『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

第2章  トラキアへ  146

2010-02-11 07:47:31 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 ギアスが気づいて二人を中へ招じ入れた。
 『遅れまして申し訳ありません。それにしても、この浜小屋、急ごしらえにしては良くできていますね。全く感心して目にしました。』 二人は、浜小屋の完成を褒め上げた。
 『ご両人、こちらへ。』 アレテスが座をすすめた。
 『では、打ち合わせを始める。統領から、話を願います。』 イリオネスが開会を告げた。
 『では、私から一同に、私の腹案を話す。この腹案は、全体集会の前にイリオネス、パリヌルスと相談したことでもある。その前に、先ず、私が肝に銘じていることについて話しておきたい。我々にとって、大切な存在である兵たちを含めた全市民に対する姿勢である。それは、礼を持って示す人格であり、彼らに対する愛である。愛をどのようにして示すか。これは、彼らの期待に応えることであり、その期待を裏切らないことでもあると考えている。形に出来るものは形にして示すことである。彼らを愛することは、自分たちの国を限りなく愛することにつながっていく。彼らの期待に応えることのできる、彼らが頼れる、彼らが頼りたい存在にならなければならない。そのようになれば、互いに愛と尊敬と期待の立国できていくと信じている。私は、この信念に基づいて考え、諸事に当たっていくことを、一同に誓い、実行していく。宜しく頼む。』
 アエネアスの言葉には力があった。この力こそ、不可能を可能にするエネルギーであり、希望は、このエネルギーを燃焼させる炎であり、道しるべであった。
 『続いて、全体集会で述べた諸事実現の腹案について説明する。』
 アエネアスは、一同を見廻し、目線を合わせた。