地球にあしあと

地球の色々なところに足跡をつけてきました。

カミーノにあしあと ~Finisterre → Muxia~

2011年01月30日 | Weblog
8/6(金) Finisterre → Muxía
8:30に起床。
ゆっくりと準備をしてアルベルゲを出る。
マークはもうとっくに出発してしまっただろう。
アルベルゲ前で自転車の整備をしていたイタリア人サイクリストと少し話す。

港のバルで朝食を摂ろうとしたが、Tostada(トースト)がなかったので、とりあえずオレンジジュースのみ注文。


バス乗り場へ向かって歩いていると、再び先ほどのイタリア人に遭遇。
片言の英語で、今度は日本へも行きたいと必死にアピール。
そして私に自分のメールアドレスを手渡すも、この人はどこか抜けているところがあるのか、お互いの名前すら知らない。


イタリア人を見送り、バス乗り場で時刻表を見るが、そこに本日の行先Muxíaの文字はない。
う~ん、どうしたことか。

スィナが他の巡礼者に聞いた情報では、Muxía行きのバスはFinisterreの入り口付近まで戻らないとないという。
これまでの経験上、巡礼者同士の情報は有益なものもあるが、かなり疑わしいものもある。
今回、ちょっと疑わしいなと思ったけど、ひとまず黄色い矢印を逆戻りしてFinisterreの入り口を目指してみることに。

途中すれ違う地元の人や巡礼者など、色々な人に聞いてみたが、だれも明確に分からない。
どうにもらちが明かないので、やっぱり港にあるインフォメーションで真相を確かめようと、来た道を戻る。

が、港エリアに戻るもインフォメーションがどこにあるのか分からない。
標識は見かけるが、その先どこへ行けばあるのか不明。
さすがスペイン、分かりづらい。


そうこうしているうちに、スィナがまた別の巡礼者から、「バス停に表示のあるMurosという行先は、Muxíaと同じことだよ」と教わる。
が、それも疑わしいと私は思う。

リュックを背負ってウロウロするのも疲れたので、近くにあったバルで朝食に。
バルのおじさんにあらためて聞いてみると、「11:45のバスでCeeまで行き、そこで別のバスに乗り換えるんだよ」と教えてくれ、解決。


スィナは足を痛めているくせに、町の中心部を散策したいという。
私は重いリュックを背負ったままサンダルで歩き回りたくないので、断る。
バスの出発時間にバス停で待ち合わせとし、スィナは町へ、私は港へとそれぞれ向かった。


港ではマーケットが開かれていたので、ブラブラと見学。




特にやることもないので、ベンチにでも座って道行く人を眺めることにしよう。
風がまともに当たる場所に座ると肌寒く、日なたへ出ると暑い。
なんとかちょうどいい場所を見つけ、メモ帳に昨日までの出来事を記入。



そろそろ時間なのでと思い、バス停へと向かっていると、見覚えのある人に呼び止められた。
えーっと、この人誰だっけ?
たぶんオランダ人。

その人は、「さっきスィナに会ったわよ」から始まり、「昨日は(マケドニア人)のメリと一緒にいたのよ」などと話しかけてくる。
どこで会ったか、名前は何か、思い出せないまま話をし、抱き合って別れる。


急いでバス停まで行ったがスィナの姿なし。
おいおい、どこにいるんだよう。

そこへ巡礼中何度か会った韓国人の女の子が現れる。
彼女は先にMuxíaへ行ってから昨日Finisterreに到着したらしい。
彼女曰く、Muxía-Finisterre間のカミーノは最も素晴らしい景色で、そこを歩かないなんてもったいないとのこと。
私はスィナが足を怪我したのでもう歩けないことなどを説明。

ふと、MuxíaとMurosは同じ町のことを指すのかと聞いてみると、「そんなことはないと思う」とばっさり。
ああ、やっぱりね。


時間通りにバスが到着したのに、まだスィナの姿は見えない。
これに乗り遅れると明日はバスがないはずなので、焦る。

出発ギリギリになって、ようやくスィナが到着。
近くのお店でバナナと水を買ってくれていた。
銀行もあったのでお金も下しておいたとのこと。

念のため、運転手にもう一度Muxíaに行くにはこのバスでいいのか確認し、乗り込む。
バスはあっという間に昨日歩いた道を通り過ぎ、Finisterreを離れていった。
私たちは観光地には興味がないので、Finisterreに連泊するつもりはない。

ちなみにさっき会ったオランダ人の名前はヨークだそうだ。
う~ん、うっすら記憶があるけど、どこで会ったのかいまだに思い出せない。



Ceeまでは20分ほどで到着。
あっという間だった。
Muxía行きのバスへの乗り継ぎまで20分ある。
近くに大型ショッピングセンターらしきものもあるが、買い物してると乗り遅れそうなので、バス停でじっと待つことにした。

バス停でまたスィナがドイツ人と話し始めた。
そのドイツ人の女性は小さな犬を連れていた。
話を聞いてみると、巡礼中にその捨て犬らしき犬と出会い、なぜかその犬がずっとそばを離れないので途中から一緒に巡礼をしてきたという。
アルベルゲに犬は泊まれないので、テントを買って野外で寝泊まりしたとか、犬連れ巡礼の話が地元の新聞に載ったとか、山の中でクリスタルをたくさん発見したので、O’Cebreiroの真ん中でそれを売って巡礼費用の足しにしたとか、様々な話が飛び出した。
とにかくよくしゃべる。

カミーノには様々な「武勇伝」を語る人が登場する。
全部がガセネタとは思わないが、疑ってかかるべきものも多い。
私はすべての話を話半分に聞いている。
スィナは熱心に聞いているが、信用してるのだろうか?


ようやくMuxía行きのバスが到着し、ドイツ人と話し込み過ぎて乗り過ごしそうなスィナを無理やり引きはがし、乗車。
もういい加減疲れたよ。

バスに乗り込むとスィナが「ねえ、さっきのドイツ人の話、本当だと思う?」と聞いてきた。
さすがにニセ修道僧に騙されたあとだから慎重になってるのか?

「さあ、すべてが嘘だとは思わないけど、クリスタル発見云々のあたりはちょっと疑わしいかもね」と答えると、スィナも同感だったようだ。



ほどなくして、Muxíaに到着。
観光客が訪れるきれいな港町だけど、規模は小さいようだ。

まずはインフォメーションへ向かい地図をもらうが、その地図がほとんど役に立たない代物だった。
地図上のサインも分かりにくく、宿など必要な情報が載っていない。
距離感もいまひとつ分からない。
2人で「スペイン人には地図の作り方を教えなきゃね!」と憤慨する。

ビーチに面したバルで今日こそは海鮮ランチをと張り切る。
店に入ると大家族が一心不乱にPercebes(亀の手)を食べていた。
お店の人に「私たちもあれが食べたい」と注文してみたが、店のメニューにはないという。
どうやらあの家族は亀の手持ち込みらしい…。
仕方なくサラダとシーフードのフライを注文。

さて、腹ごしらえが終わり、オスタルを探す。
もうさすがにアルベルゲには泊まりたくないからね。

1軒見つけるもあいにくお祭りがあるので満室とのこと。
インフォメーションに戻って聞いてみるが、これといった有益な情報がもらえなかった。
本当に役立たずなインフォメーションだ。


アルベルゲには泊まりたくないけど、とりあえず公営アルベルゲに向かってみる。
着いてみると、わりと新しく近代的な作りで快適そうなアルベルゲだった。

受付で泊まりたい旨伝え、オスピタレロと世間話ついでに今日はFinisterreからバスを使ったことを伝えると一転、「バスを使った人はこのアルベルゲには泊まれない」と言われた。

ええっ
だって私たち、フランスのSt. Jean Pied-de-PortからSantiagoまでの800㎞を徒歩で巡礼し、巡礼証明書も発行してもらい、さらにはSantiagoからFinisterreまでの90㎞も歩いたんだよ!
なのにFinisterreからMuxíaまでのほんの20㎞程度をバスに乗ったからってアルベルゲ泊を拒否されるってどういうこと?

必死に訴えてみたが、オスピタレロはダメの一点張り。
スィナが転んで足を負傷したから仕方なくバスに乗ったのだと説明してもダメ。
バスに乗った奴は普通のホテルに泊まれ、と。

巡礼も終え、Finisterreでいったん心の区切りもつけ、この期に及んでまだスペインが嫌いになっていく…。
巡礼中は楽しかったけど、Santiagoに到着して以降、あまりいいことなかったな。



ふてくされて、とあるオステルへ。
ここは1室50ユーロ。
先に部屋を見せてもらうと、なかなか清潔でいい感じだったので泊まることにした。
元々宿の数自体少ないようなので、ここを逃すと野宿になってしまうし…。

部屋は海と反対側だけどしょうがない。
清潔なタオルとかあるだけでも嬉しい。
窓の外を見たスィナが「洗濯物干場があるわ!」と嬉々として叫んだが、おいおい、それは単にこのオステルのシーツ干場だよ。


スィナがストレス解消のため歩きたいというので靴を履く。
確かに観光地やバスでの移動は私たちにとってストレスだ。
できればこれまでのように歩いていたい。

まだ日も高く暑いので、その前に一旦オステル1階のバルでお茶を飲む。
オーナーのおやじは無愛想で、紅茶のティーバッグはまずい。

明日の予定をどうしようか話し合うが、なかなか決まらず。
スィナがしきりにカミーノを歩きたがるので、とりあえず今日の夕方少しだけカミーノを歩いて、明日の朝に町をぐるりと散策、14:30のバスでCeeに戻ろうということになった。
Santiagoにはあまり長居したくないので、できるだけSantiago入りは遅らせたい。


スィナが1階で日記を書いている間に私は部屋に戻り、洗濯。
日当たりのよい窓際に洗濯物を干し、シュラフもベッドの上に広げて日に当てる。
しばし部屋で1人の時間を満喫。



17:30頃になってから、カミーノを少し歩くために出かける。
スィナはまだ少しストレスを感じた顔をしている。

リュックは部屋に置いてきたものの、トレッキングシューズを履き、ストックを持って歩くと心地よい。
スィナは方向音痴のくせに「こっちから道が続いていると思う」と、でたらめな方向へ歩き出した。
風が強くてビーチの砂が舞い上げられ、ピシピシと顔や体に当たって痛いことに、ちょっとイラッとさせられる。

足を痛めてる時でも出たとこ勝負のスィナ。
案の定すぐに行き止まりになってしまい、結局来た道を戻り、また別のルートからチャレンジ。
やっぱりスィナは全く方角が分かってない。

私の方もかなり機嫌が悪くなり、黙々と歩く。
一体ここまで来て何をやってるんだろう、私。



しばらくして、ようやくカミーノへと出た。
海岸沿いの車道を、お互い距離を取ってただ黙々と歩く。

さらに進んで行くとビーチが出てきたので、降りてみる。

裸足になって足を海につける。






今度こそカミーノの終わりを実感。


ここまで頑張ってくれた足の足形を砂に取った。




トレッキングシューズもお疲れ様。





帰り道にインフォメーションで明日のCee行きのバスを聞いてみると、「明日のバスはない」とのこと。
Santiago行きのバスなら出てるので、明日Santiagoに帰るしかオプションはないようだ。
いつまでもMuxíaにいても特に見るところもないし、仕方がない。



ホテルに戻り、シャワーで砂を洗い流し、再び洗濯。
20:30頃になってディナーに出かける際、スィナがベッドサイドの電気がつかないと文句を言う。
電球を外し「換えてもらうわ」とフロントまで出かけて行った。
ど、どうでもいいんですけど…。

しばらくして新しい電球を手に戻ってきたスィナは、「下のおやじに電球が切れてるから新しいのくれって文句言ったら、クレージーな人を見るような目で見られたわ」と。



外に出るとお祭りの準備が始まっていた。
今日、満室で断られた1軒目のオスタルの前の道がすべてお祭り会場となるようだ。
これまでの経験上、スペインのお祭りは夜遅く始まる?
たぶん23:00以降?
ってことは、今夜も騒音で眠れず…?

外は風が強いのにお祭りできるのかな?



今日ランチしたお店のすぐ隣の店で、魚料理を注文することにした。
まずはSardinas con Ensalada(イワシと野菜)のお皿。
てんこ盛りのSardinas。




それから、メニューを見ても何かわからず、店の男の子を説明を聞いても「シーフード」ということしか分からないけど注文してみた、Gulas del Norte。




一見したところ、しらすのようだ。
ガーリックと唐辛子風味の油煮といった感じで、味はおいしい。

後日、調べてみたら、Gulasは魚のすり身をパスタ状にした食材だった。
しらすにしては、目とかついてないからおかしいなとは思ったのよね。
まあ、いわば麺状になったカマボコってとこかな。


特にやることもないので、23:00頃には就寝。
スィナは明日の朝、9:00まで起きるつもりはないらしい。

よくそんなに眠れるなあ…。













本日の歩行距離:約15㎞?
本日の歩数:21,658歩