ人物なのか。



夕方までまだ時間があるので、マルコスとサンドラの案内で近くの丘へ。
移動式遊園地があったり、出店があったりしてにぎやか。
丘の上の公園からは、カテドラルが見える。




今日のお天気は曇り時々晴れ。
風が強いため、日が照っていると暑いけど、曇ると途端に肌寒くなる。
上着を脱いだり着たりと忙しい。


散歩から町の中心部へ戻ると、とあるバルのテラスで音楽を演奏するミュージシャングループがおり、人だかりができている。
途中でそのうちの一人が踊りだしたり。






どうやらポルトガルから来たグループみたいだが、なかなか良かった。
スィナが路上に置かれた帽子にコインを入れる。
ああ、なんか、私たち巡礼を終えてシティライフに戻ってきたのね。



さて、18:30にルーとオブラロイド広場で落ち合い、預けていた荷物をピックアップして昨夜のアルベルゲへ。
19:00に戻ってくればもう1泊とまれると聞いていたし。


と・こ・ろ・が、

アルベルゲへ行ってみると、「昨夜泊まったから連泊は無理です」とむげに断られる。

えええ???

今朝はOKって言ったじゃん

昨日はあれほど意味もなく笑顔で抱きしめてくれていたオスピタレラやシスターが、手のひらを返したような態度。
スペインって信用できない。。。

さすがにスィナも「だめならだめでいいけど、『今朝は泊まれるって言ったけど状況変わったからごめんね』でもなく、あの態度って…」と不満をあらわにしていた。
修道着を着た鬼やね、あの人。



こっちは1日歩きまわって疲れているのに、重いリュックを背負ってアルベルゲ難民となる。
今日は町歩きだからビーチサンダルでいいかと思っていたけど、朝雨が降っていて肌寒かったのでトレッキングシューズ履いといてよかったよ。

途中で出会う巡礼者たちにあれこれ聞きながら、町の中心部からかなり離れたアルベルゲを目指す。
30分ほど歩いたところでドイツ人の若者グループに遭遇。
彼らはこの先の新しくて奇麗なアルベルゲに泊まっているという。
親切な彼らに導かれ、大型アルベルゲへ。

そこは6ユーロでシーツもあり、かなり清潔な大型YHと言った感じ。
まだベッドの空きはたくさんあった。

荷物を置いたあと、ドイツ人たちに教えてもらったピザ屋へ行こうと歩いていると、一旦別れたマルコスとサンドラに再会。
こちらまで迎えに来てくれたようだ。

ピザのつもりでいたが、角にあるPulperia(タコ専門店)に入ることに。
やった~
Santiagoのタコ料理は有名だし、楽しみ~



店内は地元の人たちでにぎわっており、期待が高まる。


サンドラとマルコス。




お茶碗のような形の器でワインを飲み、タコ、パプリカ、豚肉などの料理を注文。
スィナの希望でポテトも。(またか!)








お気づきかもしれませんが、ルーのTシャツは偶然にもタコ柄。




ガンガン行きます!
ご機嫌です!









マルコスとサンドラがずい分とお金を出してくれたので、本日のディナーは1人5ユーロで済みました。
ありがと~~~



タコで幸せになった帰り道、ルーにジャケットです巻きにされた酔っ払い、スィナ。




私もルーにおんぶしてもらって写真撮ったんだけど、誰が写真持ってるんだ~?


アルベルゲへと続く階段は、手を取り合って踊りながら。
(完全な酔っ払いです。)




ああ、今日はミサで罪が赦されたし、アルベルゲではちょっと嫌なこともあったけど、やっぱり最後にはちゃんと寝る場所がみつかったし、おいしいタコ料理食べれたし、今日も本当に幸せな1日だった。

どんなに大変でも、1日の終わりは丸く収まるのが巡礼ミラクル。
守られてるって感じがする。


感謝しつつ、就寝。





なぜか本日、25,772歩。
距離にして17kmほど。

歩いたな~。