『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

第2章  トラキアへ  293

2010-09-09 06:47:50 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 水浴を終え、浜から帰った一行は広間でくつろいだ。アレテスは、ギアスの肩の傷に目をとめた。
 『お前、その肩の傷は何なのだ』
 『これか、これは名誉の勲章だ。勝負は一瞬だったが語れば長い。夕餉を食べながら話す。今は、この茶を飲ませろ』
 『お~お、そうか、それは楽しみだ話を肴に酒を飲もう』
 帰着した一行は、いっとき身体を休ませた。
 夕食の準備が整った旨、カピュスが伝えてきた。オキテスが集っている皆に声をかけた。
 『統領をはじめ、探索の皆、ご苦労でした。そして、ほかの皆も、今日一日ご苦労であった。夕食の準備が整った、西の広場です。行きましょう』
 『おうっ!オキテス、ありがとう。今日の漁、大漁だったそうだな。山からの帰りだ、海の幸をたっぷり食べたい。さあ、皆、行こう』
 アエネアスは、一同を促した。
 彼らは、西の広場に集まって砦に目を移した。
 砦は、赤々と茜の夕陽に照り映えていた。
 トリタスの浜からは、浜衆二人が、トリタスを迎えるべく、砦に着いた。彼らも夕餉の席に招じ入れられた。