『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』 FUGITIVES FROM TROY 第3章  踏み出す  202

2011-11-05 08:35:08 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 オキテスが声をかけてきた。
 『パリヌルス、もう、いいぞ。全員が揃った』
 『おう、判った。オロンテス、いいか。一同に数とりの指示を出して総員数を集計してくれ』
 『判りました』
 彼ら一同は、総員数の数とりの作業に着手した。列構成を目的にそって整えたせいもあり、数とりは時間をかけずに終えた。
 アエネアスとイリオネスは、この風景をじい~っと眺めていた。
 『イリオネス、どうだ。彼らがやっている作業だが、なかなか手際よくやっているようだな』
 『そうですね。彼ら、よくやっています』
 『どうだね、我々がこのエノスの浜に来たときと比べて、総員数がどれくらい減っているのか。その見当は?』
 『そうですね、私は、いま、そのことについては、しっかり把握はしていませんが。少なくなっていることは確かです。上陸のときの戦いとあの戦いで、80人、いや、90人くらいは命を落としています。少なくなっていることは確かです』
 『そうか、ウッウ~ン』
 アエネアスは、腕を組んで目を閉じた。彼のまぶたの裏に過ぎし日の情景が浮かび、その苦衷に耐えた。
 パリヌルスとオキテス、オロンテスの三人が近づいてくる。彼らは、イリオネスに軽く会釈を送り、数とりを終えたことを伝え、アエネアスの表情を見つめた。
 三人は、アエネアスの胸のうちを推し量った。